ディテールをまったく無視した物語には恐れ入るばかりだった。。。 (点数 30点)
(C)2011 アンフェア製作委員会
「あっ、そうだったのか!」。裏切りと欺瞞、秘密と罠に満ちた複雑
極まりない人間関係が一気に解き明かされる終盤で、思わず膝を打っ
てダマされた快感に酔いしれた。と、言いたいところだが、取ってつ
けたつじつま合わせの連発にはあいた口がふさがらなかった。前作同
様、アイデアはパクリだらけ、穴だらけの設定と展開、もしかしてこ
のシリーズはツッコミを入れるのを楽しむ映画なのか。
【ネタバレ注意】
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スクリーンからほとばしる重量感はズシリと腹に響いてくるほどだった。(点数 70点)
(C)2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
いきなりのバス横転から、高速走行中の貨物列車にバギーを横付けし
て積荷の高級車を奪う。さらに急な斜面にしがみつくスラム街での高
低差を生かした追跡劇。冒頭から繰り広げられるスリルとスピードた
っぷりの映像には圧倒される。その後も、“よくこんなアホなアイデ
アを考えつくな”と思えるような荒唐無稽なシチュエーションを映像
化、そこでもディテールを描き込んでリアリティを持たせることに大
成功。この旺盛なサービス精神に、何度も椅子からずり落ちそうにな
ながらも完全に時間を忘れ、130分があっという間だった。
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人生のどん底で、家族の理解と支えがいかに励みになるかをこの作品は教えてくれる。(点数 60点)
(C)2010-JOHN WELLS PRODUCTIONS
高級住宅街の豪邸に住みポルシェを乗り回す男が、社会情勢の変化で
一瞬にして職を失う。エリートの矜持は再就職の邪魔にしかならず、
迫りくる無収入の日々への恐怖を忘れようと消費行動をやめない。失
業の現実を直視できない主人公とは対照的に彼の妻子は窮乏生活への
準備を進めている。物語は、会社一筋に生きてきた男たちが、そのよ
りどころを奪われたときに胸をよぎる感情をリアルに再現する。そん
な人生のどん底で、家族の理解と支えがいかに励みになるかをこの作
品は教えてくれる。
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寡黙な男の一途さが最高にクールと思える作品だった。(点数 60点)
(C)2010 DEAR JOHN, LLC. All rights reserved.
男は引きとめてくれるのを期待している、女は抱きしめられたいと願
っている。お互いの気持ちは同じなのに、小さなわだかまりと現在の
生活を捨てる勇気が持てず、あと一歩が踏み出せない。ふたりがもう
過去に戻れないことを悟るシーンの感情の揺らぎが切ないほどリアル
だ。燃え上がる恋、文通で育んだ愛。しかし、会えない時間が確実に
ふたりの隙間を広げ、いつしか冷めていく。映画は、紛争地を転々と
する兵士と女子大生の出会いと別れを通じ、封書という今や絶滅危惧
種となった通信手段に頼る男女の心の変遷を描く
【ネタバレ注意】
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対テロ戦争の未来を強烈に暗示する作品だった。 (点数 60点)
(C)2009 Unthinkable Clock Borrower, LLC. All Rights Reserved.
