◆ワンカットの中に、遠景からクローズアップまであらゆるテクニックを駆使するが、あまりにも緩慢な時間の流れは見る者の忍耐を試されているようだ。それが逆に緊張感を醸し出し、俳優たちの凝縮された息遣いが聞こえるようだ。(50点)
港に接岸した貨客船から降りた乗客が、隣接された駅に向かい、列車に運ばれていく。ガラス張りの監視塔から男が目にする世界はそれがすべてだったのに、ある日思わぬ大金を手にしてしまう。殺人事件のおまけつきで。平凡な人生が突然変ったときに経験する焦りと、秘密がばれてしまうのではないかという恐れ、さらには自分一人で抱えきれなくなった問題を解決する術を持たない苛立ちが、モノクロームの陰影に焼きつけられる。
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◆伝説の銀行強盗の生き様が熱い。物語はシンプルだが、その分、ジョニー・デップの魅力が際立った。(70点)
スリリングな逃亡劇と美男美女が織り成すラブ・ストーリー。本作には、観客がスクリーンで最も見たいと望む要素が詰まっている。1930年代の米国。大恐慌で苦しむ庶民が英雄視したのは、鮮やかな手口で銀行から大金を奪い、不可能に見える脱走を繰り返す、ジョン・デリンジャーその人だ。大胆不敵な彼は、毎日を熱く生きることが本望のような男だが、運命的に出会った美女ビリーを愛したことで、何があっても彼女を守り抜くと誓う。だが、そんなデリンジャーをFBIは“社会の敵”と称して執拗に追い続ける…。
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彼岸島 - 小梶勝男
◆絶海の孤島で高校生たちが吸血鬼と化した島民たちと戦うサバイバル・アクション。様々な要素が入り交じった内容で、アクションやCGは今ひとつだが、娯楽映画の王道は外れていない(64点)
本作は「火山高」で知られるキム・テギュンを監督に迎えてはいるが、松本光司のマンガが原作。舞台が日本で、監督以外のキャスト、スタッフも日本人なので、日本映画と考えていいだろう。タイトルからはホラーをイメージするが、アクションの印象が強い。宣伝文句の通りだが、「サバイバル・アクション」というのがピッタリだ。
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◆すぐに泣いちゃう!!!(70点)
ツー・・・・
ポタ。
ポロポロポロポロ。。。
冒頭でこんなに泣くなんて、、、初めての体験でした(時間にしたらたった10分くらい)。
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◆デリンジャーを義賊たらしめている根源的な動機が見えない(60点)
大恐慌時代(1930年代)に実在した伝説のアウトロー、デリンジャーは、大胆不敵な銀行強盗であると同時に、強者をくじく義賊的存在として国民から英雄視された人物。そんなカリスマ犯罪者の逃亡劇に加え、美女ビリーとのロマンスをシリアスタッチで描いた作品だ。
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◆ファッション界のカリスマ:トム・フォードが映画監督に!(65点)
2009年のヴェネチア国際映画祭でプレミア上映された『A SINGLE MAN』。過去にグッチやイヴ・サン=ローランのデザイナーを務め、自らのブランドをも立ち上げたトム・フォードが初めて監督した映画だ。「ファッションデザイナーが映画監督に挑戦」、という文句だけでも意見が賛否真っ二つに分かれてしまいそうだが、クリストファー・イシャーウッドの同名小説を基にデヴィッド・シェアースと共同で脚色を手掛け、スター級の俳優陣を集めたフォード氏は本作で世の普遍性を謳う。
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◆東京スポーツのトンデモ1面記事を映画化したらこんなふうになるだろうか。“記録映像”と再現映像を並べて見せる手法が面白い(65点)
東京スポーツに載った宇宙人の死体写真やゴム人間の記事を見て、新聞なのにウソを書くなと怒る人は無粋だろう。もし本作を見て怒る人がいたとしたら、同じように無粋だと思う。本作の"記録映像"の真偽については、この際、考えても意味がない。ただ、騙される楽しみを失わないためにも、あくまでも「超常ドキュメンタリー」として見るべきだろう。
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◆明日に希望が持てず、価値観が揺らぎがちな現代を生きる大人こそが見るべき(60点)
生きることを、単純かつ純粋に楽しむ子供は、空想と現実の世界を自由に行き来できる。この物語の主人公がそうであるように。舞台は昭和30年の山口県の片田舎。戦争の傷跡はまだ残っているが、空想好きの小学3年生の新子は、毎日を元気に過ごしていた。ある日、東京から貴伊子というおとなしい少女が転校してくる。好奇心旺盛な新子は、田舎の生活にとまどっていた貴伊子ともすぐに仲良くなった。新子の遊び仲間たちとも打ち解けた貴伊子だったが、仲間との絆を揺るがす事件が発生。新子はある決心を胸に家を出る。
