◆ピクサー初の3D作品だが、3Dで見る意味は余りない。カールじいさんが風船で空飛ぶ旅に出るまでがセンチメンタルでとてもいい(73点)
ピクサー初の3D作品を、字幕、3Dで見た。結論から言って、本作を3Dで見る必要はないと思う。余り飛び出さないし、奥行きもそれほど感じなかった。むしろこの内容であれば、3Dメガネを外して2Dでじっくり見た方が良いだろう。
◆ピクサー初の3D作品だが、3Dで見る意味は余りない。カールじいさんが風船で空飛ぶ旅に出るまでがセンチメンタルでとてもいい(73点)
ピクサー初の3D作品を、字幕、3Dで見た。結論から言って、本作を3Dで見る必要はないと思う。余り飛び出さないし、奥行きもそれほど感じなかった。むしろこの内容であれば、3Dメガネを外して2Dでじっくり見た方が良いだろう。
◆アメプロのスーパースター、ストーン・コールドの初主演作。B級映画の美味しそうなにおいはするものの、味は今一つ(64点)
アメリカン・プロレスのスーパースター、"ストーン・コールド"スティーブ・オースチンの初主演作は、孤島が舞台のアクション映画だ。世界中の刑務所から集めた10人の死刑囚を絶海の孤島で戦わせ、インターネット放送で中継する。死刑囚たちは足に時限爆弾を装着されている。タイムリミットは30時間。その間に他の9人を殺し、最後の1人になった者だけが、自由の身になれるという。
◆広末涼子はミスキャストだが、犬童監督が見せる演出の「奇手」は素晴らしい(73点)
戦後64年が過ぎて、昭和も遠くなった。我々の年代なら僅かにリアリティを感じられるストーリーも、今の若い世代にどれだけ実感として伝わるのか疑問だ。松本清張の原作自体が、もはや時代遅れなのかも知れない。さらに、本作は犯人が途中で分かってしまい、推理ものとしての面白みは余りない。むしろ、犯人の動機に焦点が当てられる。それが社会派推理と言われる所以だ。動機がテーマだとすると、クライマックスは回想場面になりがちだ。映画としては構成が難しい。この難問に、犬童一心監督は驚くべき「奇手」で答える。それは実に鮮やかな手で、本作の面白さは全てそこにある。
◆全編を通じて、皮肉あり、オマージュあり、メタファーあり、ユーモアありの会話劇(85点)
「レザボア・ドッグス」(1992年)、「パルプ・フィクション」(1994年)、「キル・ビル」(2003年)、「デス・プルーフ in グラインドハウス」(2007年)など、撮るたびに話題を巻き起こすクエンティン・タランティーノ監督の最新作。ただでさえ注目度の高い監督だが、主演にブラッド・ピットを迎えたとあれば、話題としては"鉄板"だろう。
◆人生は壮大な一幕芝居、そんな着想を得た演出家が、巨大な倉庫で自らの実生活を演劇として再現する。そこにはステージと社会の垣根はなく、妄想に憑かれた男が真実を求めて試行錯誤を繰り返す過程で不条理の迷宮に落ちていく。(40点)
人生は壮大な一幕芝居、そんな着想を得た演出家が、巨大な倉庫で自らの実生活を演劇として再現しようとする。日常生活が舞台稽古になり、俳優たちが現実の人間に扮する。やがて演出家自身も他人が演じるようになり、芝居は混迷を極める。そこにはもはやステージと社会の垣根がなくなり、何がリアルでどこからが創作なのかが区別のつかないまま時間ばかりが過ぎていく。狂気なのかアートなのか、映画は妄想に憑かれた男が真実を求めて試行錯誤を繰り返す過程で不条理の迷宮に落ちていく。
◆誰もが他人に優しくなれるはずのクリスマス。幸せだった過去を顧み、カネの亡者となった現在を鳥瞰し、来るべき孤独な最期を予感させるという有名な物語を、めくるめくCGの表現力で絵本のような味わいの映像に仕上げている。(50点)
誰もが他人に優しくなれ、微笑みを交わすことができるはずのクリスマス。そんな世間とは無縁であるかのように己の世界に閉じこもり、銭勘定しか頭にない男が、一晩の奇跡で生まれ変わる。幸せだった過去を顧み、人間関係よりもカネを大切にする現在を鳥瞰し、来るべき孤独な最期を予感させるという有名な物語を、めくるめくCGの表現力で絵本のような味わいが残る映像に仕上げている。眼光鋭く曲がった鷲鼻がいかにも守銭奴という風貌に、主人公のキャラクターが凝縮されている。
◆中国人の女と韓国人の男、素直な思いを英語にすることでよそよそしさが抜け切れず、腹を探り合うような距離感がなかなか縮まらない。もう若くない男と女が愛と分別の狭間で迷う姿が、緑濃い古都を舞台に詩的な映像で描かれる。(50点)
中国人の女と韓国人の男、母国語で同胞と会話をするときは饒舌になるのに、ふたりの会話は英語。自分の素直な思いを英語に翻訳することで強いエモーショナルな部分がそぎ落とされ、どこかよそよそしさが抜け切れず、お互いの腹を探り合うような距離感がなかなか縮まらない。なんでも話せた学生のころと違い、別々の人生を歩んだ歳月というブランクが慎重にさせるのか、あと一歩が踏み出せない。そんな、もう若くない男と女が愛と分別の狭間で迷う姿が、緑濃い古都を舞台に詩的な映像で描かれる。