容赦なき尋問官は捕虜の小指を切断し、残りの指の爪をはがす。人権
など存在しないかのごとき過酷な扱いは人道的立場から見ると首をか
しげたくなるが、大義のために不特定多数の民間人を人質に取ろうと
するテロリストに対しては許されるのか。映画は、核爆弾によるテロ
を目論むイスラムシンパ過激派と、彼を尋問するスペシャリストの虚
々実々の駆け引きを通じて、もはや“正義”という言葉は己の暴力を
正当化する詭弁にしか過ぎないことを露わにしていく。
【ネタバレ注意】
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細部に至るリアリティと臨場感で見る者を圧倒する。(点数 60点)
2時間近く延々と繰り返される軍人賛美は、むしろそのプロパガンダ性
が心地よく、高揚感さえ覚えてしまう。侵略目的のエイリアンから地
球を守る、まさにこれこそ米国がしたかった“正しい戦争”。人種・
性別に関係なく、米国軍人の誇りを高らかに謳いあげる物語はかえっ
て清々しい。
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3D映画の特性をいかんなく発揮している。(点数 40点)
(C)「ラビット・ホラー」製作委員会2011
落下していくのか上昇していくのか、ヒッチコック映画をより深化さ
せたらせん階段の奥行きはめまいの感覚。それは、スクリーンから飛
び出してくるウサギのぬいぐるみのシーンとともに3D映画の特性をい
かんなく発揮している。さらに、幻覚と白日夢が複雑にシンクロする
エピソードも、副次的な構造がまさに立体的。そこにはもはや物語と
しての整合性は感じられず、迷宮に取り残されたような既視感の連続
は歪んだ精神の矛盾としてのみ理解される。その非現実の世界は、映
像の怖さより音楽のおどろおどろしさのほうが存在感を主張していた。
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アクションやスリルには乏しいものの、終始狭い洞窟の圧迫感がスクリーンから迫り、息が詰まる緊張感が絶えず襲ってくる。(点数 50点)
(C)2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
人の接近を拒む山深いジャングルに穿たれた巨大な穴。その深淵は征
服欲や功名心、そして探究心といった欲望をすべて飲み込んでしまう
かのごとき漆黒の闇だ。だが、誰も到達したことがないからこそ、探
検家は自らの足跡を最初に残そうとする。垂直に陥没した基底部から
伸びる複雑に入り組んだ洞窟のさらに奥を目指し、何が待ち受けてい
るのか己の目で確かめなければ気が済まない。映画はまだ見ぬ世界を
壮大な3Dでリアルに表現するとともに、大自然の前での人間の無力さ
とあきらめずに立ち向かう勇気の大切さを描く。
【ネタバレ注意】
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出口のない迷宮に放り込まれたごとき戸惑いを抱かせながらも、心地よい浮遊感に浸らせてくれる。(点数 50点)
(C) 2009, FILM PARTNER(2009)INTERNATIONAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
恐怖とは人の想像力の産物。秘め事や謀り事を持つ者は、いきおい周
囲の刺激に対して過剰反応し、心配が恐れとなりやがては押しつぶさ
れてしまう。一方、自分の目で見たことしか信じない現実主義者は、
実体のないものに先入観を持ったりはしない。そして人工着色料に染
まったような毒々しく赤茶けた大地と成層圏の冷たさを湛えた青空、
それらが見せる色調の変化と、流れる雲や満月の光は、登場人物の感
情を代弁する。映画は、欲望まみれの人間の心を鮮明に反映させ、そ
の愚かな本質を赤裸々にした上でほのかなユーモアすら漂わせる。
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多彩な人殺しテクニックはもはやアートの域に達し、見る者を戦慄と恍惚にいざなっていく。(点数 50点)
(C)2010 CJ ENTERTAINMENT INC & UNITED PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED
骨がぶつかり関節がきしみナイフが肉を抉る。プロの殺し屋同士の洗
練された素早い攻撃と防御の応酬は瞬きもできない緊張感にあふれる。
一方で彼らをとらえるカメラワークは、殺し合いとは思えないほど流
麗な上、効果音や音楽を廃し格闘描写に徹した映像は端正でスタイリ
ッシュ。閉ざした心と強靭な肉体を持った男が再び己の本能に火をつ
けたとき、すさまじい殺戮のオペラが奏でられる。他人を拒絶するよ
うな悲しい目をした寡黙な主人公をウォンビンがクールに演じている。
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ベタな演出はアリスが次にどこに現れるかを予想させ、その期待を決して裏切らない。(点数 40点)
(C) 2010, Chamberlain Films, LLC. All rights reserved.