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◆「ユーロ・トラッシュの帝王」ジェス・フランコのゾンビ映画。ユーロ・トラッシュとは何かを知るには格好の作品(20点)
最近、ヨーロッパのZ級映画を「ユーロ・トラッシュ」と呼んで再評価する傾向がある。言葉はお洒落な感じだが、要するにヨーロッパのクズ映画というわけだ。その代表格として有名なジェス・フランコ監督が1981年、当時のゾンビブームに乗って発表したのが本作。A・M・フランク監督との表記もあるが、フランコの変名の一つだ。「オアシスゾンビ」としても知られている。当然ながら日本で劇場公開はされていない。
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◆ヴィゴ・モーテンセン主演最新作、終焉を迎えた世界で描く親子関係。(70点)
ローランド・エメリッヒ監督作『2012』や、ドキュメンタリー映画『COLLAPSE』の様に、様々な見地から世界の崩壊を唱える映画が見られる様になってきた今日。『ノーカントリー』の作者コーマック・マッカーシー著の原作を基にジョー・ペンホールが脚色し、オーストラリア人映画監督ジョン・ヒルコートがメガホンを取った映画『THE ROAD』でも崩壊後の世界が舞台。ただ、世界に何が起こったのかは描かれず、彼らにも、わたしたちにも原因すら分からない。きっと本当に世界が崩壊してしまったら、人々は何が起こったのかさえ分からないのかもしれない。
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◆運命的な出会いから静かな別れまで、主人公のつつましくも幸せだった人生を振り返るプロローグが涙を誘う。数十年にわたる彼と妻と家の歴史がほんの数分にまとめられ、思い出に生きるしかない老人の寂しさを饒舌に物語る。(50点)
運命的な子供時代の出会い、同じ夢を追ううちに恋に落ち、結婚して廃屋を買い取って修理し、そこで共に歳を取り、やがてふたりだけの暮らしも死によって引き裂かれてしまう。主人公のつつましくも幸せだった生涯を振り返るプロローグが涙を誘う。いつの間にか周囲は再開発の波にさらされ、今では世の中の変化についてゆけず、孤独の中で頑固に心を閉ざし、さらに偏屈になっている。そんな彼の数十年にわたる妻と家の歴史がほんの数分にまとめられ、思い出に浸るしかない老人の寂しさを饒舌に物語る。
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◆内部告発しようとする主人公の正義感が非常に安っぽいのに、それを見抜けない会社。さらにFBIが彼に振り回されるという構図が、コミカルな音楽に彩られる。しかし、人間の愚かさを突き詰めたおかしさまでにはに詰められいない。(40点)
米国人の主食だけでなく多くの食品の添加物となり、エネルギーにも変換できるコーンを牛耳るものが経済を左右する。そんな世の中の歪みを知りながらも、なんとか折り合いを付けている男は、虚構で固めた自分の人生こそがまともであると信じている。国際的な組織犯罪に手を染める大企業を内部告発しようとする主人公の正義感が非常に安っぽいのに、それを見抜けない会社。さらにFBIが彼に振り回されるという構図が、コミカルな音楽に彩られる。しかし、彼らの愚かさを突き詰めたおかしさまでにはに詰められておらず、斜に構えた中途半端で笑えないコメディになっている。この中途半端さこそが人間の真実と言いたいのだろうが・・・。
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◆テンポの良い笑いで魅せる楽しいコメディ(55点)
劇団ヨーロッパ企画の戯曲「冬のユリゲラー」を原作とするだけあって、舞台風の演出が目立つが、テンポの良い笑いで魅せる楽しいコメディだ。超常現象番組の新米ADである桜井米は、上司から本物のエスパーを探せと命令され、全国を飛び回る日々。彼女自身は超能力を信じているが、インチキ超能力者ばかりが現われ、落ち込んでしまう。あきらめかけた時、喫茶店「カフェ・ド・念力」に辿り着くが、そこは本物のエスパーたちが密かに集まる場所だった。
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◆タランティーノ節が全開(85点)
クエンティン・タランティーノ監督が、『キル・ビル』製作の頃から構想を描いていた異色の戦争アクション。
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◆ただひたすら破壊の映像を体感しよう(55点)
破壊の限りをつくす大スペクタクル映像の連打に、唖然とさせられる。ディザスター・ムービーの第一人者であるローランド・エメリッヒ監督は、ついに地球をまるごとブッ壊してしまった。2012年に地球は滅亡するというマヤの予言が現実になったことを知った米政府は、人類を存続させるべく各国首相と連携して極秘プロジェクトを開始する。売れない作家のジャクソンは、偶然そのことを知り、愛する家族を守ろうと、政府が選ばれた人々だけを救済するために作った巨大船を目指す。だが、すでに世界各地で大災害が起こり始めていた…。
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