◆傑作パロディの裏側に『スター・ウォーズ』への深い愛情あり(75点)
わずかなカメオ出演者を除けば、さほど名の売れた大スターが出ているわけでもない。ストーリーだって『スター・ウォーズ』オタクがジョージ・ルーカスの会社に泥棒に入るというしょーもない内容。しかも危うくDVDストレートになりかけた90分の小品だ。それでも私は、この『ファンボーイズ』を2010年のベスト10に入れるかもしれない。
◆傑作パロディの裏側に『スター・ウォーズ』への深い愛情あり(75点)
わずかなカメオ出演者を除けば、さほど名の売れた大スターが出ているわけでもない。ストーリーだって『スター・ウォーズ』オタクがジョージ・ルーカスの会社に泥棒に入るというしょーもない内容。しかも危うくDVDストレートになりかけた90分の小品だ。それでも私は、この『ファンボーイズ』を2010年のベスト10に入れるかもしれない。
◆たった一人、月で働く男を描いて、果てしない孤独を感じさせる本格SF。ひねりのきいたストーリーが、「存在」とは何かを問いかけてくる。(74点)
優れたSF映画は、常に哲学的な問いを内包している。本作もそうだ。「存在」とは何かという、根源的な問いを投げかけてくる。
◆仲里依紗が魅力的で、それだけで十分に楽しめる。哀川翔のデビュー25周年記念作でありながら、どこまでも仲里依紗のための作品になっている(75点)
三池崇史監督作「ヤッターマン」(2009)は、深田恭子が演じるドロンジョが余りにも魅力的だった。私も含め、もうストーリーなどどうでもいいから、ドロンジョだけを見ていたい、と思った人も多かったはずだ(と思う)。そんな人にとって、本作は理想の作品だ。ドロンジョよりもセクシーで魅力的な仲里依紗の「ゼブラクイーン」と「ゼブラウーマン」を、たっぷりと見ることが出来るからだ。
◆前半ではドタバタ風のコメディーが観られ、後半ではシリアスな雰囲気を漂わせたりといった見応えのある演出で楽しませてくれる(70点)
かつてはボリショイ交響楽団の天才的指揮者だったアンドレ(アレクセイ・グシュコフ)も今となっては、単なる劇場の清掃員。ある日、パリのシャトレ劇場から二週間後のLAフィル公演が中止になったため、代わりのオーケストラを探しているというFAXを発見し、かつての仲間を集めて楽団を結成し、この公演に出演することを思いつくのだが……。
◆デンゼル・ワシントン主演のアクション大作。最終戦争後の荒廃した世界を舞台に、「ある本」を運ぶ男をスタイリッシュな映像で描く。驚きのラストまで、ドラマとアクションがうまく噛み合っているが、「ある本」の意味が日本人にはピンとこないかも知れない(79点)
監督のアルバート・ヒューズとアレン・ヒューズは双子の兄弟だという。製作がジョエル・シルバーで監督が兄弟と聞けば、「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー兄弟を思い出すが、ヒューズ兄弟も彼らに負けないくらい映画マニアであるようだ。様々な映画へのオマージュを感じさせる。それがストーリーにうまい具合にはまっているのに感心した。日本の「あの映画」へもオマージュが捧げられているが、「落ち」に関わることなので、タイトルが言えないのが残念だ。
◆ディティールは低予算作品にありがちな安っぽさをまったく感じさせないほど完璧な出来栄え(70点)
名ロック歌手デヴィッド・ボウイの長男ダンカン・ジョーンズの映画監督デビュー作品であり、予算は500万ドル以下という超低予算のSFサスペンス・スリラー。
◆いくつになろうとも、人は思春期のころのようなまっさらな気持ちで恋をすることができる(70点)
「やさしい嘘と贈り物」を見てまっさきに思い出したのはクリスマスだ。クリスマスの根源的な意味はさておき、サンタクロースがやって来るその日は、世界中が「やさしい嘘と贈り物」で満たされる。大人たちはしばしば「嘘はいけません!」と子供に説教するが、正しくは「やさしくない嘘はいけません!」であるべきなのかもしれない。
◆映画はライアンの気づきを通じて、「他人の価値」そして「人間と人間がつながる意味」について考えさせる(80点)
ライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)の仕事は、企業のリストラ対象者に解雇を告げるリストラ宣告人。アメリカ国内を飛び回り、年間322日も出張している根無し草のビジネスマンだ。あるときライアンは、自分と同じように国内を飛び回っているキャリアウーマン、アレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会って意気投合する。一方、仕事では、ネット上で解雇通告を行う新システム導入を提案する新人ナタリー(アナ・ケンドリック)と意見が対立し……。
◆マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の謎解きミステリー。「超日本語吹き替え版」は、日本に吹き替え版を定着させるきっかけになるだろうか(75点)
昨年辺りだっただろうか。シネコンで、「吹き替えの方が楽だから」と、字幕版がすぐに上映されるのに、わざわざ吹き替え版の上映を待っているカップルを見かけて、ショックを受けた。どんな作品だったか忘れたが、3Dではなかったと思う。
◆浅野いにおの漫画を映画化。宮崎あおいと高良健吾の主演で、夢と現実の間でもがく若者たちの青春をリアルに描く(75点)
劇場用長編を初めて演出する三木孝浩監督が描く若者たちの世界は、ある意味、生ぬるいと思う。まるで大学のサークルの延長のような、優しい人間関係。そこには社会の厳しさは感じられない。お互いに甘え合って生きているような印象なのだ。しかし、現実とは、そういうものではないだろうか。本作の生々しいほどのリアリティーは、三木監督の徹底的に若者サイドに寄り添った視点にあるような気がする。
◆インタビュー映像を取り入れ、立ち退き作業を手持ちカメラで捉えた臨場感溢れるドキュメンタリー・タッチの作風でリアリズムを追求(90点)
南アフリカの新鋭ニール・ブロムカンプが監督・脚本を手懸け、ピーター・ジャクソンが製作を務めた異色のSFアクション・ドラマ。
◆少女のイタ過ぎる初体験が、観る者の胸を締めつける(80点)
ニック・ホーンビィは『ぼくのプレミアライフ』(97)や『アバウト・ア・ボーイ』(02)で、大人になりきれない男のささやかな成長を描いてきた作家/脚本家だ。その彼がイギリスの女性ジャーナリストの回想録を脚色し、悲しくも瑞々しい1人の少女の成長記を書きあげた。
◆よくできた異例の低予算SF(70点)
デヴィッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズの映画監督デビュー作。月面を舞台にした近未来SFでありながら、最新のVFXなし、大がかりなセットなし、出演者は事実上サム・ロックウェルただひとりという特異な低予算映画として作られた。
◆フェリーニの「8 1/2」のミュージカル版の映画化だが、全く別物と考えた方がいい。大物女優たちの「隠し芸大会」としては楽しめる(70点)
冒頭、主人公の映画監督グイド(ダニエル・デイ=ルイス)が撮影所で幻想を見る場面で、もう心を打たれてしまった。ニコール・キッドマンをはじめ、大物女優たちが次々と登場し、最後はイタリアの顔、ソフィア・ローレンである。老いてなお毅然とした(そして胸も大きい)ローレンを見ることが出来ただけで、本作の価値はあると思った。
◆少年少女の難病と恋愛を描く青春映画だが、映画ならではの叙述トリックが驚きの展開を見せる。(85点)
単なる少年少女の難病・恋愛を描いた青春映画だと思っていたら、びっくりさせられる。見事な叙述トリックが使われているのである。それが単に驚かせるだけでなく、クライマックスの感動につながっているのが素晴らしい。