必死剣鳥刺し - 渡まち子

必死剣鳥刺し

© 2010「必死剣鳥刺し」製作委員会

◆クライマックスには怒涛の斬り合いと流血描写が用意され、理不尽すぎる展開に驚く(60点)

 組織と権力の悪意に、個人の正義が利用され踏み潰されるこの物語は、藤沢文学の中でも異色の苛烈さを持つ時代劇だ。江戸時代の海坂藩。兼見三左ェ門は藩主の失政の元凶である愛妾を城中で刺し殺す。死を覚悟したその行為には意外なほど寛大な処分が下り、再び藩主の傍に仕えることに。腑に落ちない思いを抱きながらも、亡妻の姪・里尾とのおだやかな日々の中で三左ェ門は再び落ち着きを取り戻す。そんなある日、中老・津田民部から、天心独名流の剣豪の三左ェ門に、必勝技“鳥刺し”をお上のために役立てろという秘命が下る…。

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バウンティー・ハンター - 渡まち子

バウンティー・ハンター

◆元夫婦ならではの騙し合いと微妙な愛情を組み合わせて、なかなかテンポがいい(55点)

 元夫婦が追うものと追われるものに、さらに二人揃って犯罪組織に追われるという二重の追いかけっこが楽しめるアクション・ラブコメディ。賞金稼ぎ(バウンティー・ハンター)のマイロは借金まみれ。返済金を返すために請け負った仕事は、懸賞金が懸けられた新聞記者で元妻のニコールを捕まえて警察に連行すること。妻に捨てられ、実はまだ未練があるマイロと、捕まってはすり抜けるニコールは互いに駆け引きを繰り広げる。だがそんな二人は、ニコールが追っていた特ダネから、いつしか犯罪組織から追われる羽目になり…。

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トイ・ストーリー3 - 前田有一

◆おもちゃを捨てられなくなるシリーズ3(95点)

 ピクサー製作のアニメーションは、頭ひとつ以上抜き出た脚本力により、もはや10割打者といってもいいほどの傑作率を誇る。その作品群は原作ものではないオリジナルにこだわった企画ばかりだが、中でも「トイ・ストーリー」は記念すべき第一作。社のアイデンティティーといってもいい、スタッフ全員の夢を託した渾身の一本だったわけだ。

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プレデターズ - 渡まち子

プレデターズ

© 2010 TWENTIETH CENTURY FOX

◆クドクドとした説明などなく一気にサバイバルに突入する展開が小気味良い(70点)

 最強の地球外生命体プレデターとの戦いは完全アウェイでの死闘。ゲーム的展開ながら独創的なストーリーは映画として見事に成立している。不気味なジャングルに人間の男女8人が放り出される。そこは未知の惑星で、恐るべき地球外生命体・プレデターの人間狩りの場だった。傭兵やスナイパー、特殊部隊やヤクザなど、戦闘のプロたちは、自分たちが狩りの獲物としてこの星に連れてこられたことを知る…。

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踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! - 前田有一

踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!

© 2010 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

◆苦労がうかがえるが、これで満足しろというのは厳しい(45点)

 『踊る大捜査線 THE MOVIE』のような特別なブロックバスターは、いわば邦画ビジネスの頂点に位置する存在としてあらゆる人々の目を「映画」に向ける重要な役割を担っている。これをきっかけに人々は久々に映画館へと足を運び、そこでさまざまな宣材、予告編、あるいは映画館独特のムードに触れる。そして「次はあれを見に行ってみるか」と感じてくれるのである。そうやってビジネスの裾野が広がる。この流れはどこの国でも同じだ。

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レポゼッション・メン - 前田有一

◆いかにも今どきのアメリカ向き映画(70点)

 人工臓器の回収人という、素っ頓狂な設定が楽しい『レポゼッション・メン』は、いかにもいまどきのアメリカ人向きブラックジョークに満ちたSF映画だ。

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ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い - 前田有一

ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

© 2009 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

◆高度な計算で作られたコメディ作品(75点)

 徹底的に練りこまれた脚本のコメディ、しかもお馬鹿お下劣系のそれというのは、日本ではあまりなじみがない。客の入らぬ映画を上映しても仕方がないのでビデオスルーになりかけたってのもわからぬでもないが、そうした作品の中にこそ掘り出し物があるわけだ。とくに『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』は、ゴールデングローブ賞受賞など、本国で評価が定まった手堅い一品であり、「本当によくできた映画をみたな」と感じたい方には、今週真っ先にすすめたい一本である。

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プレデターズ - 福本次郎

プレデターズ

© 2010 TWENTIETH CENTURY FOX

◆戸惑いや怯えは禁物、しかしどんな危険が迫ってくるかわかない状況では警戒心と慎重さも求められる。映画はプレデターの狩場に放り込まれた歴戦の勇士たちが味わう恐怖と、決して捨てない誇りや生き残る意思の強さを描く。(50点)

 目覚めると落下している。猛スピードで地面が近づいてくる中で、状況を把握し、何をすべきかを判断する冷静さを持つ者だけがパラシュートを開いて生き延びる。異境にいきなり放り出されたつわものたちのサバイバル本能を目覚めさせる見事な導入部だ。戸惑いや怯えは禁物、しかしどんな危険が迫ってくるかわかないシチュエーションで警戒心と慎重さも求められる。確実なのは自分たちが獲物で、油断すると即命を失うこと。映画はプレデターの狩場に放り込まれた歴戦の勇士たちが味わう恐怖と、決して捨てない誇りや生き残る意思の強さを描く。

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ぼくのエリ 200歳の少女 - 福本次郎

◆体温のない体にも心は宿り、好きという気持ちに応えようとする。最初は相いれない禁断の関係に少年を拒絶していたヴァンパイアの少女の、空白を埋めてくれる彼が愛おしくなっていく様子が、寡黙かつ繊細な映像で描かれる。(60点)

 永遠の若さと命を手に入れた代償は太陽を拝めない人生。昼間は暗くしたバスルームで息をひそめ、夜になると欲望を満たすために街を徘徊する。そんなヴァンパイアの少女が、誰にも愛されない少年と知り合いお互いに惹かれあっていく。体温のない体にも心は宿り、好きという気持ちに応えようとする。最初は相いれない禁断の関係に彼を拒絶していた彼女も、己の空白を埋めてくれる少年の存在が愛おしくなっていく様子が寡黙かつ繊細、余白をたっぷり取った寂寥感あふれる映像で描かれる。少年も少女も、感情表現を抑えることで不気味さの中に切なさを醸し出す。

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トイ・ストーリー3 - 渡まち子

◆おもちゃの再出発というエモーショナルな展開で大人を泣かせる傑作。さよならの涙はこんなにも温かい。(85点)

 おもちゃの持ち主アンディは大学生に。屋根裏に行くはずだったおもちゃたちは、手違いで託児施設に寄付されてしまうが、そこは凶暴な子供たちがいるトンデモナイ場所だった。カウボーイ人形のウッディはアンディの元に帰ろうとするが、残ったバズやジェシーら仲間たちに危機が迫っていることを知る…。

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ガールフレンド・エクスペリエンス - 山口拓朗

◆持ち前の美貌やスタイルにおごることなく、完璧なサービスを追求するプロフェッショナルな姿勢には脱帽せざるを得ない(75点)

 「セックスと嘘とビデオテープ」(1989年)、「トラフィック」(2000年)、「オーシャンズ11」(2001年)シリーズ、「インフォーマント!」(2009年)などでおなじみのスティーヴン・ソダーバーグ監督が、主演に人気No.1ポルノ女優サーシャ・グレイを大抜擢した本作「ガールフレンド・エクスペリエンス」は、顧客に「恋人のようなひととき」を提供する高級エスコート嬢の日常を描いた物語だ。

