◆アンジェリーナ・ジョリー主演のスパイ・アクション。ストーリーは荒唐無稽だが、それが気にならないほどのスピード感は見事。ジョリーはどのシーンでも魅力的だ(74点)
近頃、ロシアの美人スパイが逮捕されて話題になったが、現実の(恐らく)地味な諜報活動とはまるで無関係な、ド派手なスパイ・アクションである。
アンジェリーナ・ジョリーが、走り、飛び、格闘し、銃を撃つ。全編、アクションが全く止まらない。この疾走感は実に見事だ。
◆アンジェリーナ・ジョリー主演のスパイ・アクション。ストーリーは荒唐無稽だが、それが気にならないほどのスピード感は見事。ジョリーはどのシーンでも魅力的だ(74点)
近頃、ロシアの美人スパイが逮捕されて話題になったが、現実の(恐らく)地味な諜報活動とはまるで無関係な、ド派手なスパイ・アクションである。
アンジェリーナ・ジョリーが、走り、飛び、格闘し、銃を撃つ。全編、アクションが全く止まらない。この疾走感は実に見事だ。
◆ヒロインを演じる実力派女優ヨランド・モローがすさまじいまでの名演技で圧倒される(70点)
芸術に神に愛された者は、こんなにも心が繊細で傷つきやすい存在なのか。素朴派の女性画家セラフィーヌ・ルイの“描くこと”への本能的な情熱を描く伝記映画だ。20世紀初頭のパリ郊外・サンリス。貧しく孤独な中年女性セラフィーヌは、家政婦として働きながら、自室でもくもくと絵を描く毎日を送っていた。神への信仰、自然との対話、何よりも絵を描くことが、彼女の生きがいだった。そんなある日、高名な独人画商ウーデが彼女の才能を見出す。ウーデの経済的援助を受け、才能を開花させるセラフィーヌだったが、戦争や大恐慌が起こり、ウーデは彼女を援助することができなくなる。やがてセラフィーヌは精神のバランスを崩していき…。
◆大空を自由に舞うドラゴン側からの物語もぜひ見てみたい(80点)
敵同士が歩み寄って互いのことを理解する。言うは易し行うは難しのこの行動を、弱虫の主人公がやってのけるファンタジー・アニメの秀作だ。現状に風穴をあけるのは、いつの時代も意外性である。遠い昔、バイキングとドラゴンは長きに渡って戦いを繰り返していた。バイキングの少年ヒックは族長の息子なのに何をやっても冴えない弱虫。そんなヒックがある日、天敵のドラゴンと巡り会う。トゥースと名付けたそのドラゴンは伝説の“ナイト・フューリー”だったが、怪我をして飛べなくなっていた。心優しいヒックにはどうしてもトゥースを殺すことができず、おそるおそる近付き、好物の魚を差し出す。2人の間には、秘密の友情が芽生えるが…。
◆殺人事件が浮き彫りにするのは壮絶な愛と哀しみ。サスペンスとしてもドラマとしても一級の傑作。(95点)
刑事裁判所を退職したベンハミンは、25年前の未解決事件を題材に小説を書き始める。1974年に起こった残忍な殺人事件は、政治の力でもみ消され、ベンハミンを苦しめたが、事件を思い出すことで封印された愛が蘇ってくる…。
◆セラフィーヌのキャラや行動だけでも印象深いものが多く、これだけでも十分に面白く観られる作品(85点)
素朴派の女性画家セラフィーヌ・ルイの生涯を描いた人間ドラマで2009年度のセザール賞で作品賞をはじめ最多7部門を獲得した。
◆驚愕させられるようなシーンでもリアルな設定も手伝って恐怖や戦慄を存分に味わわせてくれる(75点)
極寒のスキー場を舞台にした体感型シチュエーション・スリラー。監督はホラー映画界の新鋭アダム・グリーンで、製作には『ソウ』シリーズのピーター・ブロックが携わっている。
◆やりたい放題のわがまま社長というユニークなヒーロー像が痛快。CGの派手な見せ場に美女と、ゴージャスな見所の連続で、前作以上の出来(80点)
