© Yellow Bird Millennium Rights AB, Nordisk Film, Sveriges Television AB, Film I Vast 2009
◆事件の解決は3に持ちこされるが、次回への興味を最高の形でつなぐ巧みなストーリーテリングに、引きつけられる(65点)
世界的ベストセラーのミステリー小説を映画化した「ミレニアム」3部作の第2弾。天才ハッカーのリスベットとジャーナリストのミカエルがほとんど別行動なので前作に比べて少し物足りないが、リスベットの過去が現代の事件とつながる展開が面白い。孤独に生きてきたリスベットが、愛してしまったミカエルの前から姿を消して1年。社会派雑誌「ミレニアム」で少女売春組織の特集の準備を進めていたジャーナリストが殺害される。現場にはリスベットの指紋がついた銃が残されていた。その後、リスベットの後見人のビュルマンも殺害され、リスベットは容疑者として指名手配されてしまう。彼女の無実を信じるミカエルは、雑誌発売に関する脅迫を受けながらも、リスベットの嫌疑をはらそうとする…。
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◆秘書の目を通して見たトルストイ夫妻の愛と、理想を追う側近たちの葛藤。そこにあるのは、自由を標榜する人間ほど目的の達成のためには他人の自由を制限するという皮肉だ。それは後の社会主義の独裁者に通じるものがある。(60点)
ベッドに伏せる文豪の様子を知ろうと、病院代わりとなった駅舎の周りにできた“記者村”。大勢の報道陣のために脈拍・血圧などの病状が定期的にブリーフィングされる。昭和末期にも日本で見られた光景だが、この物語の主人公・トルストイがいかに大衆の関心を集めていたかを雄弁に語るシーンだ。映画は、彼の秘書の目を通して見た老夫婦の愛と、理想を追う側近たちの葛藤を描く。そこにあるのは、自由を高らかに標榜する人間ほど目的の達成のためには他人の自由を制限するという皮肉。それは後にマルクス主義を拡大解釈し政権をほしいままにした社会主義の独裁者に通じるものがある。
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◆愛しているはずなのに、ぎこちない接し方をしてしまう父親。胸の内をうまく伝えられず父親を誤解する息子。映画は、青空に陽光が降り注ぐ南国の明るい風土とは裏腹に、出自を知ってしまった少年の苦悩を拗ねた視線で表現する。(50点)
わが子として愛しているはずなのに、どこかぎこちない接し方をしてしまう。言いつけを守らないときはつい暴力をふるう。そんな、反抗期をむかえた息子の扱いに悩む父親の姿がリアルだ。一方の息子も、胸の内をうまく伝えられず父親を誤解してしまう。そしてすれ違いを繰り返し、お互いの心情に鈍感な父と息子がついに決定的な衝突をしてしまう。映画は、青空に陽光が降り注ぐ南国の明るい風土とは裏腹に、出自を知ってしまった少年の苦悩を拗ねた視線で表現する。その、いつか親に見捨てられるのではないかという、押しつぶされるような切迫感は、戦争で日本に見捨てられて米国の領土となった沖縄の記憶に刻まれた悔しさに起因しているのか。
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悪人 - 渡まち子
© 2010「悪人」製作委員会
◆ひとつの殺人事件が重層的にあぶりだす人間の心の闇。愛を渇望する男女の逃避行が胸を打つ。(75点)
長崎在住の土木作業員の祐一と、佐賀に住む紳士服量販店店員の光代は、携帯の出会い系サイトで知り合い、強く惹かれ合う。だが祐一は、今世間を騒がせている女性保険外交員殺害事件の犯人が自分であることを告白する…。
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© 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
◆実際にあるとしたら、一度は体験してみたいかも!?(85点)
「ダークナイト」などを手掛けた、クリストファー・ノーラン監督・脚本・製作で、10年程前から、構想を練って完成された作品だそうです。
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◆迫力はあるが、どこかチグハグ(65点)
『バイオハザードIV アフターライフ』は、内容からプロモーションまで、チグハグ感の漂うほほえましい話題作である。
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◆3Dらしく急降下や突進を繰り返しながら、縦横無尽に空間を飛びまわるヒロインの戦いっぷりは、魅力的だ(50点)
人気アクションシリーズ最新作のウリはシリーズ初のフル3D仕様。物語に深みはないが映像はなかなか面白い。ウィルス感染によって無数のアンデッド(ゾンビ)が誕生し、荒廃した世界。東京でも感染者が現れ、街の機能は停止しているかに見えたが、地下に潜ったアンブレラ社は密かに活動を続けていた。生き残った人類を探して旅をする女戦士アリスは旧知のクレアと再会するが、彼女は記憶を失っていた。2人は安全が保障されている船「アルカディア号」を目指してLAへと向かうが、そこで目にした光景は、何千というアンデッドで埋め尽くされた中、堅固な刑務所に立てこもる僅かな人間の姿だったが…。
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© Yellow Bird Millennium Rights AB, Nordisk Film, Sveriges Television AB, Film I Vast 2009
◆胸に宿る復讐の炎に気づかぬ者は大やけどをし、明晰な頭脳をみくびる者は罠にはまる。さらに恐れを知らぬ勇敢さはどんな屈強な男でもぶちのめす。パンクファッションで法廷に現れる雄姿は、あらゆる権威・権力に対する抵抗だ。(80点)