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ロストクライム -閃光- - 福本次郎

◆老刑事の執念と血気にはやる若い刑事のコンビが3億円事件の真実を明かそうとする過程で権力の闇に行きあたる姿を通じて、正義とは何かを問う。しかし、壮大な構想の割にはミステリーとしてのツメが甘く、消化不良感が残る。(40点)

 時効により迷宮入りしてしまった3億円事件。その重要参考人と目された男の他殺体が川に浮かんでいたことから、事件は再び息を吹き返す。老刑事の執念と血気にはやる若い刑事のコンビが真実を明かそうとする過程で巨大な権力の闇に行きあたる姿を通じて、正義とは何かを問う。しかし、壮大な構想の割にはミステリーとしてのツメが甘く、点と点を結ぶ糸がとぎれとぎれになってしまい、途中をはしょられて結果だけを見せられたような消化不良感が残る。

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アデル ファラオと復活の秘薬 - 福本次郎

◆さまざまなトラップが施されたファラオの墓で、裏切り者を始末し横取りしようとする悪党を出し抜くヒロイン。抜群の行動力と胆力・鼻柱の強さを持つ彼女に次から次へと危機が襲いかかり、間一髪で難を逃れる姿は手に汗を握る。(40点)

 さまざまなトラップが施されたファラオの墓から医師のミイラを持ち出そうとするヒロイン。仕掛けを見抜き、裏切り者を始末し、横取りしようとする悪党を出し抜く。抜群の行動力と胆力・鼻柱の強さを持つ彼女に次から次へと危機が襲いかかり、間一髪で難を逃れる姿は手に汗を握る。そんな導入部に、血沸き肉躍る冒険が彼女を待ち受けているのかと期待するが、舞台をパリに移すと急にトーンダウン。作り手はエスプリを効かせているつもりなのだろうが、まったくセンスが合わないコメディを延々と見せられるハメになる。

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踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! - 福本次郎

踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!

© 2010 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

◆2時間余りの上映時間に収まりきれないほどの雑多な要素を凝縮する反面、主人公の思いは独白で、感情は音楽で丁寧に解説し、普段バラエティ番組しか見ない観客層をもてなすかのようなかゆい所に手が届くサービス精神を見せる。(50点)

 圧倒的な物量作戦と人海戦術、カネと手間を惜しみなく掛けた壮大な映像と次から次へと迫る危機、そして階級と命令系統が複雑に入り組んだ人間関係の中で繰り広げられる葛藤とジレンマ。2時間余りの上映時間に収まりきれないほどの雑多な要素を凝縮する反面、主人公の思いは独白で、感情は音楽で丁寧に解説し、普段バラエティ番組しか見ない観客層をもてなすかのようなかゆい所に手が届くサービス精神を見せる。ただ、あらゆる表現が過剰で、その押しつけがましさは織田祐二の熱演以上に暑苦しい。

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ガールフレンド・エクスペリエンス - 福本次郎

◆セックスを伴う1対1のサービスを提供するエスコート嬢にとって、自分の判断・行動はすべて収入という結果に結び付く真剣勝負。映画は、「売春婦」という非合法な職業でありながら、プロとして強烈な向上心をもつ彼女の数日を追う。(50点)

 顧客の要望を満たすだけでなく、何を欲しているかを素早く読み取り、期待に応える。セックスを伴う1対1のサービスを提供するエスコート嬢にとって、自分の判断・行動はすべて評価に結び付く真剣勝負、それは収入という結果に表れる。シビアな世界でトップクラスの売り上げを誇るヒロインの日常は、刺激的であると同時に魅力的でもあるが、カネに溺れるような雰囲気とはほど遠い。冷静に自己を見つめ、商品価値を高めるための投資や努力も怠らない。映画は、「売春婦」というある種後ろめたい職業でありながら、プロとして強烈な向上心をもつ彼女の数日を追う。

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