「アイアンマン」シリーズは、主人公が真面目なヒーローではなく、わがままでセレブ、兵器産業に関わる企業の2代目社長というのが面白い。しかもナルシストで、「正体」が世界中にばれている。自分は世界平和を民営化したと公言し、スーツを着て酒に酔い、武器を使って顰蹙を買う。そして、自分の非をなかなか認めない。普通のヒーロー像と全く真逆なのだ。だが、嫌な感じはしない。ロバート・ダウニーJrがユーモアたっぷりに演じていると、嫌味がないというか、嫌味なところも許せてしまう。むしろ痛快で、人間として様々な欠点があることで、普通のヒーローよりも共感できるほどだ。
◆文句のつけようのない横綱相撲(97点)
『ヒックとドラゴン』は、いくらほめてもたりないほどの傑作であるが、それは様々な要素が高いレベルで融合された、すなわち完成度の高さによるもの。何かが突出して良いのではなく、すべてがハイクオリティ。まさに死角のない横綱。事件前の朝青龍みたいなものである。
◆年齢層に応じて楽しめる感動の3Dアニメ(70点)
『シュレック』や『マダガスカル』で知られるドリームワークス・アニメーションの最新作。バイキングとドラゴンが壮絶な戦いを繰り広げていた時代を舞台に、マッチョなバイキング文化から浮きまくりの少年と、傷ついて飛べなくなったドラゴンとの、心温まる交流と冒険が描かれる。
◆黒髪アンジーが魅せるアクションは実にカッコいい(70点)
CIAの女性エージェントであるソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、何者かの罠によってロシアの二重スパイの容疑をかけられてしまう。自身の潔白を証明するべく逃亡を図ったソルトは、CIAからの追跡をかわしながらも真相究明に乗り出すのであった。
◆フランス映画で本格的なゾンビ、スプラッターは珍しいと言われているが、それ以上にここまで面白く仕上がったということが何よりもスゴい(75点)
ヤニック・ダアンとバンジャマン・ロシェが共同で監督を務めたフランス製ゾンビホラー・アクション。両監督ともに本作がデビュー作となる。
◆綿密にドラマを練り上げた脚本家には、最大級の賛辞を送りたい(95点)
おもちゃにとびきり魅力的な個性を与え、彼らの日常(人間の目が行き届かない時間帯)をユーモアたっぷりに描くピクサー製作の「トイ・ストーリー」(第1作は1995年/第2作は1999年)。そんな人気アニメシリーズが11年ぶりに送り出した第3弾は、持ち主アンディとおもちゃ、双方向の「卒業」を描いた物語だ。
◆哀しみを共有しながらしっかりと生き抜く、したたかな庶民のハッピーエンド(70点)
ファシズムの時代を背景に、ある家族に起こった悲劇からそれぞれの愛情の形を描く人間ドラマだ。名もない家族が主人公の、ささやかな物語だが、イタリア映画の底力を感じさせる秀作である。1938年、イタリア・ボローニャで慎ましく暮らすカサーリ家は、美術教師の父ミケーレ、美しい母デリア、地味な外見と内気な性格の17歳の娘ジョヴァンナの3人家族。ミケーレは娘を溺愛するあまり、学校で人気の男子生徒ダマストリに娘に好意を示すようにやんわりと強要する。そうとは知らず喜ぶジョヴァンナの姿を見て冷静な母はミケーレを非難する。やがて学校で女子生徒の殺害事件が。それはジョヴァンナの犯行によるものだった…。
◆映像は静謐で冷やかだが、12歳の初恋はぬくもりに満ちている(75点)
北欧特有の冷気と幻想の中で繰り広げられる残酷で美しいメルヘン。孤独な少年とヴァンパイアの少女の結びつきを、ポエティックに描いていく。12歳のオスカーはストックホルム郊外の街で暮らす繊細で孤独な少年。学校で深刻ないじめにあっているが、親も教師も彼の状況に気付かない。ある日、アパートの隣に引っ越してきたエリという少女に出会う。一方、街では、残虐な殺人事件が連発していた。夜しか会えないエリに、オスカーは心惹かれていくが、ある時、エリが人の血を吸って生きるヴァンパイアだと気付いてしまう…。