銃撃戦や痛々しい残虐バイオレンスで観る者を楽しませる。(点数 60点)
廃墟となった軍事施設“ゴーベン要塞”では、ロニー(スティーヴン・ウォディントン)ら五人の男たちが人間狩りを密かに愉しんでいた。そこに、証人保護を命じられたアフガン帰還兵の刑事ルセイント(クリス・ブライアント)、恋人のデヴィッドに誘われてやってきた女アリス(ダイアナ・アグロン)が立ち入るが…。
本作の面白さが発揮されるのは、30分を過ぎてから。ルセイントと証人が襲撃され、仕掛けられた地雷トラップが爆破といったアクション演出が観られる。その後、ルセイントは切断された人間の頭部がいくつか並べられた一室に侵入する。ただでさえ薄暗くて気味の悪さが味わえるが、この一室がさらなる気味悪さを倍増させる。そこに突如現れた大学生のハンターが不気味なセクシーダンスでルセイントを挑発し、並べられた頭部を手にとって拳で何度も叩きつけた後、ルセイントの肉弾戦が繰り広げられる。中盤を盛り上げる見せ場の一つであり、忘れ難いワンシーンでもある。
その後は、ハンターのボス的存在の本当の正体が明かされ、観る者をあっと驚かせてくれる。そして、ルセイントが単独で残る四人のハンターに挑むが、銃撃戦や痛々しい残虐バイオレンスで観る者を楽しませる。
デヴィッドとアリスのカップルが要塞に侵入するのは後半。この二人をもっと早めに登場させ、追いつめられる様子をじっくりと描けばもっと面白かっただろう。また、スリリングなサバイバル劇、気味の悪いサスペンス、残虐なバイオレンスはよろしいが、本題に入るまでの約30分余ももっとコンパクトにまとめるべきだった。監督は劇中でルセイント役を好演しているクリス・ブライアントであり、本作が長編映画デビューとなるが、腕に磨きを重ねるべきだ。
(佐々木貴之)