ファッション業界一のカリスマの波乱万丈な人生(75点)
創業100周年ということで、3本のシャネル映画が封切られる予定だが、その先鋒をつとめる本作も期待通りの見事なできばえであった。
ファッション業界一のカリスマの波乱万丈な人生(75点)
創業100周年ということで、3本のシャネル映画が封切られる予定だが、その先鋒をつとめる本作も期待通りの見事なできばえであった。
◆丸々2曲をフルコーラスで採用した制作者の心意気に敬意を表したい(65点)
仏教高校に通う高校1年生の純(渡辺大知)は、ボブ・ディランに憧れ、ギターでの曲作りを趣味にしている。文系男子の宿命なのか、学校では影が薄く、肩身の狭い思いをすることばかり。異性やロックに対する憧れと平凡な現実の差に悶々とする日々をすごしている。そんなある日、友人から「フリーセックスの島、行かへん?」と隠岐島旅行に誘われ……。
手作りのラーメンのなんと美味しそうなことか(70点)
人が心から楽しみにしている“ごはん”には、こんなにも力があるものなのか。南極を舞台にした異色グルメ映画だが、背景には、家族への思いや仕事の誇り、非日常的空間での人間関係などがあり、見所満載だ。1997年、海上保安庁の調理担当・西村は、南極越冬隊のコックとして、南極ドームふじ基地に派遣される。娯楽が少ない隊員たちには食事は何よりの楽しみで、西村は限られた食材で、時に豪華な、時に素朴な料理を作り、彼らの要求に応えていく。
結末には思わず言葉を失った(65点)
のどかな印象のタイトルとは裏腹に物語は極めてシビアなものだ。縞模様のパジャマとは、強制収容所内のユダヤ人が着る服のこと。第二次大戦下、8歳のブルーノはナチス将校である父の昇進に伴い、ベルリン郊外に越してくる。ある日、屋敷の裏庭で、鉄条網で覆われた場所にいる同い年の少年シュムエルと知り合う。二人は友達になりフェンス越しに心を通わせるが、やがて彼らの友情が皮肉な運命を呼ぶことに。
飛行機やロケットが動き出すシーンはスリル満点(65点)
真夜中の博物館で展示物が動きだすという奇想天外なファンタジーの続編は、世界最大の展示数を誇るスミソニアン博物館が舞台。元警備員のラリーは、NYの自然史博物館の展示物たちのピンチを知る。加えて、魔法の石版が、世界征服を企むエジプトのファラオの手に渡る危険も。ラリーは助けを求める展示物たちと共に、またしても大冒険を繰り広げる。
◆地上最悪のエキスパート・チーム!(20点)
今年の夏の超大作映画において、『スター・トレック』はファンを納得させる出来で大ヒット、『トランスフォーマー』は前作を上回るド派手さが映画を記録的大ヒットに導いた。これらの映画は基となるTVシリーズやフィギュアを新しい世代のために現代的要素を取り入れ上手に興行的に成功した良い例であろう。そこへ来て、期待されていた実写映画『G.I.ジョー(原題:G.I.JOE: THE RISE OF COBRA)』はまるで悪夢。これを公開する事にOKが出たのかさえ謎だ。本作は米TVアニメ「地上最強のエキスパート・チームG.I.ジョー」を基にしているが、特にアニメを観て育った世代が泣いている姿が目に浮かぶ。
華麗なファッションを十分に楽しんでほしい(65点)
偉大なデザイナー、ココ・シャネルの伝記映画が相次いでやってくるが、本作はもっともわかりやすい作りではなかろうか。孤児院育ちから、お針子になり、帽子作りで頭角を現した若き日々は、運命の恋人ボイ・カペルの出現によって激変していく。
◆ひとりの女性の魅力と人間的な本質に真摯に迫ろうとした作品(75点)
舞台は1954年のフランス。15年の沈黙を破って、ガブリエル"ココ"シャネル(シャーリー・マクレーン)は復帰コレクションを開催するも、評論家たちから酷評されてしまう。彼女は改めて、孤児だった自分がファッション界のトップに上り詰めるまでのキャリアを振り返る。そこには、愛と創造の挟間で生き抜いてきた自分自身の姿があった……。
