◆いくつになっても人は恋に胸をときめかせる。前夫と心に傷を負った男から求愛されるヒロインの「老いと性」を正面から見つめ、コミカルなシチュエーションと下品になりすぎない下ネタ、適度な笑いをまぶした脚本が素晴らしい。(70点)
もはや中年の域を過ぎ、老境に近づいても人は異性に胸をときめかせる。それは肉体的外見的な若さを追求する過程において、気持ちもまた若くあらねばと願うから。結婚、離婚、子育て、ビジネスの成功と、人生のひと通りを経験したヒロインが、2人の男の間で右往左往する。事業は軌道に乗っている、子供達も独立した、友人にも恵まれている。たった一つ欠けているものは男の肌のぬくもり。映画は、一度別れた夫と心に傷を負った男から求愛される彼女の「老いと性」を正面から見つめる。コミカルなシチュエーションと下品になりすぎない下ネタ、エスプリの利いたセリフで適度な笑いをまぶした脚本が素晴らしい。
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◆退屈と孤独のなかで、好奇心ばかりを募らせる少女が迷い込んだ理想的な暮らし。物語は二つの世界を行き来し、何も考えなくて済む生き方と、多少の不満はあっても自分で判断できる自由の、どちらがより人間には大切かを問う。(50点)
友達はいないし両親はかまってくれない。見知らぬ土地に引っ越してきた少女が退屈と孤独のなかで、好奇心ばかりを募らせる。そんな彼女が迷い込んだのは、やさしい両親と素晴らしい食事と美しい庭、そして楽しいサーカスが心を躍らせてくれる家。壁に埋め込まれた一枚のドアが、つまらない日常から夢のような暮らしにいざなう入り口になっている。物語は二つの世界を行き来するうちに、何も考えなくて済む生き方と、多少の不満はあっても自分で判断できる自由のどちらがより人間には大切かを問う。
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◆少女漫画のような微笑ましい恋愛や耽美的なボーイズ・ラブを期待する韓流ドラマファンには少々キツいだろう(55点)
高麗末期を舞台した歴史ドラマは大胆な性描写を交えて描く愛憎劇だ。中国・元の支配下にある高麗王朝。王は、陰謀が渦巻く中、日々を不安の中で過ごしていたが、幼い時から寵愛する近衛部隊長のホンニムとの愛だけが安らぎだった。女を愛せない王は、元から嫁いできた王妃との間に世継ぎを誕生させ、紛糾する後継者問題を解決するため、ホンニムに王妃の寝所の相手をさせる。王の命令は絶対とはいえ、困惑するホンニムと王妃だったが、この苦渋の選択が、危ういバランスを保つ3人の運命を狂わせていく…。
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◆予備知識なしで鑑賞した私はそのハイテンションな冒頭にドン引きしつつも、いつのまにか人物相関や世界観をしっかり把握した(60点)
京都アニメーションによる、SF学園コメディ「涼宮ハルヒ」シリーズ初の劇場版。クリスマス間近の12月18日は、いつもと変わらぬ日のはずだった。高校に向かったキョンは、教室の自分の席の後ろに涼宮ハルヒがいないこと、さらに彼女の存在をクラスの誰も知らないことに驚愕する。噛み合わない会話、ハルヒの不在とかつてキョンを殺そうとした朝倉涼子の復活、SOS団の人格の変貌。キョンだけをそのままにして、世界は大きく改変されていた…。
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◆プラマー&ミレンが今年のアカデミー賞にノミネートされた話題作!(70点)
19世紀を代表する世界で最も愛されている作家の1人、ロシアの文豪レフ・トルストイ。彼は82歳にして放浪の旅に出た。そして旅の途中、アスターポポ駅で肺炎が原因で果てた。年老いて体調もすぐれななかったにも関わらず、彼が旅へと出なければならなかった理由とは一体何だったのか。ジェイ・パリーニ原作の同名小説を映画化した『終着駅 トルストイの死の謎(原題:THE LAST STATION)』は晩年の文豪の葛藤と、彼を取り巻く者たちの姿を描いてゆく。
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◆「光の部分は美しく、影の部分は罪深い」。聖処女の絵は、大胆なリアリズムとコントラストの強い陰影で見る者を圧倒する。その作者の人生もまた、アーティストの顔と暴力的な犯罪者の一面がコインの表裏のように入れ替わる。(50点)
「光の部分は美しく、影の部分は罪深い」。娼婦をモデルに描いた聖処女の絵は、大胆なリアリズムとコントラストの強い陰影で見る者を圧倒する。その作者の人生もまた、バロックの巨匠として後世に名を残したアーティストの顔と、血気盛んで暴力の衝動を抑えきれない短慮な犯罪者の一面が、コインの表裏のように入れ替わる。評価されては悶着を起こし、逃亡中でも傑作を残す。破天荒な生涯は、芸術の神に身も心もささげ先人の偉業に追い付こうとするタイプの画家とは一線を画し、天才ゆえのひらめきと進取の気性に満ち溢れている。
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◆素顔の日常とかりそめの虚像を使い分けるヒロインは、積極的に 「両方とも本当の自分」とその状況をエンジョイする。はちきれんばかりの躍動感と高揚感、16歳のフレッシュな感性をいまだ失っていなければ楽しめるに違いない。(50点)
素顔の日常とかりそめの虚像を使い分けるヒロイン。いつしかどちらが本来の姿が分からなくなるが、彼女はアイデンティティクライシスに悩んだりせず、積極的に「両方とも本当の自分」とその状況をエンジョイする。これが男なら苦悩の末に生きる道を見つけるストーリーに落ち着くが、米国の少女は己の欲望にあくまで前向きで貪欲に二つの人生を手に入れようとする。その過程で繰り広げられるドタバタ劇はあまりにもベタな設定だが、彼女がマイクを握るとノリノリのダンス&ミュージックにたちまち変貌。はちきれんばかりの躍動感と高揚感、16歳のフレッシュな感性をいまだ失っていない観客ならばきっと楽しめるに違いない。
