◆汚いビジネスの裏では可笑しな事が起こっている(80点)
英コメディ映画『IN THE LOOP』は戦争を扱った政治的風刺映画だが、「この映画は過去の歴史とはなんら関係ない」と監督のアーマンド・イヌアッチは言う。物語の中ではアメリカ大統領とイギリス総理大臣が協力して中東のとある国との戦争を考えている。これはいくらフィクションとは言えど、やはりあの戦争を思い起こさせる。しかしながら、戦争案には両政府の中にも反対派がおり、この映画は彼らの奮闘や混乱を描く。
◆汚いビジネスの裏では可笑しな事が起こっている(80点)
英コメディ映画『IN THE LOOP』は戦争を扱った政治的風刺映画だが、「この映画は過去の歴史とはなんら関係ない」と監督のアーマンド・イヌアッチは言う。物語の中ではアメリカ大統領とイギリス総理大臣が協力して中東のとある国との戦争を考えている。これはいくらフィクションとは言えど、やはりあの戦争を思い起こさせる。しかしながら、戦争案には両政府の中にも反対派がおり、この映画は彼らの奮闘や混乱を描く。
◆果たして異性愛者がゲイポルノを作るのは可能か?(55点)
アートという名の下に作ればポルノも芸術作品になる。今年のサンダンス映画祭で話題になったリン・シェルトン監督作『HUMPDAY』は同性愛者ではない男友達同士が自分達が出演するポルノ映画を作ろうと試みる。この映画はゲイポルノか何かか? いや、違う。本作はコミカルだが実はとても真面目に同性愛嫌悪に向き合ったインディペンデント映画なのだ。
◆男性目線で、恋愛を真摯に描くキュートな作品(75点)
恋に落ちると、相手を運命の人であると感じる人も少なくないだろう。それは果たして本当に運命なのか、ただ単に偶然なのか、わたしたちには分からない。恋愛は謎だらけなのだ。映画『(500)日のサマー』は、わたしたちを悩み苦しませる恋愛というものを、多くの映画が作られた大都市ロサンゼルスを舞台に正直なアプローチで描く。しかしながら、ここで一言、この映画はラブストーリーではない。
◆『ボラット』のサシャ・バロン・コーエンが今度は19歳のゲイの男子に扮する!?(65点)
違う文化を持つ人々を受け入れるのは世界の常識。特にアメリカはニューヨークが人種のるつぼと呼ばれる様に実に多種多様な文化が交錯している。そんな寛容であるはずの、あるべきのアメリカの本性を露にしたのが2006年の『ボラット栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』であった。モキュメンタリースタイルで撮られたその映画に登場したサシャ・バロン・コーエン扮するカザフスタン出身のジャーナリストボラットは映画の公開と同時に瞬く間にカリスマ的人気を博し、バロン・コーエン氏はその年度のゴールデン・グローブ賞最優秀男優賞ミュージカル・コメディ部門を受賞している。
◆『ハリポタ』シリーズも6作目にしてついに女の子向けになったか?(50点)
現在継続中のファンタジー映画において、『ハリー・ポッター』は男の子のため、『トワイライト』は女の子のため、と専ら世間では言われているが、ついにそのJ・K・ローリンズ原作の魔法使い映画も6作目にして女の子向けになってしまった感が伺える。『ハリー・ポッターと謎のプリンス(原題:HARRY POTTER AND THE HALF-BLOOD PRINCE)』はシリーズの中で最もダークでありながらも、お馴染みの登場人物達が年頃という事で、恋愛に関するエピソードがふんだんに盛り込まれている。少女漫画の様なちょっと切ないシーンに涙してしまう人もいるかもしれない。
◆これは本年度の『レスラー』か、米軍の隠れた英雄達の姿を描く。(85点)
今日までに既にイラク戦争を扱った映画は多く作られている。そのジャンルの作品にもはや新鮮味を感じる事は出来ない人もいるはずだが、映画『ハート・ロッカー(原題:THE HURT LOCKER)』はそこに新風を吹き込む。イラク市内には駐屯するアメリカ兵を忌み嫌い、爆弾で兵士を誘き寄せ彼らを死に至らしめる事さえ厭わないという人々がいる。それに対しアメリカ軍は爆発物処理班を組織し、人々の安全を守る。本作では今までわたしたちが知り得なかった隠れた英雄であるアメリカ軍爆発物処理班の活動に注目し、戦地において最も危険な役割を担う男達の生き様を描く。
◆氷河期に入っても実は恐竜は存在していた!?(45点)
「氷河期になってからも恐竜は実はいた!」そう唱えるのは20世紀フォックスアニメ映画『アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの(原題:ICE AGE: DAWN OF THE DINOSAURS)』だ。恐竜に代わり氷河期には哺乳類が地球上を支配していた。しかし氷の下には絶滅したはずの恐竜達が何ごとも無かったかの様に暮らしていたのだ。そんな空想的な仮説がこの映画のアイデア。いくら子供向け映画とはそんなアイデアなら一緒に観に行く大人はしらけてしまう。
◆ジョニー・デップが伝説的なカリスマ銀行強盗犯に扮する(55点)