悪意と怨念に満ちた暗く長い廊下、死者の悲鳴が張り付いたような陰
鬱な壁、そして猜疑心をたたえた職員の目。いまだ拘束や電気ショッ
クなどの非人間的な治療が一般的に行われていた’60年代の精神病院、
中でも特に管理の厳しい“制限区域”に収容された患者の目に映る、
閉ざされた空間の描写がリアルだ。“自分は正常だ”と医師やスタッ
フに強く訴えるほど異常性が強調される逆転の世界、ヒロインは隠ぺ
いされた過去を探るうちに恐るべき真実を知る。幻覚と現実の境が曖
昧になり意識が混乱していく過程は、やはり彼女が正気でないことを
予感させる。
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松田龍平の父が「探偵」を当たり役にしていただけに、もう少し活躍を期待したのだが。。。(点数 50点)
(C)2011「探偵はBARにいる」製作委員会
深夜のバー、黒電話、頼りない助手、ポンコツ車etc. 一見、時代の
流れから取り残された小道具に囲まれて、欲望の渦巻く街の裏の顔を
見守り続けてきた探偵。彼にかかってきた正体不明の女からの電話の
意味深長な依頼は、謎が謎を呼び、探偵をミステリーの迷宮にいざな
っていく。そして、巧みにまぶされたコミカルなやり取りは’70年代
の雰囲気をまとい、ビタースィートな香りをまき散らす。物語は、封
印されていた過去を掘り起こそうとする主人公が、人間がその強さと
弱さをさらけ出していく瞬間を目の当たりにする姿を描く。
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CGの壮大な表現力に対する驚きよりも興ざめ感が勝っていた。 (点数 40点)
(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. TM&(C)DC COMICS.
剣、シールド、機関銃、ドライブコース…、彼の意思が描く力が強け
れば強いほど武器は強力になる。また、空中を自在に動き回るだけで
なく宇宙の中心まで一気に飛べるパワーも身につけている。もはや地
球人の知性を圧倒し想像力を完全に凌駕するヒーローの活躍は、今ま
でに見た記憶のない映像の連続。その珍妙な世界観は理解しようとし
ても無駄、こういうものかと受け入れるしかない。
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反逆のシンボルとしてのロックではなく、真摯に音楽に取り組む“音楽家”としての姿が非常に新鮮だ。(点数 50点)
(c)2009 Steel Curtain Pictures, LCC, All Rights Reserved
板に打ち付けた釘にワイヤを巻き付け、コーラの瓶を押し込んでピン
と張れば即席の弦楽器の出来上がり。音楽なんて誰でも作れるしどこ
でも演奏できるとジャック・ホワイトが実証するオープニングは、最
高にエスプリが効いている。映画は、ロックの黎明期から活躍するジ
ミー・ペイジ、電子的なアレンジでギターの表現に革命をもたらした
ジ・エッジ、ロックの現在を担うジャック・ホワイトの3人が、各々歩
んできた半生を振り返る。反逆のシンボルとしてのロックではなく、
真摯に音楽に取り組む“音楽家”としての姿が非常に新鮮だ。
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最後まで先が読めない展開に時間を忘れる作品だった。(点数 70点)
(C)2010 AICHHOLZER FILM & SAMSA FILM ALL RIGHTS RESERVED.
知恵と機転で命の危機を生存のチャンスに変える主人公。彼の奇想天
外な発想と驚きの行動力は時にスリリングで時にコミカルだ。映画は
幻の名画を巡るユダヤ人画商とナチス親衛隊員の駆け引きを通じて、
ホロコーストのか弱き犠牲者というステレオタイプではない第二次大
戦中のユダヤ人像を描く。時代と共に2人の立場が幾度も反転するが、
一方は心の強さを保ち続け、他方は欲望をむき出しにする。その両極
端の人間性が絶妙の対比をなし、物語を底辺から際立たせている。
【ネタバレ注意】
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