◆迫力はあるが、どこかチグハグ(65点)
『バイオハザードIV アフターライフ』は、内容からプロモーションまで、チグハグ感の漂うほほえましい話題作である。
◆3Dらしく急降下や突進を繰り返しながら、縦横無尽に空間を飛びまわるヒロインの戦いっぷりは、魅力的だ(50点)
人気アクションシリーズ最新作のウリはシリーズ初のフル3D仕様。物語に深みはないが映像はなかなか面白い。ウィルス感染によって無数のアンデッド(ゾンビ)が誕生し、荒廃した世界。東京でも感染者が現れ、街の機能は停止しているかに見えたが、地下に潜ったアンブレラ社は密かに活動を続けていた。生き残った人類を探して旅をする女戦士アリスは旧知のクレアと再会するが、彼女は記憶を失っていた。2人は安全が保障されている船「アルカディア号」を目指してLAへと向かうが、そこで目にした光景は、何千というアンデッドで埋め尽くされた中、堅固な刑務所に立てこもる僅かな人間の姿だったが…。
◆過去の名作からの引用がちりばめられたこの4作目、クールな映像はより洗練され、登場人物は無機質になっている。絶望と戦い希望の地を目指すヒロインは相変わらず抜群に強く、ゾンビ軍団も数を増やして彼女を追い詰める。(40点)
垂直に落下しながらマシンガンをぶっ放したり、ロープを握って屋上からジャンプすると同時に爆弾が爆発したり、水平に投げたサングラスが回転しながら飛んで行ったり、犬の頭が裂けたり、波動を描きながら迫ってくる弾丸をよけたり…。まだまだ枚挙にいとまがないほど過去の名作からの引用がちりばめられたこの 4作目、クールな映像はより洗練され、登場人物は無機質になっている。絶望と戦いながら希望の地を目指すヒロインは相変わらず抜群に強く、それに伴いゾンビ軍団もより数を増やして彼女を追い詰める。
◆1967年製作のホラー・オムニバス大作は今も色褪せない幻想世界の極み。中でもフェリーニ作品は背筋が凍る。(75点)
仏と伊の3巨匠が、エドガー・アラン・ポーの怪奇文学を映像化、1967年に傑作ホラー・オムニバス「世にも怪奇な物語」が誕生した。このほどこの作品が、デジタル・リマスター版として美しくお色直しされることに。デジタル化は、画質と音声がクリアになるメリットの他に、過去の名作を若い世代に紹介できる絶好のチャンスとなる。ホラー・オムニバスは、映画、TVを問わず人気だが、3話構成の本作は、クオリティーの高さで群を抜く。
◆頭を空っぽにしてただコレを存分に楽しむだけで良い(75点)
“オシリーナ”の愛称で知られる人気グラビア・アイドルの秋山莉奈を主演に迎えたバイオレンス系アクション・ホラー。様々な作品でアクション監督を務めた小原剛の『芸者VS忍者』に続く監督第二弾作品。
◆あくまでも子供向けで、TV感覚で気軽に楽しむ作品(30点)
松谷みよ子のロングセラー児童文学が、劇場版の映画として登場。アニメ、CG、実写の融合とのキャッチコピーだが、実態はアニメパートと実写パートにくっきりと分かれていて、この内容で“融合”とまで呼ぶのはちょっとズルい。山桜市では、死神からのメールを受信したものが連れ去られてしまう事件が頻発。自称怪奇現象専門の探偵で、中学生のハルは、行方不明になった妹のマイを探して、第一の被害者の少年・リュウの友人のカオル、カオルのクラスメートの少女ジュンと共に、不気味な廃墟の洋館、通称「怪談レストラン」に向かう…。
◆あまりの流血シーンの連打に、見ていてぐったりと疲れる(45点)
ヘヴィ・ロック・ミュージシャンが本業のロブ・ゾンビがスプラッタ映画「ハロウィン」をリメークして思いがけず好評だったが、本作はその続編で、主人公の殺人鬼マイケル・マイヤーズの妹ローリーが中心の物語だ。どこか幻想的なタッチで、時折ミュージック・ビデオのようにも見える。ハロウィンが近くなり、不気味な夢を見るようになったローリー。彼女はマイヤーズ家で唯一の生き残りだったが、そうとは知らずにストロード家に引き取られ幸せな生活を送っていた。そんな時、売名行為に走るルーミス医師の本が発売され、自分が殺人鬼マイケル・マイヤーズの妹だと知ってショックを受ける。思わず家を飛び出したローリーだったが、時を同じくして精神病院から脱走したマイケルが再び殺戮行為を繰りひろげていた…。