社会の敵ナンバーワンと呼ばれたジョン・デリンジャーを売った女は「赤いドレスの女」と呼ばれた。その言葉が一般的に「不幸を招く女」の意味で通用する様になる程、デリンジャーという男は当時のアメリカに影響を与えていた。『ヒート』『コラテラル』のマイケル・マン監督最新作『パブリック・エネミーズ』はそのカリスマ銀行強盗犯ジョン・デリンジャーを描く物語で、なんとすべてデジタル撮影されているという試みが時代劇なのにリアルというなんとも言えない違和感を与える。
◆サンドラ・ブロックが「魔女」と呼ばれる鬼上司に扮する(45点)
タフで恐い鬼上司。彼らは多くの会社に存在する。それに焦点を当て近年大ヒットしたのが『プラダを着た悪魔』で、メリル・ストリープ扮する有名ファッション紙の編集長の恐ろしい生態が印象的だった。そして今夏、会社で「魔女」と呼ばれている鬼上司がその姿を露にする。コメディ映画『あなたは私の婿になる(原題:THE PROPOSAL)』でその魔女に扮するのはサンドラ・ブロック。『あなたが寝てる間に』や『デンジャラス・ビューティー』でコメディエンヌとしての才能を多いに発揮し出演する映画を大ヒットに導いているだけに、本作は彼女の演技が見所の1つと言えるだろう。
◆数々の有名映画にオマージュを捧げたドリームワークスアニメ映画(60点)
3Dアニメーションの存在が多く目立つ今日。その流れに乗り、3D超大作としてドリームワークスが制作したのが『モンスターVSエイリアン(原題:MONSTERS VS. ALIENS)』だ。ロブ・レターマン(『シャーク・テイル』)とコンラッド・ヴァーノン(『シュレック2』)が監督を務める本作では地球をが舞台だが主な登場人物が人間ではなくモンスターで、しかも彼らを少々負け犬チックに描いているのが映画の面白いアイデアの1つとなっている。また『ビー・ムービー』や『カンフー・パンダ』の様に大人の興味をそそる趣向が凝らしてあるのがニクい。
◆ある意味凄いが、もう滅茶苦茶なロボット映画(30点)
いくつものミサイルが空を飛び、無数の爆弾があちこちで爆発。マイケル・ベイ監督は巨大ロボットが地球上で戦闘を繰り広げる中で無理矢理に友情、恋愛、家族愛を描く。予算2億ドルを掛けた超大作『トランスフォーマー/リベンジ(原題:TRANSFORMERS: REVENGE OF THE FALLEN)』は馬鹿を通り越した滅茶苦茶な映画だ。それから前作でも同じだったが、ロボットの動きが速過ぎて、彼らの見た目が良く分からない上、カメラの動きも速過ぎて、スクリーン上で一体何が起こっているのか把握しにくいのはどうにかならないのだろうか。目を鍛えれば良い?
◆これを観たら食べ物が食べられなくなってしまう!? 食の恐怖映画(65点)
わたしたちが普段食べている食物はどうやって作られわたしたちの手に渡るのか。スーパーに奇麗に並べられ、購入欲をそそって止まない食べ物達の事をわたしたちは実は何も知らない。そんな知りたくない様な、でも知らなくてはならない事実を暴く映画が『FOOD, INC.』だ。何とも恐ろしい事実が次々と明らかになるため、恐怖映画と言っても過言ではない本作を観ると、そこら辺で売っている食べ物を食べられなくなってしまうかもしれない。
◆あの鬼才がニューヨークに帰って来た! ウディ・アレン監督最新作(45点)
『マッチ・ポイント』『それでも恋するバルセロナ』を含む前4作はヨーロッパで映画を撮ったウディ・アレン。予算の関係でニューヨークを離れていた彼の次のロケーションはどこになるのかが期待されていたのだが、なんと彼は再びニューヨークに帰って来た。その新作が映画『WHATEVER WORKS』だ。本作の脚本自体は70年代初期に書かれたのだが、それはゼロ・モステルを主人公と考え書かれていたため、77年のモステルの死により映画制作は闇に葬られた。しかし、アレンが30年の後にその脚本を政治や社会情勢の変化に伴い現代風にアレンジし映画として再び制作されるに至ったのである。
◆アメリカに豊かな暮らしを求め旅をする中米移民の現状をリアルに描く(70点)
アメリカに豊かな暮らしを求め、毎年特に中米から多くの移民がメキシコ、アメリカ間の国境を越えてやって来る。移動手段は電車やトラック等があるが、彼らは警察に逮捕されたり、時には殺される事もあり、多くの者は夢半ばで敗れてしまう。2009年のサンダンス映画祭で旋風を巻き起こした日本語で「名無し」の意味を持つ映画『闇の列車、光の旅(原題:SIN NOMBRE)』では移民の少女とメキシコのギャング集団に所属する少年の織りなす物語の中で、移民達がアメリカに辿り着く過程をリアルに描く。
◆月にたった1人、孤独の中で暴かれる衝撃的な真実(70点)
人類が月面着陸を果たしてから早約40年が経ち、人類の可能性も大きく飛躍していった。もしかしたらこれから先、月が壊れかけている地球を救う事が出来るかもしれない。そのうち月の開拓も始まるだろう。映画『MOON』では、ある1人の男が月でのある計画のため、3年間家族とも離れ、ひとりぼっちで暮らしていたのだが、任務を終えようとする時彼は自分に関するある衝撃的な秘密を暴いてしまう。