ワカラナイ - 福本次郎

◆極端にセリフが少ない長回しのシーンの連続は息苦しくなるような閉塞感。孤独な状況で少年が感じる、押しつぶされそうな心細さと、先の見えない明日にどうしたらいいのか分からないという途方に暮れる思いをリアルに実感させる。(50点)

 極端にセリフが少ない長回しのシーンの連続に、息苦しくなるような閉塞感をもよおす。そのトーンは最初から最後までずっと変わらず、見ていてウンザリするほど。しかし単調な映像は、周囲が援助してくれない状況で少年が感じる押しつぶされそうな心細さと、先の見えない明日に対してどうしたらいいのか分からないという途方に暮れる思いをリアルに実感させる。生活を維持するノウハウを教えてくれる人間が誰もいなくても、なんとか食べ物を探す彼の姿勢が健気だ。

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千年の祈り - 福本次郎

◆家族主義と個人主義、伝統と革新。歳月と距離の隔たりを超えた対立項をもつ父娘を共に生活させ、失われた家族の絆を浮き彫りにする。抑制のきいたタッチは米中間の文化の違いだけでなく、一人っ子政策のひずみにまで言及する。(60点)

 しきたりに縛られた中国で生きてきた父と、米国に渡って自由を謳歌している娘。2人の心は予想以上に離れている。家族主義と個人主義、伝統と革新、会話と沈黙、親と子、男と女。歳月と距離の隔たりを超えたあらゆる対立項をもつ父娘を一つの屋根の下に生活させ、失われた家族の絆と肉親ゆえの愛憎を浮き彫りにする。映画は抑制のきいたタッチで彼らの葛藤と和解を描き、米中間の文化の違いだけでなく、中国の一人っ子政策のひずみにまで言及する。

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THE WAVE ウェイヴ - 渡まち子

◆実話に基づいているというから背筋が凍った(70点)

 ヒトラーは最悪の独裁者。ファシズムなど許されない。頭では分かっていたのに、若者たちは、あっというまに独裁の魔力に取り込まれて狂気に走る。これが実話に基づいているというから背筋が凍った。ドイツのとある高校で、ベンガーという教師が、生徒と共に心理実験を行なう。それは、いくつかのルールをつくり独裁制を学ぶものだが、教師の予想を超えて独裁制に魅せられた生徒たちは、学校内外で過激な活動を行なうようになる。

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2012 - 岡本太陽

◆マヤ暦の終わりにヒントを得たとんでもないディザスタームービー!(20点)

 ローランド・エメリッヒの新作が出ると聞いたら観ないわけにはいかない。エメリッヒは『インデペンデンス・デイ』『GODZILLA』『デイ・アフター・トゥモロー』等、金のかかったトンデモ映画を作り続けるドイツ人映画監督で、昨年の『紀元前1万年』も事実無根のエピソードを入れ人々を唖然とさせた。特に批評家ウケの良くない彼だけに、一体どれ程ヘンテコリンな内容になっているのかと興味津々で、彼の新作映画『2012』を観たが、これがまたエメリッヒらしさ溢れるというか、ある意味期待を裏切らない強烈なものだったのだ。

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笑う警官 - 前田有一

◆誰一人警察官に見えない(20点)

 日本映画史に輝く角川映画ブームを巻き起こした大プロデューサー、角川春樹自ら監督・脚本を担当する『笑う警官』は、「150万人動員できなかったら、もう映画は作らない」と本人が語る入魂の一作である。

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Disney’s クリスマス・キャロル - 前田有一

◆19世紀の原作が今でも通用することの意味(80点)

 チャールズ・ディケンズの原作は、これまで50回以上も映像化されたといわれるほどだから、あらすじは誰もが知っていることだろう。本作のタイトルにあるディズニーも、以前にアニメーション作品として発表したことがある。

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ゼロの焦点 - 前田有一

◆生誕100年以外に理由や情熱があったのか(20点)

 松本清張の代表作で、数々のサスペンス劇場の元ネタとなった『ゼロの焦点』が、原作者の生誕100年記念で再映画化された。原作は1ページ目からワクワク感に襲われるエンタテイメント作品だが、映画版は気を抜くと最初の1分間から睡魔に襲われる、斬新な映像解釈である。

