ファンボーイズ - 渡まち子

◆物語は一見難病ものだが、ひたすらSW愛を炸裂させ、シメッぽさなど皆無なところが良い(60点)

 「スター・ウォーズ」ファンの涙ぐましくもバカバカしい奮闘を描いたロード・ムービーは、SW好きにはたまらない内容だ。時は「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」の公開半年前の1998年。SWオタクのエリックをはじめ、高校時代の同級生たちは公開を待ちわびていた。だが、仲間の1人のライナスが末期ガンで余命わずかであることを知る。なんとか彼に「エピソード1」を見せてやりたい一心で、エリックたちは大陸を横断し、カリフォルニア州にあるジョージ・ルーカスの映画製作の本拠地スカイウォーカー・ランチを目指すことに。目的は、公開前の「エピソード1」の映像データを盗み見ることだった…。

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音楽人 - 福本次郎

◆逆光の中に浮かび上がるようなしっとりとした奥行きのある映像があると思えば、カメラを常に動かすことでスピード感を出すなど見せ方に工夫があり、音楽を志す若者の夢と挫折、恋と再生という物語にアクセントを付けている。(50点)

 席を立って去ろうとする青年の袖をつまんだり、一緒に作曲しようと無理矢理同じ椅子の端に座らせる。男子に気持ちを伝えようとする女子のさりげなく計算された行動が非常にリアルだ。誘っているけれど相手に選択の余地を残し、自分にも逃げ道を作っておく、そんな微妙な駆け引きがディテール豊かに描かれていて共感を呼ぶ。逆光の中に浮かび上がるようなしっとりとした奥行きのある映像があると思えば、カメラを常に動かすことでスピード感を出して緩急を使い分けるなど見せ方にも工夫があり、音楽を志す若者の夢と挫折、恋と再生というありふれた物語にアクセントを付けている。

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グリーン・ゾーン - 前田有一

◆お笑いプロパガンダ(80点)

 『グリーン・ゾーン』を見ると、この映画を作った製作者らスタッフが、現代アメリカの本流というべき立場にいることがよくわかる。アメリカウォッチャーは、今後はこの人たちの作る映画から絶対に目を離すべきではないだろう。

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エンター・ザ・ボイド - 前田有一

エンター・ザ・ボイド

© 2010 FIDELITE FILMS - WILD BUNCH - LES FILM DE LA ZONE - ESSENTIAL FILMPRODUKTION - BIM DISTRIBUZIONE - BUF COMPAGNIE

◆凶悪度はダウンしたが、相変わらずぶっとんだ映画(70点)

 「東京はセックスに取り付かれた街だから(ロケ地に)選んだ」と、本作の監督ギャスパー・ノエは言った。このフランス映画界の鬼才は、よく日本を理解していらっしゃる。確かにある意味、日本人の性に対するこだわりはハンパではない。セックスと輪廻をテーマにした『エンター・ザ・ボイド』の舞台として、これ以上ふさわしい場所はないだろう。

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冷たい雨に撃て、約束の銃弾を - 渡まち子

◆男たちの鮮烈で美しい生き様は横やりの言葉など許さず、見るものを黙らせる迫力がある(75点)

 フィルム・ノワールの本家フランスの香りと、香港ノワールの雄ジョニー・トーの独自の美学の出会いは、芸術的なハードボイルド映画を生んだ。凄腕の殺し屋だった過去を持つフランス人のコステロは、マカオに住む最愛の娘とその家族が何者かによって惨殺されたことを知る。異国の地で偶然出会ったクワイ、チュウ、フェイロクの3人の殺し屋を全財産をはたいて雇い、復讐を誓うコステロだったが、彼は徐々に記憶を失う脳の病を抱えていた…。

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運命のボタン - 前田有一

◆原作と違う結末が秀逸(80点)

 ギリシャ経済のゴタゴタに伴う暴落で、GW明けに即死状態となった投資家も少なくあるまい。金というものは……というより、そこにかける人々の情熱とは、なんとパワフルで恐ろしいものか。すっかりポジションを失い、抜け殻のようになったFX初心者などに、私はこの『運命のボタン』をすすめたい。

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劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル - 前田有一

劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル

© 2010「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」製作委員会

◆これといった特徴なし(30点)

 前作を見た人にシリーズはこれで完結……と思わせておいて、ほとぼりが冷めたころにまるっと復活。始まる前から見事なトリックを見せてくれた劇場版第3作である。そもそも、確実に儲かるものをやめるなんてこの不況時ありえぬ話。仲間由紀恵&阿部寛の芸達者コンビならば、アラフォー、アラフィフになろうとも、変わらぬ夫婦漫才を見せてくれるに違いない。

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9 ~9番目の奇妙な人形~ - 前田有一

9 ~9番目の奇妙な人形~

© 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

◆高品質な物語と世界観、そしてアニメーション(75点)

 巨匠ティム・バートンがほれ込んだ至高の11分。その短編アニメーションを、同じ監督(シェーン・アッカー)が長編リメイクしたものが本作『9 ~9番目の奇妙な人形~』である。

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ホームレス・ワールドカップ - 前田有一

◆ホームレスだらけのサッカー大会(65点)

 私が生まれ育った東京の下町には山谷という、それこそホームレス世界大会をやれば準決勝くらいまでいきそうな気合の入った町がある。世界第2位とか第3位とか言われるこの経済大国、それも大東京の端っこに、明らかに物価と価値観が一桁ずれた町が存在するわけだ。ある意味その特殊性は、世界的に見ても珍しい部類に入るのではないか。

