殺人犯 - 福本次郎
◆主人公の不安定な精神を延々と再現するという、あまりに手垢のついた表現にウンザリしているときに突然投げ出される衝撃の真実。どんでん返しとはまさにこの展開、禁じ手スレスレのまったく予想外のオチに思わず膝を打った。(50点)
「もしかして」という疑念と「そんなはずはない」と否定する声が胸の奥で共鳴する。同僚が悲惨な目にあった現場で気を失っていた刑事が、捜査を続けるうちに犯人は自分ではないかという疑いを持ち始める。記憶喪失、妄想、悪夢…、謎が新たな謎を呼ぶ迷宮の中で立ち往生し、途方に暮れる彼の心理状態は壊れそうなほどデリケートに過剰反応していく。映画は、そんな主人公の不安定な精神を延々と再現し、今はやりのサイコホラーの様相を呈していく。そのあまりに手垢のついた表現にウンザリしているときに突然投げ出される衝撃の真実。どんでん返しとはまさにこの展開、禁じ手スレスレのまったく予想外のオチに思わず膝を打った。
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© 2009 EUROPACORP - M6 FILMS – GRIVE PRODUCTIONS – APIPOULAÏ PROD
◆迫力満点の中での思わぬ展開に絶句っ!(70点)
この映画の感想をみなさんにお伝えする前に、どうしてもお伝えしたいことがあります!!
あるテレビ番組で得た情報なのですが・・・
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© 2010 New Line Productions, Inc. and Home Box Office, Inc.
◆大人気ドラマの劇場版の続編だが、雰囲気はゴージャスでも、物語に新鮮味が感じられない(50点)
仕事も恋も遊びも貪欲なあの4人が再び登場。浮世離れしたセレブ・ライフと下世話な本音トークに笑いがこみ上げる。結婚式ドタキャンという事件を乗り越えてようやく結ばれたキャリーとミスター・ビッグ。2年目の結婚記念日を迎えるが、どうやら倦怠期のムードだ。一方で、ミランダとシャーロットもそれぞれの問題で頭を悩ませていた。そんなとき、中東の都アブダビへの豪華旅行に招待されたサマンサが3人に一緒に行こうと提案する。夢のようなバカンスではしゃぐ4人だったが、キャリーは元カレのエイダンと偶然に再会し…。
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◆“ラブコメの女王”の異名を取るキャメロンの名前に釣られて劇場に足を運んだ人のなかには、あまりに予想外の結末に席から立てなくなる人もいるかも(65点)
舞台は1976年のヴァージニア州郊外。高校教師のノーマ(キャメロン・ディアス)とNASAに勤める宇宙飛行士志望のアーサー(ジェームズ・マースデン)夫妻は、ひとり息子と3人で仲良く暮らしていた。ある朝、自宅前に身に覚えのないボタン装置が置いてあった。
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◆お笑い芸人を目指していたのに、周囲に流される主人公が殺人事件に巻き込まれる中で、少しだけ成長していく過程がもどかしくも共感を呼ぶ。真剣に生きるというのは、みっともなくても汗を流して働く態度であることを学んでいく。(50点)
何をやっても中途半端な青年が、命の危険にさらされたときに初めて決然とする。それは人生と真摯に対峙すること。お笑い芸人を目指していたはずなのに、周囲に流されてしまい、その一方で新しい道に進むのは不安で仕方がない。そんな主人公が殺人事件に巻き込まれる中で、少しだけ成長していく過程がもどかしくも共感を呼ぶ。一種のストックホルム症候群の中で、彼は真剣に生きるのはみっともなくても汗を流して働き、愛する者のために闘うことをいとわない態度であると学んでいく。
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◆日々、執行官の足音に脅えながら拘置所で朝を迎える死刑囚のみならず、判決を下した裁判官の人生も狂わせていく死刑制度。心理的に追い詰められた状況で自白を強要されていく恐ろしさが、生理的なリアルさをもって描かれる。(60点)
警察の思い込み捜査、刑事による拷問のような取り調べ、さらに検事による高圧的な尋問。公権力の前では一個人はこれほどまでに無力で、魂ですら打ち砕かれていくものなのか。映画は、袴田事件は冤罪・捏造という仮説にたち、人を裁き人の命を奪う判決を出すことがいかに葛藤をともなうものであるかを物語る。日々、執行官の足音に脅えながら拘置所で朝を迎える死刑囚のみならず、判決を下した裁判官の人生も狂わせていく死刑制度。心理的に追い詰められた状況で自白を強要されていく恐ろしさが、生理的なリアルさをもって描かれる。
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◆自分の過去に向き合い、後悔してもそれを口に出して言えない男の旅は、観客に生きる難しさを教える(60点)
海外の映画祭でも評価が高い小林政広監督の新作は、祖父と孫が一緒に旅をするロードムービーだ。北海道に住む、元漁師の忠男は、失業したため東京に働きに出ると言う18歳の孫娘・春と共に親族を訪ねる旅に出る。目的は忠男の生活の面倒を見てもらうこと。二人は今まで疎遠だった親類縁者を訪ねるが、そこには厳しい現実があった。頑固者な上に足が不自由なため春に頼って生きてきた忠男と、父母のいない春は、今まで避けてきた家族という存在に否応なく向き合うことになる…。
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◆驚愕のラストに向けた伏線を見逃すな!(70点)
いやあ、たまげた。本作の最後に明かされる「ある事実」には心底、驚嘆した。本当はサプライズがあることすら知らずに劇場に行った方が衝撃度は増すのだけれど、「なになに? どんなビックリがあるの?」とワクワクしながら公開を持つのも、それはそれで楽しいだろう。だから言っちゃう。あなたは本作のエンディングに必ずや目を丸くするだろう。そして劇中にちりばめられた数多くの伏線を思い起こし、それを再確認するためにもう1度観たくなるだろう。観るがいい。それだけの価値はある。
