NARC ナーク - 前田有一

◆二転三転ストーリーを楽しめる良質ミステリ(80点)

 トム・クルーズが製作総指揮にあたった(出演はしていない)、刑事ドラマ。完成した本作を鑑賞したトム・クルーズは大満足し、『M:I-3』(04年夏公開)の監督に本作の監督ジョー・カーナハンを大抜擢したという話もある。

 コレは非常に面白い。トム・クルーズは最近、そのネームバリューを持って、出演もしていない新作の宣伝に良く利用されるスターだが(たとえば、「トム・クルーズがリメイク権を買った」とか)、確かに彼は、脚本を見る目があるといっていいだろう。

 この『NARC ナーク』も、彼が脚本に惚れこみ、製作を買って出たという作品だが、確かに非常に見応えのある、素晴らしいストーリーとプロットを持った、重厚な作品である。

 といっても、堅苦しさは全くない。謎解き刑事ドラマとして、ごく普通の人達が、楽しく見れる映画である。

 だが、終盤には、二転三転する大どんでん返しが待っており、予想もつかない結末へ向かって一直線に進んでゆく。

 伏線もしっかり張られており、ちょっとしたセリフやワンシーンなどが、ちゃんと結末の驚きにつながる。丁寧に作られたと感じられる。

 画面作りも素晴らしく、見ていて気持ちがいい。のっけから、手持ちカメラにブリーチバイパス(ようは粒子の粗い画像ということ)を使用して、緊迫感と迫力のあるファーストシーンを作っている。冒頭から、観客の興味をがっちり掴む、見事な演出である。役者の演技力も申し分ない。

 ミステリとして、『セブン』や『ユージュアル・サスペクツ』に勝るとも劣らない、出来のいい作品だと私は思う。見て決して損の無い内容である。

 アドバイスとしては、主役2人と、医者と、妻の名前だけはしっかり覚えておくことだ。あと、出来れば音響設備のいい劇場で見る事だ。どうせお金を払うなら、こういう映画を見て欲しいと私は思う。

前田有一

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