精神病院で手足を縛められ、「無能力者」のレッテルを張られたヒロイン。彼女を社会から抹殺しようとする男たちは、統合失調症として片付ける。その虐げられた胸に宿る復讐の炎に気づかぬ者は大やけどをし、明晰な頭脳をみくびる者は罠にはまる。さらに恐れを知らぬ勇敢さはどんな屈強な男でもぶちのめしてしまう。鼻ピアスにパンクファッション、髪を逆立てて法廷に現れる雄姿は、あらゆる権威・権力に対する抵抗。反面、今回はハッカーの友人や弁護士、そしてジャーナリストや医者など、味方をしてくれるものには少しだけ胸襟を開くという成長も垣間見せる。
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© Yellow Bird Millennium Rights AB, Nordisk Film, Sveriges Television AB, Film I Vast 2009
◆忌まわしい過去と巨大な秘密に対峙するヒロイン。壮大な仕掛けと張り巡らされた伏線、よりミステリー色を前面に出し、ダークサイドに堕ちた人間の魂をのぞきこむような映像と意表を突く展開に、スクリーンから目を離せない。(80点)
小柄で華奢、まるで世界を敵に回すかのごとき憎悪をむき出しにする反面、ハッカーとしての天才的能力、何ものをも恐れぬ勇気と行動力を持つヒロインの強烈な個性はこの続編でも健在。まともに言葉を交わせないほどの他人に対する圧倒的な不信感を、なぜ彼女は抱くようになったのか。今回は偶然巻き込まれた殺人事件をきっかけに、彼女は封印されていた忌まわしい過去と巨大な秘密に対峙せざるを得ない状況に陥っていく。壮大な仕掛けと張り巡らされた伏線、よりミステリー色を前面に出し、ダークサイドに堕ちた人間の魂の奥をのぞきこむような映像と意表を突く展開の連続は一瞬たりともスクリーンから目を離せない。
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◆過去の名作からの引用がちりばめられたこの4作目、クールな映像はより洗練され、登場人物は無機質になっている。絶望と戦い希望の地を目指すヒロインは相変わらず抜群に強く、ゾンビ軍団も数を増やして彼女を追い詰める。(40点)
垂直に落下しながらマシンガンをぶっ放したり、ロープを握って屋上からジャンプすると同時に爆弾が爆発したり、水平に投げたサングラスが回転しながら飛んで行ったり、犬の頭が裂けたり、波動を描きながら迫ってくる弾丸をよけたり…。まだまだ枚挙にいとまがないほど過去の名作からの引用がちりばめられたこの 4作目、クールな映像はより洗練され、登場人物は無機質になっている。絶望と戦いながら希望の地を目指すヒロインは相変わらず抜群に強く、それに伴いゾンビ軍団もより数を増やして彼女を追い詰める。
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© 2010「BECK」製作委員会
◆観客の想像を超えられないものを、描かないことによって、観客の想像を超えようとした意欲作(72点)
次々と大作、話題作を手掛け、ヒットを飛ばしている堤幸彦監督は、一般の観客に支持されていると言っていいだろう。しかし、周囲の映画記者や関係者にそう言うと、強烈に反論され、バカにされることが多々ある。コアな映画ファンの一部には、堤作品が大嫌いな人たちが存在するのである。堤監督が一般の映画ファンに受け入れられるのに、一部のコアな映画ファンに嫌われるのは、なぜなのだろうか。
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悪人 - 前田有一
© 2010「悪人」製作委員会
◆真の孤独を知る人におすすめのラブストーリー(75点)
尽くす女、と呼ばれる女性がいる。遠方に住む異性の友人から窮状を知らされると、いてもたってもいられず送金の準備を始めたり、明らかに身の立つ可能性のないロックミュージシャンを食わせる事に生きがいを見出すタイプである。外部から見れば、どうみても堕ちる一方なのになぜそんな事をするのか。
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◆ド貧乏な上に障がい者、だが明るい(60点)
小児麻痺というと、志半ばで引退した往年の野球選手ルー・ゲーリッグを真っ先に思い出す(実際は筋萎縮性側索硬化症だった)。難病に侵され満足に体を動かす事もできなかったのに「私は地上で最も幸せな男です」と語った引退スピーチ。直後に駆け寄ってきたベーブ・ルースと抱き合う様子が当時のフィルムに残っているが、涙なしでは見られない大リーグ史上有数の感動的なシーンである。
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◆美しい映像でみせる等身大の恋愛模様(60点)
人間は美しいものが好きである。花にしても美術品にしても、美しいから人は惹かれるわけだ。
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◆エドガー・ライトのハリウッド進出第一弾(85点)
男の子達に人気のゲームや漫画の醍醐味は襲ってくる敵を次々と倒してゆくというもの。ブライアン・リー・オマーリー原作で、『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』のエドガー・ライト監督が映画化した『THE SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD』はまさにそんな作品。映画で人気のゲームと同じ様なスタイルを取ってしまったら惰性により飽きてしまうのが通常。しかし、本作はコメディ、アクション、ミュージカル、そしてラブストーリーと、いろんな要素がミックスされて作られた一瞬たりとも飽きさせない傑作なのだ。
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