◆壮大な夢や挑戦ではなく、ただ膨大な歳月をかけて、思い付きを形に変えようとしている。そんな肩の力が抜けたおっさんの風変わりな道楽をカメラは丹念に追う。情熱を表に出さず淡々と作業を続けていく主人公の姿がすがすがしい。(50点)
壮大な夢を実現するために寝食を惜しんで努力するのでもなく、挑戦することで自分や周りの人間に変化をもたらそうとしているのでもない。ただ、膨大な歳月をかけて、思い付きを形に変えようとしている。そんな肩の力が抜けたおっさんの風変わりな道楽をカメラは丹念に追う。家族に反対されても他人に白い目で見られても軽く受け流し、やるべきことをやれるときにコツコツと積み重ねる。その、情熱を表に出さず淡々と作業を続けていく主人公の姿がすがすがしい。
◆就職活動中の者にはオススメしたい一作(75点)
残業は当然どころか膨大な仕事量に徹夜残業の連発、安月給、理不尽な社員連中といったマイナス要素がズラリと並ぶブラック会社(ブラック企業とも言う)。不況真っ只中の近年、この手の会社は多く存在し、今後も増加すると言われている。
◆勢いだけが勝負のような作品(40点)
相変わらずのハイテンション、コロコロと変化する物語、人情とバカバカしさが同居する本作は、勢いだけが勝負のような作品だ。幼い頃に生き別れた兄・祐太と弟・祐介はお互いの顔も名前も知らずに育つ。東京下町・善人通り商店街でハムカツが名物の店を切り盛りする祐太は、誰に対しても親切をモットーに生きていた。お人好しの祐太、突然実家に戻った初代店主の一人娘・徹子、さらに赤の他人を兄としてお笑い芸人コンビでブレイクした弟の祐介の運命と再会劇は、意外な方向へと転がっていく。
◆易しい映画ではありません(70点)
ニューヨーク在住の劇演出家ケイデン(フィリップ・シーモア・ホフマン)の結婚生活は破綻し、自身も原因不明の病に冒されてしまった。優柔不断な性格が災いして、新たな恋愛もうまくいかない。そんなある日、ある賞を受賞した彼のもとに多額の賞金が転がり込んだ。人生をやり直す決意をしたケイデンは、多額の費用を投じて、ニューヨークのとある巨大倉庫のなかに、自分が思い描く理想のニューヨークを作り上げて、前代未聞の舞台を上演するプロジェクトに乗り出した……。
◆アメリカ貧困層の子供への精神的・肉体的・性的虐待等、多くの問題が浮き彫りになる(85点)
映画『プレシャス(原題:PRECIOUS: BASED ON THE NOVEL ‘PUSH’ BY SAPPHIRE)』の主人公クレアリース"プレシャス"ジョーンズ(ガボリー・シディベ)は16歳の女の子。彼女のミドルネームが映画のタイトルになっているが、それは日本語で“いとしい”や“貴い”という意味を持つ。親の子に対する愛情が名前から分かる様な特別な名前だ。しかし、彼女の生きる現実は素敵な名前とは裏腹に、彼女の事を虫けらの様に扱う残酷なものだった。
◆二人のやるせない感情が手に取るように分かる(70点)
日本でも人気の韓流スター、チョン・ウソンが演じる大人のラブストーリーは、ホ・ジノ監督らしい静かなタッチの佳作だ。出張で中国・四川省の成都に来た韓国人ビジネスマンのドンハは、観光名所の杜甫草堂でガイドをしている友人メイと再会する。米国留学時代、互いに恋心を抱いていた二人は再び惹かれあうが、メイにはある秘密があった。
◆裏金疑惑の証人と美人警官殺人事件。裏切りと欺瞞、出世争いと保身、個人にとっての正義と警察の体面が正面からぶつかり、二つのスキャンダルが結び付く。そして謎が明らかになる過程でうちに刑事たちは疑心暗鬼に陥っていく。(40点)
裏金疑惑に関わる証人喚問と美人警官殺人事件。警察に巣食う巨大な悪と、腐敗した上層部に挑む刑事たちの奮闘をアンニュイなジャズの旋律に乗せる。裏切りと欺瞞、出世争いと保身、キャリアと現場、理想と現実。個人にとっての正義と警察の体面が正面からぶつかり、二つのスキャンダルが結び付く。そして、謎が謎を呼び、誰が誰と通じているのか、その過程が明らかになるにつれ刑事たちは疑心暗鬼に陥っていく。しかし、どんでん返しに次ぐどんでん返しの連続はとっててつけたような印象で、驚きよりも失笑を漏らしてしまう。
◆機関車と岩肌の黒、降り積もった雪の白、水墨画のような風景の中では、ヒロインの地味なコートは不吉、謎の女の真っ赤なコートは破滅を象徴し、男の失踪をきっかけに起きる連続殺人事件を軸に、人間の業の深さと愚かさを描く。(50点)
機関車と岩肌の黒、降り積もった雪の白、冬の能登半島の水墨画のような風景の中では、ヒロインの地味なコートですら不吉な予感をもたらし、謎の女の真っ赤なコートは破滅を象徴する。もはや戦後は終わったといわれ、世の中はからは戦争の爪あとは消えても、心に傷を抱えて生きている女たち。やがてその傷は秘密になり、殺意の引き金に指をかける。映画は一人の男の失踪をきっかけに起きる連続殺人事件を軸に、人間の業の深さと愚かさを描こうとする。