運命のボタン - 佐々木貴之

◆重くてダークな雰囲気はサスペンス・ホラーらしい出来栄えだが、かなり重々しさを感じさせる(65点)

 リチャード・マシスン原作の短編小説をリチャード・ケリー監督が映像化したサスペンス作品で、主演のキャメロン・ディアスにとってはこれがサスペンス初挑戦となった。

この映画の批評を読む »

ブギーマン 死霊の鏡 - 小梶勝男

◆ドイツ・トラッシュ・ムービー界の巨匠、ウーリー・ロメル監督の代表作。スプラッター場面はそれなりだが、意味不明な展開が笑いを誘う(64点)

 トラッシュ・ムービーの世界はとても広い。本作は1980年製作のB級ホラーだ。スプラッターともオカルトともつかない作品で、その分野では有名なドイツのウーリー・ロメル監督の代表作である。あるウェブサイトでは最低映画の一つにも挙げられているので、ご存じの方もいるかも知れない。いや、ほとんどの人が知らないだろうし、別に知らなくてもいい。

この映画の批評を読む »

フェーズ6 - 渡まち子

フェーズ6

© MMVIII by PARAMOUNT VANTAGE, A Division of PARAMOUNT PICTURES CORPORATION All Rights Reserved.

◆凶暴なクリーチャーや派手は爆発など何一つ起こらないのに、ジワジワと広がる恐怖はリアリティたっぷりで緊迫感があり、アイデア勝負の作品と言える(65点)

 低予算で、ありがちな設定にもかかわらず人間の本性を暴く、意外にも出来のいいバニック・スリラーだ。致死率100パーセント、治療薬もないウイルスがまん延する世界で、感染を免れたブライアンとダニーの兄弟は、それぞれの恋人と共に、彼らが幼い頃過ごした思い出の地である海岸を目指して車を走らせていた。4人は、ゴーストタウンと化した途中の街で、さまざまな状況で生き残った人々に遭遇する。しかし、やがて4人のうち1人が感染していることが発覚すると、封印されていた本性がむき出しになっていく…。

この映画の批評を読む »

心霊音 THE MOVIE - 小梶勝男

◆ある建物の心霊現象を扱ったフェイク・ドキュメンタリー。ハイビジョンとデジタル処理で浮かび上がってくる霊が怖い(48点)

 映画監督・阿見松ノ介がある建物の心霊調査を依頼され、女優2人と撮影に訪れる。ハイビジョンで撮影した映像をデジタル処理すると、本物の心霊現象が浮かび上がってきた。

この映画の批評を読む »

劇場版 TRIGUN -Badlands Rumble- - 渡まち子

◆どんな場所、どんな時代にも荒野には争いが存在するが、ヒーローの登場を信じる人々の希望が西部劇を神聖化する(55点)

 内藤泰弘による人気コミックで、ド派手なガンアクションが魅力のサイバー・SF・ウエスタンの劇場版。近未来、流砂の町・マッカでは、市長のケプラーが、希代の大強盗ガスバックの襲来に怯えていた。一方、ガスバックに賭けられた巨額の懸賞金目当てに、名うてのガンマンたちが続々と町に集結。その一行の中には、伝説のガンマンで人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)と呼ばれる賞金首のヴァッシュ・ザ・スタンピードの姿が。だがヴァッシュは美貌の女ガンマンのアメリアにちょっかいを出してふざけてばかり。やがてガスバック一味が現れるが…。

この映画の批評を読む »

川の底からこんにちは - 小梶勝男

川の底からこんにちは

© PFFパートナーズ=ぴあ、TBS、TOKYO FM、IMAGICA、エイベックス・エンタテインメント、USEN

◆希望が持てない今の世の中で、どうやって頑張ればいいのか。その問いに、実に痛快な答えを出してくれるコメディーの秀作。主人公を演じた満島ひかりが素晴らしい(82点)

 槇原敬之は「世界に一つだけの花」で、ナンバーワンにならなくても、オンリーワンになればいい、という意味のことを歌っている。名曲だとは思うが、私はこの歌が好きではない。自分も含めて多くの人は、所詮、ナンバーワンにもオンリーワンにもなれないと思うからだ。「オンリーワン」といえるようなものを持っている人が、果たしてどれだけいるのだろうか。

この映画の批評を読む »

劇場版“文学少女” - 渡まち子

◆残念ながらミステリーと呼べるほどのドキドキ感は希薄。その分、思春期の少年少女たちの心の葛藤や切なさは全開だ(55点)