◆「悪魔の凶暴パニック」を思わせるパニック・ホラー「ツキモノ」と正統派Jホラー「ノゾミ」。ホラー・マニアの篠崎誠監督による、対極的な2本立ては、どちらも一筋縄ではいかない面白さがある(68点)
篠崎誠監督はホラー・マニアである。ホラーを巡って、黒沢清監督との対談本を出しているくらいだ。その篠崎監督が、期待通りの一筋縄ではいかないホラーを見せてくれた。
◆ほんの少しの不注意とわがままが恐ろしい状況を生むという、このバッド・シチュエーション映画はかなり怖い(60点)
もしかしたら自分にも起こるかも…。そんなリアルな恐怖に襲われるシチュエーション・スリラーだ。主な登場人物は3人だけだが、不安やエゴが交錯し、緊張感が途切れることはない。スキー場にやってきたダン、ジョー、パーカーは、夜、最後の滑りを楽しもうとリフトに乗りこむが、山頂へと向かう途中でリフトが突如ストップしてしまう。氷点下の気温の中、携帯電話も食料もなく、助けの声も届かない。ゲレンデの再開は1週間後で、宙吊り状態のままでは確実に凍死してしまう。3人はなんとか脱出を試みるのだが…。
◆男女3人がスキー場のリフトに取り残される雪山版「オープン・ウォーター」(2003)。新鋭アダム・グリーン監督の手腕は確かだが、ストーリーにひねりが欲しい(67点)
「HATCHET/ハチェット」(2006)が日本で劇場公開されなかったのは残念だった。スプラッター映画が全盛だった1980年代を彷彿とさせるホラーの秀作だったと思う。監督はこれが劇場向け長編デビューとなるアダム・グリーン。新人だが、確かな演出力を感じた。
◆救助の見込みは薄く、生き残る可能性は時間と共に萎む。空中高く取り残されたリフトという限定空間における会話を中心に、楽観が怒りに、戸惑いが恐怖に、勇気が諦めに、希望が絶望に変わっていく心理をリアルに再現する。(60点)
極寒のスキー場、突然停止したリフトに置き去りにされた3人の男女に迫りくる吹雪と低温、足下では猛獣が舌なめずりして待つ。救助が来る見込みは薄く、生き残る可能性は時間と共に萎んでいく。じわじわと訪れる凍傷と体力の低下に、彼らの胸にはさまざまな感情が交差する。映画は空中高く取り残されたリフトという限定空間における会話を中心に、楽観が怒りに、戸惑いが恐怖に、勇気が諦めに、そして希望が絶望に変わっていく心理をリアルに再現する。
◆驚愕させられるようなシーンでもリアルな設定も手伝って恐怖や戦慄を存分に味わわせてくれる(75点)
極寒のスキー場を舞台にした体感型シチュエーション・スリラー。監督はホラー映画界の新鋭アダム・グリーンで、製作には『ソウ』シリーズのピーター・ブロックが携わっている。
◆映像は平坦で工夫に乏しい(50点)
ゾンビものとフィルム・ノワールの組合せが、新しい味わいを生むフランス発のゾンビ映画。徹底したスプラッタ描写の連打に唖然とするが、ここまでやってくれると逆にすがすがしい。パリ北部。ギャング一味に同僚を惨殺された警官たちは、復讐を誓って、一味の潜伏する廃屋同然の高層ビルに乗り込む。だがギャングの返り討ちに遭い、瀕死の状態に。血みどろの銃撃戦に決着がつこうしたそのとき、血肉を求める大量のゾンビが襲撃してくる。警官とギャングたちはビルから脱出するために、やむを得ず手を組むことになるが…。
◆親友は大切、その裏腹に親友だからこそ相手を憎く思う、ティーンエージャーにありがちな繊細な心の揺れが甘酸っぱい。そんな学園青春ドラマと思いきや、物語は一転ホラーの様相を帯び、展開が予想できない驚きに満ちている。(50点)
イケてる女子とサエない友人、ふたりは親友同士と誓い合っているのに実際の立場は一方的で、表面上の付き合い以上にお互いに対して複雑な想いを抱いている。「この子といれば私が目立つ」とばかりに連れまわす美女と、「内気な私と子供の時から遊んでくれた」という気持ちからいつも強引に押し切られてしまうメガネ女子。親友は大切、その裏腹に親友だからこそ相手を憎く思う、ティーンエージャーにありがちな繊細な心の揺れが甘酸っぱい。そんな学園青春ドラマと思いきや、物語は一転ホラーの様相を帯び、展開が予想できない驚きに満ちている。