人は「秘密」があった方が魅力的だ (点数 80点)
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最初の20分が異常におもしろい。
『華麗なるギャツビー』なのに、肝心のギャツビーがちっとも
登場しないのです。
ようやく登場したディカプリオ演じるギャツビーの満面な笑顔。
謎の男・ギャツビーにすっかり魅了されます。
第三者の語りによってギャツビーという人間が
徐々に明らかにされていく展開がおもしろい。
最初は、秘密だらけのギャツビーが極めて魅力的に見えます。
しかし、ギャツビーの人間性が明らかにされていくほどに、
不思議なことにギャツビーの魅力が色褪せてくるのです。
彼の愛情はストレートて実に一途。
しかし、裏を返せば自己中心的な面も・・・。
彼の人間的欠点もたくさん見えてくるし、
彼のダークな秘密も明らかになってきます。
謎の大金持ちであったギャツビーが、
実は、普通の人間に過ぎない。
いや「普通」ではなく、むしろとても「悲しい人物」に見えてきます。
チェスの駒のように他人を動かしていたように見えたギャツビーですが、
最後には彼自身が駒の一つであり、無力な人間であることが露呈されます。
あまりにも切ないラストシーンにジーンときました。
人は多少「秘密」があった方が魅力的だ、ということなのでしょう。
長所も短所もさらけ出されると、その全てを受け入れることは
難しくなってきますから。
映画前半部の、目が眩むような派手派手のパーティーシーンは
なかなか見応えがあります。
ディカプリオの演技も素晴らしく、役にはまっています。
公開後、あまり話題になりませんでしたが、
ディカプリオ・ファンの私は、十分に楽しませていただきました。
(樺沢 紫苑)