 野村美月の人気ライトノベル「文学少女」シリーズの映画化。高校に入学した新入生・井上心葉は、本をちぎって食べてしまうほど物語を愛する文学少女・天野遠子に、無理やり文芸部に入部させられてしまう。それから1年後、文芸部が設置した“恋愛相談ポスト”に不思議なイラストが描かれた手紙が入っていたが、その絵は宮沢賢治が描いた落書きと同じだった。誰が、何のために? 遠子と心葉は、手紙の贈り主とその意図を探り始めるのだが…。

この映画の批評を読む »

アーサーと魔王マルタザールの逆襲 - 小梶勝男

アーサーと魔王マルタザールの逆襲

© 2009 EUROPACORP-TF1 FILMS PRODUCTION-APIPOULAI PROD-AVALANCHE PRODUCTIONS Images et Effets 3D-BUF

◆リュック・ベッソンによる「アーサー」三部作の第2部。「アーサーとミニモイの不思議な国」(2006)に続き、実写と3DCGアニメを見事に合成し、フランスらしいユーモラスでお洒落な「地下王国」の世界を見せてくれる(68点)

 ミクロな地下世界を描きながら、「アバター」のようにエコロジーや自然回帰、反文明主義的な薄っぺらさに支配されていないのがいい。まるで無国籍都市・新宿のような、ピカピカ光る繁華街なのだ。

この映画の批評を読む »

ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲- - 渡まち子

ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-

© 2010「ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-」製作委員会

◆宮藤官九郎の脚本と三池崇史監督のアイデアが冴えて、ハチャメチャながらどこか説得力がある世界観が面白い(50点)

 エイリアンを倒して白黒つけたゼブラーマンが再び立ち上がる異色ヒーロー映画の続編。西暦2025年、ゼブラシティとなった東京。そこでは、艶かしいゼブラクィーンの歌声の中、殺人OKのゼブラタイムが導入されていた。教師の市川新市は警官から発砲されて意識を失う。目覚めるとそこはゼブラシティの犠牲者たちが集まるコミューン「白馬の家」だった。新市は15年間の記憶を失っていたが、かつて自分はゼブラーマンだったことを知る…。

この映画の批評を読む »

殺人犯 - 小梶勝男

◆人間の心に潜む異常なまでの邪悪さを描くサスペンス・スリラー。連続殺人の残虐な描写の果てに、衝撃のラストが待っている(68点)

 この作品が長編デビューとなるロイ・チョウ監督は、アン・リーの助監督をやった人で、Jホラーの直接的な影響はさほど受けていないという。だが、冒頭から途中までの展開は黒沢清の「叫」(2006)によく似ている。そして後半のどんでん返しは、書くとネタバレになるのでタイトルを書けないが、「ある映画」と全く同じネタだ。「パクリ」なのかと思ったら、監督がこの話の元になる新聞記事を読んだのは2004年という。偶然、同じネタとなったようだ。作品としては「ある映画」の方がよく出来ているが、こちらもなかなか面白い。もし「ある映画」を見ていなかったら、かなり衝撃的なラストだと思う。

この映画の批評を読む »

サバイバル・オブ・ザ・デッド - 小梶勝男

◆モダン・ゾンビの祖、ジョージ・A・ロメロのゾンビ・サーガ最新作。これまでの作品に比べ、緊迫感は薄れたが、人間同士の戦いをメーンに新しい切り口に挑戦している(79点)

 すでに70歳を超えるジョージ・A・ロメロの新作を見ることが出来るのはとても嬉しい。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の製作は1968年。それから42年がたち、ロメロの生んだ(ブードゥーではない)モダン・ゾンビは世界中で様々に進化し、増殖してきた。その間、ロメロも常に新しいゾンビ映画を、一種のサーガとして作り続けてきた。本作はロメロの6本目のゾンビ映画だ。これまでの作品と大きく違うのは、人間とゾンビの戦いではなく、人間同士の戦いがメーンとなっていることだろう。人間もゾンビも、「攻撃してくる者」「戦う相手」として、同じように描かれている。

この映画の批評を読む »

てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~ - 福本次郎

てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~

© 2010『てぃだかんかん』製作委員会

◆己の目標と家族の幸せを秤にかけながら、物質的な豊かさよりも、美しいサンゴの海を取り戻すという使命に突き動かされた主人公の生き方が胸を熱くする。しかし、中途半端に笑いを取ろうとするシーンが彼の熱意に水を差す。(50点)