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パリより愛をこめて - 福本次郎

パリより愛をこめて

© 2009 EUROPACORP - M6 FILMS – GRIVE PRODUCTIONS – APIPOULAÏ PROD

◆スキンヘッドにヒゲ面という“いかにも”な風貌のジョン・トラボルタがスクリーン狭しと暴れまわる姿は、痛快かつ爽快。有無を言わせぬ暴力的性向はスタイリッシュの対極だが、迷いのないストレートな強さはカタルシスを覚える。(60点)

 絡んでくるチンピラをぶちのめし、銃口を向ける者は躊躇なくぶっ殺す。この恐ろしく粗野でスゴ腕の主人公をジョン・トラボルタが大熱演。スキンヘッドにヒゲ面という“いかにも”な風貌の男が問答無用の暴走でスクリーン狭しと暴れまわる姿は、痛快かつ爽快。有無を言わせぬ暴力的性向はスタイリッシュの対極にあるが、迷いのないストレートな強さは清涼なカタルシスさえ覚える。考える間を与えぬスピーディな展開と謎が謎を呼ぶ構成はミステリーの趣も備え、極限まで無駄をそぎ落としたストーリーテリングに時間が経つのを忘れてしまう。

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ランデブー! - 福本次郎

◆お人よしのヒロインが事件に巻き込まれ、誰が味方で誰が敵かもわからないまま東京中を逃げ回る。携帯電話の、すぐに連絡を取れるけれどつながらなかった時のフラストレーションを再現し、ミステリーの趣を加えた脚本が秀逸。(60点)

 舌足らずな話し方と困惑顔、感情がすぐに現れるヒロインの言動が保護本能を刺激する。疑っていても押し切られ、騙されていると気づいていてもいいなり。お人よしの彼女が殺人事件に巻き込まれ、誰が味方で誰が敵かもわからないまま東京中を逃げ回る。離れているときは話せるのに同じ場所にいるのにすれ違う、そんな携帯電話の、簡単に連絡を取れるけれどつながらなかった時のフラストレーションを再現しつつ、ミステリーの趣を加えた脚本が秀逸。全体的に漂う軽さとユルさをコミカルに処理して絶妙な味わいを醸し出す。

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僕たちのプレイボール - 渡まち子

◆野球は一人の力では勝てないスポーツで、チームワークが何よりも大切だとするテーマは、平凡に見えるが説得力のある展開で安心して見ていられる(50点)

 リトルリーグ誕生70周年を記念して作られたベースボール・ムービーには、エグゼクティブプロデューサーとして新庄剛志の名前がある。元メジャーリーガーの父親を持つ小学生の球児はアメリカで暮らしながら大好きな野球に熱中していた。だが、母親は球児の将来のために、母子だけで日本に帰ることを決意。帰国した球児は同級生の勧めで「東陽リトル」という少年野球チームに入団するが、野球に真剣に取り組まないチームメイトやコーチらとなじめずにいた。孤立する球児だったが、チームメイトの女の子・沙希が野球に打ち込む理由を聞いて、自分の態度をみつめ直し、リトルリーグの世界大会出場を目指して仲間と共に練習に励む。

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逆襲!スケ番ハンターズ/地獄の決闘 - 佐々木貴之

◆亜紗美が繰り広げる格闘シーンは秀逸であり、身動きやパンチ、キックに不自然さを感じさせず、キレ味も抜群(75点)

 短編オムニバス『893239(ヤクザ23区)』内の『やくざハンター』が話題を呼び、東亜英樹名義でこれを手懸けた奥田真一と中平一史がそれぞれ単独で撮った『スケ番☆ハンターズ』二部作が誕生した。

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ファンボーイズ - 佐々木貴之

◆『スター・ウォーズ』愛を超越した映画愛を感じられた傑作だ(75点)

 『スター・ウォーズ エピソード1 ファントムメナス』公開を控えた1998年。中古車販売店勤務のエリック(サム・ハンティントン)は、ハロウィンの夜に『スター・ウォーズ』好きの高校時代の友人たちと再会する。だが、そのうちの一人ライナス(クリストファー・マークエット)は末期ガンに冒されており、余命わずか。『エピソード1』公開まで生きているかどうかわからないということで彼らはルーカス・フィルムの本拠地“スカイウォーカー・ランチ”に侵入していち早く鑑賞することを目的にした旅に出るが……。

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パリより愛をこめて - 渡まち子

パリより愛をこめて

© 2009 EUROPACORP - M6 FILMS – GRIVE PRODUCTIONS – APIPOULAÏ PROD

◆お約束の激しいカーチェイス、パリの裏社会の怪しげな描写、コミカルながらスタイリッシュなアクションはしっかり健在(55点)

 ハリウッドとヨーロッパの両方のテイストの不思議なブレンドが持ち味の、リュック・ベッソン印のアクション・ムービー。パリの米国大使館に勤めるリースは、エージェントとしての華やかな活躍を夢見ているのに、地味な諜報活動をこなすつまらない日々を送る新米捜査官。そんな彼が、麻薬捜査のために仏入りしたCIAの異端児ワックスとコンビを組むことに。型破りというより、ムチャクチャなワックスの捜査スタイルに唖然としながらも経験を積んでいく。そんなリースを恋人のキャロリンは優しく見守っていた。やがてリースとワックスは来仏する米政府要人の暗殺計画を突き止めるが…。

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