20世紀少年 -第2章- 最後の希望 - 前田有一

浦沢直樹の大人気漫画の映画化・三部作のパート2(20点)

© 1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 © 2009 映画「20世紀少年」製作委員会

 まだ2作目の段階でいうのもなんだが、『20世紀少年』実写版は、きっと20年後くらいに「そういや昔、スゲー変な映画があったよなぁ」と人々に懐かしく思い出される存在になるのではないか。

 こんなたわいもない話にこれほどの数のスターが集結し、どこかの会社のお偉いさんたちがこぞって巨額を投じ、いい大人が大マジメに作ってしまう。映画人というのは大ばか者というか、無茶というかKYというか、いずれにしても凄い人たちである。

 とはいえ、こうした向こう見ずな暴走が、ときに歴史に残る傑作を生み出すこともあるわけで、一概に否定はできない。国民みながおとなしくなってしまったこの時代、たまにはこういうチャレンジがあってもいい。映画というジャンルには、それを受け止めるだけの力がまだあると思う。

 2000年の"血の大みそか"から15年。姿を消したケンジ(唐沢寿明)の姪カンナ(平愛梨)は、ユキジ(常盤貴子)の世話を受けながら成長し、高校生になっていた。いまや日本を支配するほどに勢力を増した教祖"ともだち"の正体を探るため、カンナはクラスメートの小泉(木南晴夏)と共に洗脳施設「ともだちランド」へ向かう。

 原作の忠実コピーから少々方針転換したこの二作目は、前作より大胆に構成を組みなおし、中だるみしがちな原作の中盤部分を映画的盛り上がりに欠けぬよう配慮がなされた。脚本を監修した浦沢直樹も、登場キャラが入り乱れるこの二作目は相当苦労したようだ。もちろん、登場人物と演じる俳優のフィット感は最高のままなので、原作好きは違和感なく楽しめる。

 ……が、(そんな人が果たして本作の上映館に存在するのかは知らないが)原作未読者にとっては、もはやついていくのも困難なほど、物語が高速で進んでゆく。上映時間の都合上、こまごまと説明している暇などないから、肝心のヒロインの目的さえも不明瞭。だが、この期に及んでそんなことを気にしている人なんていないか、という気もする。何がおきているのかサッパリわかんないけど、有名人がいっぱい出てきてなんだか面白いや、という映画なのだから。

 なお、巨大ロボが出てくるパート1に比べると、ストーリー上に明確な盛り上がりネタがない分、満腹感は少ないと感じる。

 続々登場する有名俳優たちは、これまた時間の都合上、顔みせ程度の出演がほとんど。豪華ではあるが、やや食い足りない感も。オッチョ役の豊川悦司や主人公の平愛梨などは出ずっぱりの大活躍だが、それ以外のファンの方は早く3作目が見たくなろう。

 個人的なイチオシは小泉響子役の木南晴夏。なんであんなにマンガとそっくりな顔ができるのか。とんでもない適役がいたものだ。

 血の大みそかの顛末はどうなったのか、仲間たちは誰が生き残り、今はどうしているのか。それが徐々に明らかになる原作のサスペンスが再現できているとはいいがたいが、全体的に見ればさすがにパワフル。ここまできたら、もう一本くらい付き合ってやろうと思わされてしまうのは、堤幸彦監督のマジックといったところか。

前田有一

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