玄野が秘めた思いを打ち明けるシーンは、確かにこれだけは信じることができる「PERFECT ANSWER」だった。 (点数 50点)
(C) 奥浩哉 / 集英社 (C) 2011「GANTZ」FILM PARTNERS
何のために戦うのか、誰のために戦うのか。理由もわからずガンツの
世界に放り込まれた主人公と彼の仲間は、命じられるままに「星人」
たちを倒していくうちに、その答えを見つけだそうとする。最初は自
分が生き返るのが目的だったのが、やがて友人を生き返らせるのがゴ
ールに変化する。ところが前編から予想される展開を見事に裏切り、
この続編はさらに混迷の度合いを深めていく。
モデルの映莉子は目覚めると小さなガンツを握っていた。指令通り4人
の男女を殺し始める。玄野は相変わらずガンツにとらわれの身ながら、
加藤の弟の面倒を見つつ多恵との微妙な関係を続けている。
一方でガンツの正体を探る公安刑事が黒服星人たちとコンタクトをと
ったり、映莉子のターゲットはガンツ卒業者だったり、偽物の加藤が
現れたりと、ガンツルールの破綻が始まる。その上星人ではない多恵
が標的になったりと、ますます物語の整合性は崩れ、ガンツメンバー
の間にも亀裂が生じる。何でもアリで何が起こるか分からない。そん
な中で玄野の加藤や多恵に対する気持ちと、玄野と助け合う元コンビ
ニ店主らの「人のために生きよう」という気持ちは本物。殺伐とした
雰囲気の中で、“守るべきもの”を持つ人間の強さが際立っていく。
結局、映画は問いかけるばかりで説明は一切しない。この世の不条理
に明確な答えなどない、だが玄野が秘めた思いを打ち明けるシーンは、
確かにこれだけは信じることができる「PERFECT ANSWER」だった。
(福本次郎)