© NTV
◆書道パフォーマンスそのものがとても魅力的で、書道という古風な芸術に、現代的な空気を送り込む(75点)
“書道パフォーマンス”が町興しに一役買ったという痛快な実話は、高校生が書道を通して自分たちが住む町への愛情を再確認し、成長していくプロセスがさわやかだ。愛媛県四国中央市は紙の生産高日本一を誇る町だが、不況のため商店街は閑散として元気がない。そんなある日、四国中央高校の書道部の部長・里子と部員たちが見たのは、音楽に合わせて巨大な半紙に文字を書く臨時顧問・池澤の姿だった。その様子に衝撃を受けた部員たちは、町を活気付けようと「書道パフォーマンス甲子園」を開催しようと思いつく…。
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© NTV
◆堅苦しい旧来の作法を解き放ち仲間同士力を合わせて創作する、作り手の喜びを伝える新しい書道パフォーマンス。映画は、ひとつの目標に向かって努力する定型のなかで、成功よりも失敗にこそ学ぶべき点が多いこと強調する。(70点)
筆に墨を含ませ、紙に向かう。書道とは己自身と対峙、その内面が書に現れる心の鏡。だが、ここでの書道は、作品の出来栄えだけでなく、制作過程のパフォーマンスまでを含めて評価するというもの。堅苦しい旧来の作法を解き放ち、部員同士が力を合わせて創作するのだ。独創性を持った新しい波は、作り手の喜びを伝えることから始まると、少女たちは全身で表現する。映画は、ひとつの目標に向かって共に努力する達成感を描く青春モノの定型のなかで、成功よりも失敗にこそ学ぶべき点が多いこと強調し、結果以上に流した汗に価値があるとを教えてくれる。
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© 2010 FIDELITE FILMS - WILD BUNCH - LES FILM DE LA ZONE - ESSENTIAL FILMPRODUKTION - BIM DISTRIBUZIONE - BUF COMPAGNIE
◆全編宙に浮いたような位置でカメラを回して人間界を俯瞰し、リアルな性行為にまで踏み込んで描写するギャスパー・ノエが目指した世界は、大いなるイマジネーションに富んでいる。死は終わりではなく転生までの準備期間なのだ。(60点)
肉体を離れて浮遊する意識は自由に空間を移動するだけでなく、記憶の中にある過去にも遡ることができる。感覚が冴え、見るもの聞くものが過剰に知覚され、情報の洪水に圧倒されそうになる。死は決して魂の安らぎなどではなく、生という軛からの解放。しかしそれは感じられても、思考や行動で己を主張できない。だからこそ意のままにならないとわかっていても、魂は新たな入れ物を求めて現世に復帰しようとするのだろう。
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© 2010『てぃだかんかん』製作委員会
◆実話と考えると、鳥肌が立つほど感動しましたっ!(60点)
ストーリーは、養殖サンゴの移植と産卵を、世界で初めて成功した “金城浩司さん”の実話を基にしたものです。(金城浩司さんは、映画では“金城健司さん”で描かれています。)
いや~っ。。。夢っていうのは、「年齢は関係ないっ!」と言う人いますが・・・この映画を観て「本当に関係ないのかもっ!!」と思いましたっ!