ハチの気持ちが手に取るようにわかる(70点)
日本人なら誰もが知っている忠犬ハチ公の物語を、米国郊外に舞台を移してリメイク。ベタな演出は極力控えながらもハートウォーミングな物語になった。駅で大学教授のパーカーに保護された迷い犬の子犬はハチと名付けられ元気に成長する。ハチは毎日5時になると駅にパーカーを迎えに行くのが日課になったが、ある日教授が急死してしまう。
◆下ネタ満載のスタンダップパフォーマンスシーンが魅力(55点)
ハリウッドの映画監督、プロデューサーであるジャド・アパトウ。大ヒットコメディ映画『40歳の童貞男』『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』を監督し、その才能を世界に知らしめた。彼の強みは安定したストーリーテリングと下ネタ。だから例え、卑猥な表現を使ったとしても、安っぽい物語にはならない。アパトウ氏の監督第3弾映画『FUNNY POEPLE』はいつもの様に下ネタ満載でアパトウファンの心を掴むが、本作はジャンル的にはコメディドラマ。前2作に比べシリアスで今までのジャド・アパトウ作品と同じ様なものを想像していると、全く違う雰囲気の本作に驚かされてしまう。アパトウ氏は確実に変化し始めている。
もはやストーリーなど二の次(55点)
世界を救っているのか、ブッ壊しているのか、区別がつかない超ド級のアクション映画は、人気ミリタリー・フィギュア・シリーズの実写映画化。近未来を舞台に、破壊兵器ナノマイトを奪った悪のテロ組織コブラに、国際機密部隊G.I.ジョーが立ち向かう。だが、隊員のリーダーのデュークには、コブラに所属する美女バロネスと浅からぬ因縁が。悪徳武器商人や謎の科学者などが入り乱れ、エジプト、パリ、北極と、世界中で激しい攻防を繰り広げる。
◆新鮮さを感じさせるための工夫が施されている(80点)
現在、最もノッている英国人アクションスター、ジェイソン・ステイサムの痛快アクションシリーズ『トランスポーター』シリーズの第三弾。監督は、前二作を手懸けたルイ・レテリエに代わってオリヴィエ・メガトン。
南極越冬隊員の心に、時季折々の豪華な料理で少しでも潤いを取り戻させようとする料理人のまなざしがあたたかい。セリフの間と人物配置の構図が精密に計算された演出は、ほのかなユーモアの中で人情の琴線に触れる効果を生む。(80点)
果てしなく続く雪原と雲ひとつない青空。まったく変化のない風景の中で暮らす人々にとって唯一の楽しみは食事だ。孤立した状況の限られた人間関係、任期を終えるまでは決して抜け出せない閉塞感、単調で変わり映えしない業務、ほとんどないに等しい娯楽。隊員たちは皆何らかのフラストレーションをかかえている。そんな彼らの心に、時季折々の豪華な料理で少しでも潤いを取り戻させようとする料理人の優しいまなざしがあたたかい。セリフの間と人物配置の構図が精密に計算された演出は、ほのかなユーモアの中で人情の琴線に触れる効果を生み、非日常が日常となった男たちの感情をリアルに再現している。
守るべきものは家族か名誉か。囚人護送を請け負った男が、命より大切なものがあることを、身をもって息子に伝えていく。駅馬車、銃撃戦、裏切りと騙しあい、汗と埃にまみれたガンマン・・・。本格的な西部劇の風格を備えた作品だ。(70点)
守るべきものは家族の生活なのか己の名誉か。カネために囚人の護送を請け負った主人公が、命より大切なものがあることを、身をもって息子に伝えていく。さらに正義を振りかざす男たちの浅薄さと、悪党でありながら人間の真実により近い男との交流を通じて、混迷する価値観の中では何が一番大切かを問う。ヒーローでもアンチヒーローでもない、ただ、1人の男が変わらぬ信念と誇りを持って生きたといえる人生を取り戻すまでの過程が、荒涼とした風景の中で展開する。疾走する駅馬車、派手な銃撃戦、裏切りと騙しあい、汗と埃にまみれたガンマン・・・。久々に本格的な西部劇の風格を備えた作品だ。