ボローニャの夕暮れ - 福本次郎

◆高校生の娘にかいがいしく世話を焼く父親は、彼女にボーイフレンドの手配までする。そんな彼らから少し距離を置いている母親の姿が対照的。第二次大戦をはさんだ激動の時代を生きぬいた親子を通じて、家族の絆とは何かを問う。(60点)

 高校生にもなった娘にかいがいしく世話を焼く父親は、彼女にボーイフレンドの手配をして楽しい青春を過ごせるように気を使う。普通の父親ならば結婚前の一人娘に男が近寄るのを快く思わないはずなのに、クラスメイトの少年を買収してまで彼女に接近させる。あらゆるものを犠牲にしても娘に無償の愛をそそぐ父親と、彼らから少し距離を置いている母親の姿が対照的だ。映画は第二次大戦をはさんだ激動の時代を生きぬいた親子を通じて、家族の絆とは何かを問う。

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さんかく - 福本次郎

◆女子中学生がいい歳した男の前に餌をたらし、食いついてくると身をかわす。気まぐれなのか確信犯なのか、男はずるずると彼女のペースに引き込まれていく。そのリアルなセリフと軽妙な語り口が、そこはかとない笑いを誘う。(70点)

 ふとした言葉に期待して、ちょっとした仕種に妄想を膨らませる。そんな単純な男の思いを翻弄する少女の言動が恐ろしい。まだ中学生なのに巧みに表と裏を使い分け、いい歳した男の前に餌をたらし、食いついてくると身をかわす。気まぐれなのか確信犯でからかっているのか、男はずるずると彼女のペースに引き込まれていく。映画はその、恋人の妹に心を奪われた主人公に潜む、人間の愚かさと浅はかさをユーモラスに描く。ありふれた暮らしがいつしか予想外の修羅場になっているという本来は深刻な物語なのに、泥臭いまでにリアルなセリフと軽妙な語り口のおかげでそこはかとない笑いを誘う。

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エルム街の悪夢 - 渡まち子

エルム街の悪夢

© MMX NEW LINE PRODUCTIONS, INC.

◆フレディを演じるジャッキー・アール・ヘイリーは、ほとんど素顔を見せないが、それでも存在感は抜群(50点)

 1984年の同名ホラー映画のリメイクだが、本作は、夢の中に現われる殺人鬼で、最強のホラーキャラ・フレディの新たな物語だ。郊外のエルム街に住むティーンエイジャーのナンシーやジェシーたち5人の男女は毎晩同じ悪夢に悩まされてた。それは、顔にはやけど、フェドーラ帽、赤と緑のストライプのセーターを着た醜悪な殺人鬼フレディ・クルーガーから襲われる夢だった。夢の中で執拗に襲い掛かるフレディだが、やがて仲間の一人が死んだことで、悪夢は現実とつながっていることを知る。なぜ自分たちが? 眠らずにいるにはどうすれば? やがて彼らは自分たちの両親がひた隠す、ある恐ろしい事実を知ることになる…。

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ザ・ロード - 福本次郎

◆太陽が隠れた空はどんよりとした雲が立ち込め、建物は廃墟となり木々は立ち枯れている。そんな崩壊した地上で、ひたすら南に向かって歩く一組の父子。先に希望があると無理にでも自身を納得させる姿は、哀しみに満ちている。(60点)

 果てしない絶望が支配する世界では、死ですら甘美な夢に思えてくる。ほとんどの生物は絶滅、少ない食料を奪い合うだけでなく、人間が人間を食らう倫理の断末魔のごとき状況で、父は息子に何をしてやれるのか。せめて盗んだり殺したりする悪人にはならないでいてほしいと願う。太陽が隠れた空はどんよりとした雲が立ち込め、建物は廃墟となり木々は立ち枯れている。そんな崩壊した地上で、父子はひたすら南に向かって歩く。先に希望があると信じて、いや無理にでもあると自身を納得させる姿は、力強い半面、恐怖に爆発しそうなほど脆い哀しみに満ちている。

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ザ・ロード - 渡まち子

◆荒廃した大地を旅する父と子のロード・ムービー。淡々としてストイックな終末譚だ。(65点)

 文明が崩壊し人類のほとんどが滅亡したアメリカ。僅かに生き残った人々が互いの人肉を食らう狂気の生き物と化す中、かすかな希望を求めて南を目指す父子がいた。父は幼い息子に、人間のモラルと生きる術を教えるが…。

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仁寺洞スキャンダル~神の手を持つ男~ - 佐々木貴之

◆イ・ガンジュンとぺ・テジンの熾烈な駆け引き=攻防戦が大きな見所であり、観る者をグイグイと惹きつかせる(75点)

 韓国の骨董街、仁寺洞<インサド>。この街を牛耳るギャラリーのスゴ腕女オーナーのぺ・テジン(オム・ジョンファン)は、京都で発見された幻の名画「碧眼図<ピョンガンド>」の買い付けに成功する。もし、この絵の修復に成功すると莫大な利益が見込めるということで、ある事件を機に表舞台から姿を消していた“神の手を持つ男”と呼ばれる天才修復師イ・ガンジュン(キム・レウォン)を雇うが……。

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ボローニャの夕暮れ - 小梶勝男

◆第2次世界大戦下、イタリア・ボローニャの一家族の崩壊と再生を描いた秀作。過去と未来を一瞬で肯定するラストの奇跡に感動させられた(85点)

 ボローニャはイタリア北部。長靴でいえば、脚の付根の下ぐらいか。井上ひさしが「ボローニャ紀行」で書いた、職人の町、庶民の町だ。スパゲッティー・ボロネーゼは、ボローニャ風スパゲッティーの意味。日本ではミートソース・スパゲッティーの方が一般的だろう。ボロネーゼとミートソースは別物という説もあるが、トマトの量が違うくらいである(と理解している)。

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さんかく - 小梶勝男

◆30男と恋人、その妹。徹底的にダメな3人の三角関係をリアルに描いたコメディー(81点)

 「さんかく」は男女の三角関係である。釣具店のアルバイト店員で30歳の百瀬(高岡蒼甫)と、同棲している恋人・佳代(田畑智子)のアパートに、夏休みを利用して、佳代の妹、桃(小野恵令奈)が転がり込んでくる。中学3年生で15歳だが、体は大人の桃は、無防備に振る舞い、百瀬をドキドキさせる。やがて、百瀬は桃に夢中になり、佳代と別れる。納得のいかない佳代は百瀬のストーカーとなり、百瀬は桃のストーカーとなっていく。

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