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© 2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
◆デジタルとアナログを巧みに使い分けた狼男のビジュアルは、いかにも着ぐるみ気分なB級路線とは一線を画し、狼男の野獣としての異様さを生々しく描き出す(70点)
1891年、ロンドン郊外の農村に建つタルボット城に、舞台俳優のローレンス(ベニチオ・デル・トロ)は帰ってきた。兄ベンの婚約者グエン(エミリー・ブラント)から、兄が行方不明になったとの連絡を受けたのだ。結局、兄は無惨に切り刻まれた死体となって発見された。ある満月の夜、ローレンスも野獣に襲われて重傷を負う。その日以来、ローレンスは満月の夜になると体が異状をきたす身となった。ローレンスは献身的なグエンに惹かれていく一方で、以前から確執のあった父ジョン(アンソニー・ホプキンス)の不可解な行動に疑念を抱きはじめる……。
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◆大量破壊兵器にまつわる陰謀を暴く戦争アクション。政治的な題材だがエンタメ映画として楽しめる。(70点)
2003年のイラク。米軍のロイ・ミラー上級准尉と彼の部隊は、大量破壊兵器の所在を追う極秘任務に就く。危険な捜索が続くがなぜか兵器は発見できない。国防総省の動きと情報を不審に思ったミラーは、独自に調査を始めるのだが…。
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◆ラッセル・クロウとリドリー・スコットがロビン・フッドの起源を描く超大作映画(45点)
アカデミー賞俳優ラッセル・クロウが英国伝説のアウトロー集団の首領に扮するアメリカの今年の夏の超大作映画『ロビン・フッド(原題:ROBIN HOOD)』。ここ数年毎作クロウとタッグ組む映画監督リドリー・スコットがメガホンを取る本作は、彼が初めてクロウを主演に起用しアカデミー作品賞や主演男優賞受賞に導いた『グラディエーター』を彷彿とさせるアクション満載の作品。物語の中で血湧き肉躍る戦いが繰り広げられ、吠えるロビン・フッドに注目だ。
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© 2010 FIDELITE FILMS - WILD BUNCH - LES FILM DE LA ZONE - ESSENTIAL FILMPRODUKTION - BIM DISTRIBUZIONE - BUF COMPAGNIE
◆ノエ監督作品は一般ウケするようなモノではないことは最初からわかりきっているから、本作も風変わりな映像や作風を好む方にはオススメできる(60点)
フランス映画界の異端児ギャスパー・ノエが日本=東京を舞台にしたブッ飛び作品を撮った!! しかも、143分にも及ぶ力作だ!!
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© 2010「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」製作委員会
◆ダジャレとパロディ、謎解きまで、全編ユル~い展開にテンションは下がりっぱなし。ツッコまれるのが目的の小ネタと脱力感あふれるエピソードの数々は、観客の心をくすぐるのではなく、あえて寒さを感じさせるのが狙いなのか。(30点)
江戸時代の奇術師と蘭学者の因縁に始まり、「1Q84」をもじった主人公の著作タイトルやベタなダジャレ、過去のドラマ・映画の引用、そして手垢のついた謎解きまで、全編ユル~い展開に、見る者のテンションは下がりっぱなし。ツッコミを入れられることを目的としたとしか思えない瞬間芸のような小ネタからあまりにも幼稚な手品の種まで、脱力感あふれるエピソードの数々は、ストレートに観客の心をくすぐるのではなく、あえて寒さを感じさせるのが狙いなのか。その演出意図は悪くはないのだが、曲がりすぎて捕球できないナックルボールのように、笑いのストライクゾーンをはずしている。
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◆ハンディカメラの映像は激しく揺れ、戦場の緊迫感を再現する。それは自動小銃を手に銃弾をかいくぐり疾走する兵士が知覚する感覚のリアリティ。主人公の息遣いだけでなく、心臓の鼓動までが聞こえそうなテンションの高さだ。(70点)
街灯も乏しい裏街でターゲットを追い、時に銃撃戦を交えつつ走り抜ける。ハンディカメラで撮影された映像は上下左右に激しく揺れ、戦場の緊迫感を再現しようとする。それはペンやカメラを持ったジャーナリスト的な第三者の目ではなく、実際に自動小銃を手に銃弾をかいくぐり疾走する兵士が知覚する感覚のリアリティ。主人公の息遣いだけでなく心臓の鼓動までが聞こえてきそうなテンションの高さは、おのずと見る者に彼の不安や恐怖、それらを克服しようとする昂奮と冷静さを伝える。