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◆本作はレフェリーという、サッカーの試合に欠かせない存在でありながら、常に憎まれ役でもある功労者にスポットを当てているところが面白い(65点)
サッカーの試合を陰で支えるレフェリーに着目した、UEFA(欧州サッカー連盟)公認ドキュメンタリー。中心になるのはEURO(UEFA欧州選手権)2008で笛を吹いたイングランドのレフェリーのハワード・ウェブだ。彼がポーランドチームに下したジャッジが大きな波紋を呼ぶ。映画は、欧州のベスト・レフェリーに選ばれたウェブの苦悩とUEFAの判断、ビデオ判定や審判の家族の思いなど、さまざまな角度からレフェリーという仕事に迫っていく。
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◆放たれた矢を足場にして城壁を這いあがった青年が、砦の中ではロープを使って空間を立体的に使ったアクションを見せる。短いカットを積み重ね、破壊と混乱の中で剣を振り回して敵をなぎ倒す主人公のスピード感に圧倒される。(50点)
ほこりの舞うスラム街で少年が軒に登り屋根の上を走るかと思えば、血気にはやる青年が石弓から放たれた矢を足場にして城壁を這いあがる。さらに砦の中ではロープを使って空間を立体的に使ったアクションを見せる。短いカットを積み重ね、破壊と混乱の中で剣を振り回して敵をなぎ倒す主人公のスピード感に圧倒される。後半にはフックのついた鞭、手裏剣、毒蛇まで駆使する暗殺団が登場、彼らとの死闘は変化と意外性に富み、映像の疾走感は最後まで衰えない。
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© 2010「座頭市 THE LAST」製作委員会
◆ただ歩いているだけなのに他のキャラクターが卑小に思えてしまう仲代達矢の圧倒的な存在感は、この映画の主人公がいったい誰なのかを忘れさせてしまうほど。しかし、平板な描き方のエピソードの連続には退屈を禁じえなかった。(40点)
宴の準備で大勢の使用人が忙しく立ち働く屋敷の空気が、親分の登場で一瞬にして凍りつく。歩いているだけなのにスクリーンに映る他のキャラクターが卑小に思えてしまう仲代達矢の圧倒的な存在感は、この映画の主人公がいったい誰なのかを忘れさせてしまう。さらに、敵対する組織の親分を前にした魚の刺身についての口上は、大見得を切るように恐ろしく芝居がかっていて、壮大な物語が待ち受けているような期待を抱かせる。しかし、残念ながら仲代に対抗しうるほど印象に残った出演者は民間医に扮した原田芳雄のみで、平板な描き方のエピソードの連続には退屈を禁じえなかった。
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◆一貫したビジョンが感じられる典型的な実験映画になっている(50点)
実験精神にあふれたカルト・ムービーの進化形。東京の外資系企業で働くアメリカ人男性アンソニーは、日本人の妻ゆり子と幼い息子のトムと3人で幸せに暮らしていた。ある日、謎の男が運転する車に息子のトムが轢き殺される事件が発生。絶望と怒りからアンソニーは次第に感情のコントロールが出来なくなる。ついに我を失ったそのとき、アンソニーの身体は蒸気とどす黒いオイルを噴出し、全身が金属と化していく…。
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© 2010 BOX! Production Committee
◆キャスティングD頑張りすぎ(55点)
ボクシング映画にはずれなしとよくいわれるが、その原因は見る側の目が肥えていることが大きい。昭和の昔から国民的スポーツであるこの格闘技を、映画という作り物の上で再現するには、相当な工夫が要る。映画監督になるような世代の人なら誰もがそれを理解しているから、安直な実写映画が生まれにくいのではないかと想像する。
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© 2009 BABE RUTHLESS PRODUCTIONS, LLC All Rights Reserved.
◆疲れた女性たちの背中を押してくれる映画(65点)
この映画をエレン・ペイジの主演最新作とみるか、ドリュー・バリモアの初監督作品とみるか、まず分かれるところだろう。87年生まれのエレン・ペイジは若手女優の中では群を抜く異質さを感じさせる逸材で、その出演作(「JUNO/ジュノ」(07)、「ハード キャンディ」(05))を見た者なら、二度と忘れられないインパクトを受けたはずである。
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© 2010「座頭市 THE LAST」製作委員会
◆SMAPの香取慎吾が座頭市に挑戦した意欲作。人間味のあるリアルな座頭市像を作ることには成功しているが、仲代達矢や倍賞千恵子らの大芝居が浮いていて、非常にバランスが悪い作品になってしまった(66点)
座頭市といえば、何といっても勝新太郎だろう。ビートたけしも演じたし、やや変則的なものとしては、綾瀬はるかが女座頭市に扮した曽利文彦監督の「ICHI」(2008)がある。その他、山田誠二監督「新怪談残虐非道・女刑事と裸体解剖鬼」(2004)のゾンビ市(橋本和博)、高橋洋監督の地下映画「ソドムの市」(2004)の俎渡海市兵衛(浦井崇)なども、座頭市の変奏曲だ。日本映画だけではない。「ブラインド・フィーリュー」(1989)のルトガー・ハウアー、さらに最近の米国映画(タイトルを書くとネタバレになるので書かない)にも、座頭市的なキャラクターは登場する。盲目の居合い斬りの達人は、あまりに強烈で魅力的なキャラクター故に、様々に作り手の創造力を刺激するのである。
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