ジュリー&ジュリア - 町田敦夫

◆コメディ専科の女性監督が迷える女性たちにエールを送る(80点)

 50年前に活躍した料理研究家のジュリア・チャイルドと、現代のブロガーのジュリー・パウエル。初めは「ただの人」だった2人の実在の女性が、料理を通じてそれぞれに自己実現を果たしていく様子を描いた、心温まる良作だ。

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カティンの森 - 山口拓朗

◆終盤の凄惨な描写は、覚悟はしていても見るに耐え難い(75点)

 アンジェイ・ワイダ監督の「抵抗三部作」と呼ばれている「世代」(1954年)、「地下水道」(1956)、「灰とダイヤモンド」(1958)と、本作「カティンの森」を見比べると、ワイダ監督が50年以上に渡って変わらぬ映画作りをしてきたことが分かる。氏の作品は、戦争を歴史的な記号として扱うことをヨシとしない。

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キャピタリズム~マネーは踊る~ - 福本次郎

◆規制緩和が生んだ自由主義経済の現実、富裕層はますます富み、中間層は没落する。マルクスが生きていたころの西欧に逆戻りしたような21世紀の米国を舞台に、マイケル・ムーアは「労働者よ権利に目覚め立ち上がれ」と鼓舞する。(60点)

 規制緩和が生んだ自由主義経済の現実、富める者はますます富み、中間層は没落し、貧困層は現状から抜け出せない。そこは貪欲が勤勉を食い物にする世界。ウォール街が生んだ金融派生商品という名の詐欺的な投資に手を出して失敗し次々と家を奪われる人々と対照的に、莫大な所得を得るエグゼクティブたち。まさしくマルクスが生きていたころの西欧に逆戻りしたような21世紀の米国を舞台に、マイケル・ムーアは「労働者よ権利に目覚め立ち上がれ」と鼓舞する。ソ連の崩壊と中国の軌道修正で社会主義は歴史的に敗北したが、それでも腐りきった資本主義よりはまだましだ、と。

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Dear Heart -震えて眠れ- - 福本次郎

◆細胞の記憶は持ち主の死後も生き続けるのか。心臓はドナーの本能をそのまま保持し、移植された作家の精神を狂わせていく。しかし、血やナイフのイメージばかり先行して悪意の源泉が中途半端にしか描かれておらず中途半端だ。(40点)

 細胞の記憶は持ち主の死後も生き続けるのか。特に臓器の中でもいちばん重要な心臓ならば、そこに宿った思いは強烈。心臓はドナーの本能をそのまま保持し、移植された作家の精神を狂わせていく。しかし、血やナイフのイメージばかり先行して肝心の悪意の源泉が中途半端にしか描かれておらず、作品のテンションは盛り上がらない。もっと、心が浸食されていく男の感情を主観的に表現して、人格を乗っ取られる恐怖を具体的に見せるべきだろう。

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カティンの森 - 渡まち子

◆歴史の暗部に正面から迫り、後世に真実を伝えようとしている(75点)

 ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダの渾身の力作は、暗い感動に満ちて息がつまりそうだ。第二次世界大戦中、ソ連の秘密警察によって1万5千人以上のポーランド軍将校が虐殺された「カティンの森事件」。この悲劇を、捕虜になった将校たちと、彼らの帰還を待ちわびる家族を通して描いていく。戦後、ソ連の衛星国となったポーランドでは、長い間、この事件は独軍によるものとし、真実を語ることはタブーとされていた。事件で父親を殺されたワイダ監督は、本作で、ついに歴史の暗部に正面から迫り、後世に真実を伝えようとしている。

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カティンの森 - 前田有一

◆猛烈な感情を感じる、静かだが激しい映画(75点)

 ある程度の数をみると、映画にはざっと二種類あることがわかる。商業的成功を主目的にしたものと、儲けを二の次にしても(映画作家たちが)作りたくて作る作品である。むろん、映画づくりはバカみたいに金がかかるから、他人の金を集めて作る限り、完全な意味での好き勝手が出来るはずはないが、それでも後者の方が、(たとえ予算規模は少なくとも)より情念のこもった作品になるのは当然である。

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カールじいさんの空飛ぶ家 - 前田有一

◆「別れ」のあとには何が来るのか?(85点)

 3DCGアニメーションで知られるピクサー社は、いうまでもなくこの地球上で最強のアニメーションスタジオである。品質面でも、ビジネス面でも、ここ以上のアニメ映画を作れる会社はどこにも存在しない。とくに私が立派だと思うのは、この会社が15年にわたり「オリジナル」にこだわり続けてきたことだ。

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キャピタリズム~マネーは踊る~ - 山口拓朗

◆誰もが最後まで興味を持って見られるエンターテインメント(75点)

 「華氏911」(2004年)や「シッコ」(2007年)など、話題性のある社会派ドキュメンタリーを撮り続けてきた奇才マイケル・ムーア。氏の作品に少々過剰で独善的な面があるのは事実だが、なにはともあれ、それが「ムーア流ドキュメンタリー」として確立されていることは間違いない。氏は常に「庶民」や「弱者」の立場に立ち、地位や権力を乱用する人々に、鋭い刃(やいば)を向ける。そのスタンスはよくも悪くも崩れることはない。