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◆パステルカラーの柔らかな色彩と、ラフスケッチのようにサラリと描かれた絵柄が魅力的(55点)
野菜をモチーフにしたユニークなアニメーションは、優しいタッチが魅力だ。舞台はNYのキッチン。芽キャベツら野菜の妖精たちは、月の光がキッチンに差し込む夜に目を覚ましては楽しく遊んでいる。月に一度の満月の夜、芽キャベツとガーリックは、お気に入りのホルンの奪い合いに。勢い余ってシンクの湖に落ちてしまった芽キャベツを引き上げると、ホルンの中には見たことがないピンク色の妖精がいた。これが冒険に満ちた特別な夜の始まりになる…。
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◆実話に基づく米国版「女子高生コンクリート詰め殺人事件」。ひたすら不快な作品で、見るには覚悟が必要だ(54点)
1960年代、米インディアナ州で起きた少女監禁陵辱事件をモチーフに、ジャック・ケッチャムが執筆した同名のベストセラー小説の映画化だ。
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◆完全な大人向けのラブ・コメディー(70点)
人気ベーカリーを経営するジェーン(メリル・ストリープ)は十年前にスゴ腕弁護士ジェイク(アレック・ボールドウィン)と離婚したが、三人の子供を立派に育て上げ、仕事とプライベートに関しては満足しているが、心の中では何か物足りない。そんなジェーンは、息子の大学卒業式に出席するために滞在したニューヨークのホテルのバーでジェイクと再会する。ジェイクは、かなり若い小娘と再婚していた。久々に二人でディナーを満喫し、その後は久々の肉体関係を築いてしまう。一方でジェーンはバツイチの建築家アダム(スティーブ・マーティン)とも良い関係になっていた。
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◆映画の物語と現実が絶妙にリンクしている(50点)
米国の人気TVシリーズ「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」の劇場版は、ノーテンキな明るさが楽しいアイドル映画。歌手のマイリー・サイラスが熱演するが、このTVドラマやサイラスの人気に温度差がある日米では、映画のありがたみも異なるだろう。普通の女子高生マイリー・スチュワートは、実は全米で大人気のアイドル、ハンナ・モンタナなのだが、この秘密はごく少数の人間しか知らない。二重生活をこなすマイリーはいつしかセレブの生活に慣れてしまい、傲慢な性格に。マネージャーでもある父ロビーはそんな彼女を心配し、強制的に故郷のテネシーに連れて行く。マイリーは、ここで幼馴染のカウボーイのトラヴィスと再会し、自分自身をみつめることになる…。
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◆カーチェイスから始まって建物の爆破、さらには航空機乗っ取りと息つく間もないの連続は一時もスクリーンから目を離せない。格差社会の問題点や政府高官の陰謀までが加わって、物語は複雑怪奇なミステリーの様相まで見せる。(50点)
カーチェイスから始まって建物の爆破、さらには航空機乗っ取りと息つく間もないシーンの連続は一時もスクリーンから目を離せない。そこに格差社会の問題点や政府高官の陰謀までが加わって、物語は複雑怪奇なミステリーの様相まで見せる。映画は、過去のハリウッド作品のエッセンスを織り交ぜながら、日本映画らしい人情も効かせ、ハイジャック機に乗り合わせたヒロインがその機転で犯人グループと渡り合う頭脳戦に、格闘や銃撃戦を交えて最後まで疾走する。
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◆濡れていないのに挿入しようとする夫に失望した妻。彼女の心に隙間にすっと入り込む男。古い団地を舞台に、必然のごとく出会ったふたりが求めあう姿を通じ、不況や孤独にさいなまれる低所得者層の暮らしをリアルに再現する。(50点)
残業続きで遅くまで家に帰ってこない上、たまにその気になっても濡れていないのに挿入しようとする夫に軽い失望を感じている妻。近所に住むのは老人ばかりで、悩みを打ち明けられる同世代の友人もおらず、家事の合間につい妄想にふけり股間をまさぐってしまう。彼女の心に隙間にすっと入り込む風のように現れた男もまた、胡散臭い仕事と年頃の息子に手を焼きながら生きる希望をなくしかけている。物語は古い団地を舞台に、必然のごとく出会ったふたりが胸の空白を埋めるために求めあう姿を通じ、不況や孤独にさいなまれる低所得者層の暮らしをリアルに再現する。
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◆光と影のコントラストの妙を得意とするストラーロの映像は、陰影の濃いカラヴァッジョの絵画そのもの(70点)
バロック絵画の先駆者である天才画家の破天荒な半生を描く伝記映画は、崇高なまでに美しく罪深い。16世紀のイタリア・ローマ。画家のカラヴァッジョは天性の絵の才能から枢機卿の援助を受け、教会の絵をまかされるようになる。素晴らしい絵画によって賞賛を浴びる一方で、放蕩、暴力沙汰など彼の私生活が問題に。ついに決闘により相手を殺害してしまったカラヴァッジョは死刑判決を受け、ローマから逃亡することになるが…。
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◆実話なんだ!?(75点)
王道だけど、いいっ!! コレが実話だってことにも驚きと感動があります!!
そんな今作は~♪
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