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© 2010「苦い蜜」製作委員会
◆物語で印象的なのは、故意に真実を隠したりねじまげたりした人物の作為より、目の前の情報に踊らされ、確かめもせず一人の人間を犯人扱いしてしまう集団心理の恐ろしさ(60点)
ビートルズファンにはたまらないミステリーだが、ビートルズの楽曲のメロディや歌詞はさほど重要なアイテムではないのが意外だ。ビートルズ・バー「リボルバー」のオープニング・パーティの最中に、稀少版オリジナルLPレコードが紛失する事件が起こる。同じレコードを偶然持っていた柚木が犯人とされたのだが、その後柚木は死亡する。1年後、常連客が集まるリボルバーに、柚木の友人で、探偵の三影が現われ、事件の真相を解明しようと提案するが…。
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© 2010 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC AND LEGENDARY PICTURES
◆レイ・ハリーハウゼンの同名作のリメーク。モンスターが次々と登場するのはサービスたっぷりだが、モンスターの動きが速過ぎてよく見えず、3D効果も薄い(67点)
試写を見逃したため、劇場で3D、字幕版で鑑賞した。ダイナメーション(ストップモーション・アニメ)の巨匠レイ・ハリーハウゼンが特撮を手がけた「タイタンの戦い」(1981)のリメークで、監督は「トランスポーター」のルイ・ルテリエだ。ギリシャ神話を映像化したファンタジーだが、ドラマは粗筋程度しか描かれない。ルテリエらしく、とにかく、次々とモンスターが登場する。別にドラマが見たかったわけではないので、サービスたっぷりな感じがしてよいのだが、困ったことに、そのせっかくの見せ場がよく見えない。3Dも思ったほど飛び出さない。
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◆大金を得るために他人を犠牲にした人間に試練が与えられる。無表情な視線、突然の鼻血、諜報機関の関与。追い詰められていく夫婦が体験するじわじわと真綿で首を絞められるような感覚が、思わせぶりな映像の連続で再現される。(40点)
大金を得るために他人を犠牲にした人間に試練が与えられる。良心の呵責にさいなまれ、日常が徐々に歪んでいき、わずかな刺激にも過剰反応してしまい、やがては正常な精神状態が保てなくなる。無表情な視線、突然の鼻血、諜報機関の関与。追い詰められていく主人公夫婦が体験するじわじわと真綿で首を絞められるような感覚が、思わせぶりな映像の連続で再現される。ところが、彼らに“運命のボタン”を贈った謎の男の過去が明らかになるにつれ、怖さよりもばかばかしさが先に立つ。
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© Filmes do Tejo II - Les Films de l'Après-Midi. 2007.
◆長旅を通じてポルトガル人の海への憧れをノスタルジックな味わいで浮き彫りにさせている(65点)
新大陸発見で有名なクリストファー・コロンブスの没後500年を機に製作された作品で、監督は現在101歳のマノエル・デ・オリヴェイラ。06年にコロンブスはポルトガル人だったという新説がマヌエル・ルシアーノ・ダ・シルヴァという歴史家によって発表された。これに触発されてオリヴェイラ監督は本作を撮り上げたのである。
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© 2010「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」製作委員会
◆シリーズ10周年、劇場版として3作目。これまでのシリーズとほぼ同じ展開はマンネリだが、そこがいいところでもある(72点)
テレビ朝日の深夜番組としてスタートしてから、深夜ドラマが2シーズン、夜9時台での放送が1シーズン、スペシャルが2本(1本は現時点ではまだ放送されていない。2010年5月15日放送)、そして劇場版が本作を入れて3本。今年で10周年を迎えるシリーズは、これほど長く続いているのであるから、多くの人に愛されているといって言いだろう。10周年記念の本作の内容は、堤幸彦監督が一種のシニカルなジョークとして、舞台となる村を「万練村」と名づけたように、全くの「マンネリ」だ。これまでのシリーズの集大成でもあるし、単なる繰り返しでもある。本作の場合は、それでいいのだ。
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