ベタな演出はアリスが次にどこに現れるかを予想させ、その期待を決して裏切らない。(点数 40点)
(C) 2010, Chamberlain Films, LLC. All rights reserved.
悪意と怨念に満ちた暗く長い廊下、死者の悲鳴が張り付いたような陰
鬱な壁、そして猜疑心をたたえた職員の目。いまだ拘束や電気ショッ
クなどの非人間的な治療が一般的に行われていた’60年代の精神病院、
中でも特に管理の厳しい“制限区域”に収容された患者の目に映る、
閉ざされた空間の描写がリアルだ。“自分は正常だ”と医師やスタッ
フに強く訴えるほど異常性が強調される逆転の世界、ヒロインは隠ぺ
いされた過去を探るうちに恐るべき真実を知る。幻覚と現実の境が曖
昧になり意識が混乱していく過程は、やはり彼女が正気でないことを
予感させる。
【ネタバレ注意】
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CGの壮大な表現力に対する驚きよりも興ざめ感が勝っていた。 (点数 40点)
(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. TM&(C)DC COMICS.
剣、シールド、機関銃、ドライブコース…、彼の意思が描く力が強け
れば強いほど武器は強力になる。また、空中を自在に動き回るだけで
なく宇宙の中心まで一気に飛べるパワーも身につけている。もはや地
球人の知性を圧倒し想像力を完全に凌駕するヒーローの活躍は、今ま
でに見た記憶のない映像の連続。その珍妙な世界観は理解しようとし
ても無駄、こういうものかと受け入れるしかない。
【ネタバレ注意】
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人も自然も丁寧に撮られた映像はみずみずしく、悪意を持った人間が登場しないストーリーも口当たりは良い。(点数 40点)
(C)2011 「神様のカルテ」製作委員会 (C)2009 夏川草介/小学館文庫
表情すら失うほど憔悴しているのに、順番を待つ患者たちの治療を続
けなければならない。救命救急、それは医師・看護師の献身的な労働
によって支えられている現実を描くプロローグは緊張感よりむしろ悲
壮感を漂わせている。物語はそんな病院で働く青年医師が、研究の道
に進むべきか目の前の一人の患者を安らかに見送るべきかの葛藤を通
じ、人の命を預かるとはどういうことかと問うていく。
【ネタバレ注意】
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全編思わせぶりにヒロインが抱える闇を際立たせようとする。(点数 40点)
(C)2010 MIROVISION Inc. All Rights Reserved.
控え目な笑顔とスカートから伸びたしなやかな脚。女の姿態はたちま
ち男の心に火をつけ、禁断の関係が幕を開ける。嫉妬、憎悪、殺意、
ふたりの秘密は、やがて女たちの肚に悪意を呼び覚ます。物語は、大
富豪に雇われた家政婦が主人に手を付けられ、妻とその母から仕打ち
を受けるあまりにも通俗的な内容ながら、全編思わせぶりにヒロイン
が抱える闇を際立たせようとする。
【ネタバレ注意】
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なかなか物語は前に進まないのが残念だった。(点数 40点)
(C)2009 TWC Asian Film Fund, LLC. All rights reserved.
愛した者に裏切られ、信じた者に見捨てられる。国家という途方もな
い重責を背負う人間にとって個人の感情や感傷など取るに足らず、戦
争の大きなうねりの中で愛だけが真実と思いこもうとしても、うたか
たのごとく弾けてしまう。太平洋戦争勃発前夜、租界を支配下に置く
列強が鎬を削り、日米の微妙な緊張と中国人レジスタンスによるテロ
が日常茶飯事だった上海。お互いに素性を明かせない男と女が出会い、
運命を共にする。映画は、米国の諜報員が殺された前任者の足跡を追
う過程で、日本軍の機密に迫りつつも許されない恋に落ちる姿を描く。
【ネタバレ注意】
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原発事故で汚染が広がっている日本の現状を鑑みると、不気味なリアリティを伴って見る者に迫ってくる。(点数 40点)
(C)2009 GK Films, LLC. All Rights Reserved.