 沖縄の海に美しいサンゴを取り戻したい。そんな思いにとりつかれた男の一途な行動は、妻子を、友人を、やがては無関心だった人々や開発推進派までも動かしていく。己の目標と家族の幸せを秤にかけながら、物質的な豊かさよりも、環境をこれ以上悪化させてはならないという使命に突き動かされた彼の愚直な生き方が胸を熱くする。しかし、真面目な題材なのに母親が渾身のフックを見舞うという不自然かつ中途半端に笑いを取ろうとするシーンが頻発し、せっかく高邁な理想を持った主人公の熱意に水を差している。いくらコメディアンが演じているからといえ、この作品にバラエティ番組のような低俗な笑いを持ち込む必要があったのだろうか。

この映画の批評を読む »

矢島美容室 THE MOVIE ~夢をつかまネバダ~ - 福本次郎

矢島美容室 THE MOVIE ~夢をつかまネバダ~

© 矢島美容室プロジェクト

◆「矢島美容室」というユニットに対して何の予備知識もないと、スクリーンを見ているのが苦痛になってくるはずだ。特に、石橋貴明の異様に強烈なインパクトを残すデカい顔は、不快を通り越してやけくそな気分にさせてくれる。(30点)

 とんねるずのバラエティ番組を毎週見ている視聴者に向けて作られたのだろう、出演者の悪ノリとも思える過剰な演技と毒々しいまでのクローズアップの連続。この「矢島美容室」というユニットに対して何の予備知識もなく映画を見に行くと、おそらくスクリーンを見つめ続けているのが苦痛になってくるはずだ。とくにアフロヘアにアイラインと口紅をさした石橋貴明の異様なまでに強烈なインパクトを残すデカい顔は、不快を通り越してやけくそな気分にさせてくれる。作り手が楽しんでいるのはよくわかるのだが、TVの人気キャラがふざけているだけの作品だった。

この映画の批評を読む »

ボーダー - 福本次郎

◆映画史に名を残す2大スターが演技の火花を散らし、謎と秘密、友情と裏切り、犯罪者と刑事、正義と銃弾といったサスペンスの必須アイテムがちりばめられた緊迫感あふれる映像、になるはずだったが、完全なミスキャストだった。(30点)

 映画史に名を残すハリウッドの功労者ともいうべき2大スターが演技の火花を散らし、謎と秘密、友情と裏切り、犯罪者と刑事、正義と銃弾といったサスペンスの必須アイテムがちりばめられた緊迫感あふれる映像、になるはずだった。しかし、デ・ニーロもパシーノも現場をはいずりまわる現役の捜査員を演じるには歳を取りすぎ体のキレがない。そもそもこの2人は「そこにいるだけ」で大いなる存在感を示すことができる俳優、それがどう見ても小物のヒラ刑事を演じるとは……。ミスキャストとはこの映画をいうのだろう。

この映画の批評を読む »

川の底からこんにちは - 福本次郎

川の底からこんにちは

© PFFパートナーズ=ぴあ、TBS、TOKYO FM、IMAGICA、エイベックス・エンタテインメント、USEN

◆「私なんてどうせ中の下の女ですから」と、己を過小評価するヒロイン。誇れる過去もなく、現在に不平はないが希望もなく、未来の夢もない。まるで不景気にさらされている現代社会の先行き不透明性を体現しているかのようだ。(60点)

 「私なんてどうせ中の下の女ですから」と、己を過小評価するヒロイン。誇れる過去もなく、現在に不平はないが希望もなく、未来の夢もない。まるで不景気にさらされている現代社会の先行き不透明性を体現しているかのようだ。そんな、何をやっても大した成果は上げられず、早くも人生が諦めモードに入っている彼女の日常と思考法がリアルだ。今より向上は望まないけれど、とりあえず生活に不自由しない収入を得てあとはだらだらと日々を過ごせればいいという、今風な若者の空気が彼女の言動に濃密に凝縮されている。

この映画の批評を読む »

【おすすめサイト】 
Warning: file(): php_network_getaddresses: getaddrinfo failed: node name or service name not known in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 80

Warning: file(http://www.beetle-ly.net/linkservice/full_nor/group73): failed to open stream: php_network_getaddresses: getaddrinfo failed: node name or service name not known in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 80

Warning: shuffle() expects parameter 1 to be array, boolean given in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 82

Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 83

 

File not found.