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ニュームーン/トワイライト・サーガ - 小梶勝男

◆「トワイライト~初恋~」の続編。基本的にはラブ・ロマンスで、アクションやホラーの要素はスパイスに過ぎない。延々と恋に悩む女子高生は十分に描かれているが、それ以上のものはない(62点)

 学園ラブ・ロマンスが60%、アクションが30%、ホラーが10%ぐらいの配分だった前作「トワイライト~初恋~」に比べ、続編の本作は、「学園」がとれてラブ・ロマンスが80%、アクションは18%、ホラーが2%くらいの配分になってしまった。まあだいたいの印象ではあるが。従って、アクションやホラーを期待して見るとガッカリするかも知れない。それらの要素は、作品中にも出てくる「ロミオとジュリエット」のような「一緒になりたいけどなれない」という古典的ロマンスのスパイスにしか過ぎない。

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キャピタリズム~マネーは踊る~ - 渡まち子

◆資本主義イコール民主主義という間違い(75点)

 銃社会や医療制度を取り上げた過去のムーア作品は十分に刺激的だった。だが、米国が抱える問題の根源を探るには、もはやひとつのテーマでは無理。そこで本作で徹底検証するのは資本主義(キャピタリズム)だ。俎上に載せるにはあまりに大きなテーマだが、実に上手くまとめており、分かりやすく面白く、かつショッキングである。映画は、1%の富裕層が底辺の95%より多い富を独占する米国の資本主義のからくりを暴いていく。資本主義イコール民主主義という間違いを正し、アメリカンドリームを夢見る庶民につけ込んだ“悪事”を、歴史的な事件で順を追って説明しながら分かりやすく描写。政治と経済の悪しき結託への怒りから、ムーアはウォール街で「僕たちの金を返せ!」と叫び、民意を反映しない資本主義を糾弾していく。

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インフォーマント! - 渡まち子

◆ブラックな笑いに満ちたトンデモナイ実話(65点)

 あれ、フィリップ・シーモア・ホフマン? と思ったら、役作りのために10キロ以上増量したマット・デイモンと分かってびっくり。だがデイモンの“オヤジ化"以上に、主人公のハチャメチャ度はショッキングだった。1992年、イリノイ州。マーク・ウィテカーは、33歳にして大手穀物商社で申し分のない年俸で重役をまかされる、将来を嘱望された優秀な社員である。だがそんな彼が、自社を、国際カルテルを結んでいるといきなり内部告発した。それを受けたFBIは捜査を開始するが、ウィテカーの供述は二転三転。彼の舌一枚で、捜査は大混乱に陥っていく。

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理想の彼氏 - 福本次郎

◆日常で起こりうる出来事をデフォルメし、観客に「似たような経験がある」という共感を持たせてこそコメディは笑えるのだ。しかし、脚本家が頭の中で考えた稚拙なアイデアを映像化しても笑いとはほど遠く、嫌悪感ばかりが募る。(30点)

 日常で起こりうる出来事をデフォルメし、観客に「似たような経験がある」という共感を持たせてこそコメディは笑えるのだ。しかし、子供の誕生日パーティを撮影したビデオに夫の浮気現場が収録されていたり、10歳に満たない子供がおばさんの井戸端会議みたいな話題を口にしたり、ボクサーが試合で客席までブッ飛ばされたり。極めつけはヒロインがデートする中年男が街角でキスする直前公衆便所に入り、大の用を足しながら話しかける。脚本家が頭の中で考えた稚拙なアイデアを映像化しても笑いとはほど遠く、嫌悪感ばかりが募っていく。

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カティンの森 - 福本次郎

◆誰もが真実を口にできず、支配者の嘘がまかり通る。祖国への愛と民族の誇りから抵抗する者もいるが、権力の前ではなすすべがない。1940年に起きたカティンの森虐殺事件を中心に、戦争に運命を翻弄された人々の苦悩を描く。(70点)

 誰もが真実を知っているのに口にできず、支配者が押しつけた嘘がまかり通る。祖国への愛と民族の誇りからそんな偽善に抵抗する者もいるが、強大な権力の前ではなすすべもない。第二次大戦でドイツとソ連によって分割・占領され、戦後はソ連の支配下に置かれたポーランド人の苦難、それは民衆の先頭に立つべきインテリ階級の不在が生んだ技術や知識の空白が原因だ。映画は1940年ソ連軍が行ったカティンの森虐殺事件を中心に、戦争に運命を翻弄された人々の苦悩を描く。

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カールじいさんの空飛ぶ家 - 渡まち子

◆ディズニー/ピクサー初の3D作品。計算されつくした映像と完璧な物語に圧倒される秀作アニメ。(80点)

 主人公・カールじいさんは、決してヒーローではない。だが、彼が繰り広げる冒険物語は、驚くほどの感動に満ちている。78歳のカールは一人暮らしの孤独な老人。最愛の妻エリーに先立たれ、住み慣れた我が家を奪われそうになった時、妻と憧れ夢見ていたのに果たせなかった、あることを実現させようと決意する。無数の風船を付け、家ごと空高く舞い上がったカールじいさんが目指すのは南米にあるという伝説の滝だ。なりゆきで一緒に旅をすることになった少年ラッセルと共に、カールは人生で最初の冒険の旅に出ることになる。

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理想の彼氏 - スタッフ古庄

◆理想の彼女(40点)

 え~と。突然ですが♪

 モデルさん(カッコいい人)が着ている服、かっこよく見えますよね!?

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