豊を中心にした構成にすれば、段野や石本といった登場人物のキャラクターも生きてきたはずだ。。。 (点数 40点)
(C) 2011田中プロダクション・少年画報社 / 「BADBOYS」製作委員会
己の拳がどれほど通用するのか試したい。そもそもケンカに明け暮れ
る悪ガキの動機は、誰が一番強いのか自分の目で見届けたいというも
のだろう。同じ思いを持つものが集まり、殴り合い、優劣をつける。
その過程で友情を築き、自己を磨き、挫折を乗り越え、度胸を据え、
男として成長していく。映画は、「思いきり暴れる」という彼らの欲
望をパワフルにとらえ、疾走感あふれる映像で若き情熱を表現する。
殺人で指名手配中の豊は警察に見つかるが、不良グループ“BEAST”を
追われた石本に匿われる。広島制覇を目指す石本は豊の名前で仲間を
集め、“BEAST”のリーダー・段野を倒す。
不良グループは3つあり、小競り合いはあっても全面戦争にまでは至っ
ていないのはひとえに段野の圧倒的な力のおかげ。石本はそんな段野
の事なかれ主義が気に入らず、ケンカがしたいと新たに“狂連合”を
立ち上げる。だが、石本の欲求は弱いものをぶちのめすことで、強い
相手とタイマンを張る勇気はない。一方で段野や豊は衆を頼みにせず、
あくまでひとりで決着をつけようとする。
このあたり、権謀術数を描きたいのか「男の花道」的ケンカアクショ
ンを見せたいのかはっきりせず、おまけに石本がやたら芝居がかった
キレぶりを強調するために物語は迷走する。最初から豊を中心にした
構成にすれば、段野や石本といった登場人物のキャラクターも生きて
きたはずだ。。。
(福本次郎)