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千年の祈り - 前田有一

◆中国人とイラン人とロシア人がアメリカで(70点)

 『千年の祈り』は、アメリカの中で、中国人とイラン人が仲良くするというお話。いうまでもなく、前者は不況の米国がいまもっとも頼りにする経済大国。一方、後者のイランは軍産複合体による次期大規模公共事業の現場候補の筆頭である。

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なくもんか - 前田有一

◆作り手の高い技量を感じさせるコメディ(60点)

 『なくもんか』は、タイトルから想像できるとおり最後にホロリと泣かせるコメディドラマであり、作り手、役者の高いテクニックを感じられる作品である。しかしながら、あるいは、だからこそというべきか、その手法は時にあざとさのようなものを強く感じさせる。大きく好みが分かれそうな作品といえるだろう。

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実験室KR-13 - 前田有一

◆密室サスペンスとしては、充分楽しめる(65点)

 「MKウルトラ」計画は、陰謀論好きやオカルト方面では有名な洗脳実験である。冷戦時代にCIAにより行われたが、資料がすべて破棄されたことから公式に認めさせるのは難しい。だが奴らならこうした非人道的な実験もやりかねない。おおむねそんな感じに認識されている。ネタにした映画も複数ある。『実験室KR-13』は、そんな定番ネタを、現代を舞台に蘇らせたサスペンス作。

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THE WAVE ウェイヴ - 前田有一

◆独裁制の発生原理を実験したら大変なことに(60点)

 ある大学の実験で、募集して集めた人間たちをそれぞれ囚人役と看守役に分け、擬似刑務所を運営することになった。だが何日もたたぬ内に虐待行為など、シャレにならない変化がおきたので、実験は急遽中止されたという。

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シャネル&ストラヴィンスキー - 小梶勝男

◆シャネルのファッションで全てが彩られた絢爛たる世界。ストラヴィンスキーもシャネルの世界の構成物の一つに過ぎない(80点)

 人物としてのココ・シャネルと、ファッションとしてのシャネルは、どちらが先なのだろうか。無論、普通に考えれば人物としてのシャネルが先に違いない。だが我々は、直接的にも、同時代的にも、ファッションとしてのシャネルは知っているが、人物は知らない。すでにこの世のものでない人物に到達するためには、ファッションを介するしか方法がない。我々にとっては、ファッションが先なのである。

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パブリック・エネミーズ - 小梶勝男

◆実在の銀行強盗ジョン・デリンジャーをジョニー・デップが演じるアクション。恋人ビリーとのロマンスやFBIとの戦いが実録タッチでテンポよく描かれるが、主人公が魅力に乏しい(67点)

 とてもいい場面があった。逆光の中で、撃たれた男の最後の息が一つ、闇の中に白く浮かび上がる。それきりで白い息はとだえ、男が死んだことが分かる。マイケル・マン監督らしい、凝った映像だった。この白い息の鮮明さは、デジタルならではだろう。

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笑う警官 - 渡まち子

◆社会性より娯楽性が際立つエンタメ映画(60点)

 角川春樹が11年ぶりにメガホンを取ったことが話題のサスペンスだが、社会性より娯楽性が際立つエンタメ映画になっている。札幌市内のアパートで女性警官の変死体が発見される。すぐに元交際相手の巡査部長・津久井に容疑がかけられ、異例の射殺命令までも下される。一連の流れに何かしらの秘密を感じた所轄警部補・佐伯は、信頼できる仲間たちと極秘で捜査を行なうが、彼らはこの事件の裏にある警察内部の隠された闇に踏み込んでいく…。

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THE WAVE ウェイヴ - 佐々木貴之

◆恐ろしさと同時に面白さも漂わせる(70点)

 ドイツのある高校で教師ベンガー(ユルゲン・フォーゲル)は、独裁政治の特別授業を担当することになる。ベンガーは自ら指導者となり、独裁制の体験学習を実行する。最初はやる気のなかった生徒たちも次第に魅了され、学校外でも様々な活動をやらかしていく。その活動は、ベンガーの予想を遥かに超越するほどエスカレートしていく……。

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