◆南アW杯の年に、南アW杯を映画を見る(75点)
あるひとつのものに、さまざまな側面があったり多機能だったりすると、無性にうれしいものだ。
◆女性にとっては、少々キツい映画(40点)
『50歳の恋愛白書』とは思い切った邦題をつけたものだが、つけた側も賛否両論がおきるだろうことは承知の上での決断らしい。タイトルから受ける印象と映画の中身はだいぶ異なるわけだが、その気持ちはわからぬでもない。この映画は、きわめて対象がニッチで宣伝側としては悩ましいであろう作品だからだ。
◆ペネロペ・クルスの脱ぎっぷりは健在(55点)
ゲイながら巨乳大好きなスペインの巨匠ペドロ・アルモドバルは、この最新作でもお気に入りのペネロペ・クルスの胸の谷間を追い掛け回す。『抱擁のかけら』は、そんな罪作りなおっぱいの物語である。
◆早くも本年度を代表する良作の登場か(4点)
映画『食堂かたつむり』は、作詞家で小説家の小川糸による同名原作の映画化。この本は人気テレビ番組「王様のブランチ」で絶賛されベストセラーになったもので、ためしにamazonを見てみると、私が作者だったら枕を泣き濡らすに違いない、心温まる読者レビューの嵐である。
◆人気が出るのもよくわかる入魂の一作(80点)
ライトノベルも深夜アニメも見ない私としては、涼宮ハルヒと遭遇する機会はまずないだろうと安心していた。だから角川の編集者に、いかに熱くその魅力を目の前で語られろうとも、これまでは軽くいなすことができた。
◆デヴィッド・リンチの反対を押し切った監督(60点)
鬼才デヴィッド・リンチ(製作総指揮)と、それに負けないくらい個性的な娘のジェニファー・リンチ監督が、父子協力して黒澤明の「羅生門」を撮る。そう聞いただけで、いいようのない疲労感を感じさせる、マニアにはたまらない一品。それが『サベイランス』だ。
◆伏線未消化&回りを気にしすぎ(30点)
ごちそうばかり食べていると粗食も食べたくなる。美人ばかりとデートしていると、古女房が恋しくなる。そんな、誰にでもあるような感覚を映画監督も感じるのだろうか。「ロード・オブ・ザ・リング」「キング・コング」と、破格の超大作ばかり続いたピーター・ジャクソン監督の新作は、それらとはまるで違う、パーソナルで万人向けではないこぢんまりしたファンタジーとなった。
◆山田洋次の円熟味(75点)
『おとうと』をみると、これこそ横綱相撲だなという感じを受ける。最近は横綱というと、酔っ払って周りをぶんなぐる血の気の多い奴といった印象が強いが、もちろんこの映画はそうではない。奇手に逃げず、昔ながらの定番の技術のみで、堂々と見せる風格ある映画という意味である。
◆仙台ロケは迫力満点(70点)
『ゴールデンスランバー』は、首相暗殺の容疑をかけられたいち市民の逃亡劇を描いたアクションである。この新首相は、ケネディよろしくオープンカーでパレードしているところを狙われる。
◆日本のひきこもり文化がついに世界を制した(65点)
グラフィックノベルを原作とする未来SF『サロゲート』の設定はユニークだ。14年前に開発された技術が発展し、今では人類の98パーセントが「サロゲート」と呼ばれる機械の分身を、自宅から遠隔操作することで生活している。
◆2度目も楽しめる、よくできたミステリ(75点)
先日、ある人と「ポリティカル・サスペンス」の話をしていたら、なぜか会話が食い違う。どうもおかしいなと思い確認してみたら、その人は「トロピカル・サスペンス」だと思っていたらしい。
◆ヒース・レジャーの遺作(55点)
「ダークナイト」撮影後に急逝したヒース・レジャーが最後に撮影していたのがこの『Dr.パルナサスの鏡』。主演俳優が事故死するなどと、場合によってはそのままお蔵入りになりかねない大事件に遭遇しながら、本作は何とか完成した。ジョニー・デップらヒースの親友たちが彼の役を引き継ぎ、テリー・ギリアム監督もそれに合わせて内容を変更したからである。役を引き継いだ3人が、それぞれのギャラを当時2歳のヒースの娘に寄贈したという美談も有名である。
◆原作も奇妙な絵柄だが、実写にするとなおさら不気味(30点)
『かいじゅうたちのいるところ』は、特に欧米では知らぬ者のいないモーリス・センダック作の名作絵本だが、それにしてもこれを製作費100億円クラスの実写大作にしようというアメリカ映画界の景気よさには驚かされる。いくら売れているといったって、日本ではノンタンを超大作にしようなどという企画はありえない。つくづく、恐ろしい世界である。
◆ギャグの切れ味は最高、映像面にも映画的な仕掛けあり(65点)
2009年の元旦は『ピューと吹く!ジャガー ~いま、吹きにゆきます~』だったが、2010年の初笑いは同じFROGMAN監督の『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jp は永遠に~』がおすすめだ。やはりこの監督のノーテンキな作風は、お正月によく似合う。あと2週間公開を早めればなおよかったのだが。