ふとした瞬間に蘇る娘との思い出。微笑ましく懐かしいほど、喪失感
が浮き彫りにされる。娘を殺したヤツを絶対に見つけ出して復讐する。
いや、それ以上に離れていた時間、彼女が何を考え、誰と付き合い、
どんな暮らしをしていたかを知りたい。そんな、残された父親の心境
がリアルだ。映画は、ひとり娘を惨殺された刑事が捜査するうちに、
巨大な悪意が背後で糸を引いていることに気づいていく姿を描く。
【ネタバレ注意】
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尻すぼみの感は否めない。(点数 40点)
(C)2010 SEASON OF THE WITCH DISTRIBUTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED
教会の影響力は絶大で聖職者の言葉は絶対的な重みを持っていた時代、
異教徒は虐殺の対象となる。だが、非力な女子供の命まで奪ってしま
う“聖戦”に疑問を抱いた戦士は悪魔と戦う旅に出る。映画は、そん
なふたりの騎士が“魔女”と疑われた少女を移送する過程で様々な試
練を乗り越え、本当の敵を打ち負かすまでを追う。ところが、そこで
描かれる世界観は安っぽく、映像表現も緊張や驚きとはほど遠く生ぬ
るい。物語の構成も直線的で、彼らが遭遇する危機も手に汗握るほど
でもない。結局、何を見せたかったのかよくわからない作品だった。
【ネタバレ注意】
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さまざまなディテールにおいてツッコミどころが満載、そういう意味では退屈しない映画だった。(点数 40点)
(C)DreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
先の見えない隠遁生活の果てにやっと見つけた愛を貫き通すために、
少年は立ち上がる。自ら覚醒させた能力を発揮して追っ手の襲撃から
ガールフレンドと我が身を守り、運命に決着をつけようとする姿は頼
もしい。しかし、そこに至るまでの過程がはなはだ中途半端でリアリ
ティがない。そもそも主人公に身を隠さなければ命が危ないといった
切迫感がなく、自己顕示欲が強すぎるのはいかがなものか。教育係が
いるのだから、それは“若気の至り”や“反抗期”で済まされない。
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符や如意棒、木切れや箒を使った分身の術などの西洋の魔法とは一味違った効果が楽しめる。(点数 40点)
(C) 2009 CJ ENTERTAINMENT,UNITED PICTURES & ZIP CINEMA.ALL RIGHTS RESERVED
弱きを助け強きをくじく、でも性格は奔放で好奇心旺盛。道士として
の力も一級品で妖怪退治はお手のもの。圧政に苦しむ中世朝鮮、民衆
のヒーローとして伝説となっていた男が500年の時を経て現代によみが
える。映画は、主人公が操る道力=魔力を洗練されたワイヤアクショ
ンとハリウッド的なCGで表現し、朝鮮半島に伝わる超自然的なパワー
に対する価値観を描き込む。護符や如意棒、木切れや箒を使った分身
の術などの西洋の魔法とは一味違った効果が楽しめる。
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クライマックスは二転三転、もちろんアッと驚く結末が用意されているのだが。。。(点数 40点)
(C)2011 フジテレビジョン/東宝/電通/ポニーキャニオン/日本映画衛星放送/アイ・エヌ・ピー
スキーリゾートのホテルに残された日本人の死体に巨悪の臭いを感じ
取った3人の男女。パリ、アンドラ、バルセロナ、アンダルシア・・・
物語は舞台は南欧を転々とし、事件は壮大な国際犯罪に結びついてい
く。ところが、屋上屋を重ねた構成はどこかちぐはぐで、主人公が謎
をひとつずつ解決して核心に迫る過程もぎこちない。そういった脚本
の欠点もスピーディに展開させればごまかせるのだが、結局話がもた
ついてエピソードが間延びしてしまう。唯一、断崖の上に建築された
ロンダの街と中心部に架かる巨大な石橋の俯瞰だけは目を見張ったが。
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もう少し登場人物の内面にまで踏み込んでいれば物語に深みが出たはずだ。(点数 40点)
(C) 2010 Black Monday Film Service, LLC. All rights reserved.
心を惑わす不思議な光に吸い寄せられ、人智を超えた圧倒的なパワー
になすすべもない。ミサイル攻撃も効果はなく、破滅の淵に向かって
逃げまどう。「地球が静止する日」の中で「二つの文明が遭遇したと
き、劣る方は滅ぼされるか奴隷にされる」というセリフがあったが、
この映画における地球のシチュエーションはまさに劣る方の典型。襲
い来るエイリアンには情けなど一切なく、ただ人間を資源として消費
する。その「劣る方」が感じる恐怖や無力感、そして最後まで捨てな
い誇り、それらは近世の欧州列強によって植民地化・奴隷化された新
大陸やアフリカの原住民の絶望そのものだ。
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心理描写がいかにも回りくどく要領を得なかった。(点数 40点)
(C) 2011「東京公園」製作委員会
血のつながらない姉、幼なじみの娘、ベビーカーを押す母親……。い
まだに将来の行き先を決めきれずにいる大学生が、彼女たちとの関わ
り合いの中で本当に己の人生に必要なものは何かを問いかけていく。
ところが、あまりにも曖昧で思わせぶりなシーンの連続は、答えなど
ないことをごまかすための手段にしか見えない。若い登場人物たちは
それぞれに“死”を身近に感じてはいる。だがその影が実生活に深い
影響を与えているわけではなく、生きている者同士で慣れ合っている
にすぎない。
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時折挿入される“怪物目線”のショットは思わせぶりなだけで伏線として機能していない。(点数 40点)
(C) 2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
森や草原で共に過ごした幼い日々は遠く過ぎ去り、ヒロインはたくま
しく成長した青年と恋に落ちる。しかしそれは母が決めた結婚に背く
許されざる行為。ふたりは自分たちの未来をつかむために手に手を取
りあって村を出る。ところが、彼女の姉の死で駆け落ち計画はあっさ
り中止、その後は人間対人狼のぬる~い闘いに終始する。だが、人狼
の造形がいかにも安っぽく見える上に、時折挿入される“怪物目線”
のショットは思わせぶりなだけで伏線として機能していない。
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映画は少女漫画のセオリー通りの設定で観客の乙女心を刺激する。(点数 40点)
(C) 2011「パラダイス・キス」製作委員会
「お前の意志はどこにある」、そう問われたヒロインは一言も返せな
い。期待を裏切るまいと親の顔色をうかがいながら優等生を演じてき
た女子高生が、彼女の生活にいきなり土足で踏み込んできた男の言葉
に衝撃を受ける。その出会いはまさに運命、彼女は自身が気づかなか
った己の可能性に目覚めていく。きらびやかなファッション、自信た
っぷりで強引な男、叶えられる夢。映画は少女漫画のセオリー通りの
設定で観客の乙女心を刺激する。受験という日常とファッションショ
ーという非日常のコントラストが鮮やかだ。
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根本的に野球に対する“真摯さ”に欠けている作品だった。(点数 30点)
(C)2011「もしドラ」製作委員会
もちろん原作に沿ってストーリーが構築されているのは分かっている。
しかし、ロクに捕球もできず練習もほとんどしない高校の野球部が、
いくらその意識を180度転換したからといって甲子園に出られるほど野
球は甘くない。せっかく映画にするのならば、原作にはなかった野球
のリアリティにもっとこだわり、「地方予選のベスト16くらいの実力
はあるが甲子園には届かない」レベルのチームにしていれば楽しめた
だろう。根本的に野球に対する“真摯さ”に欠けている作品だった。
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