他人に関わって運命を変えようとするのなら己がまず行動しなければならない、映画はあくまでコメディの形で観客にそう提示する。(点数 50点)
(C)2010 Twentieth Century Fox
必要なのは一歩踏み出す勇気。仕事も恋も“自分なんかこの程度のも
の”と上昇志向を持てなかった男が、思いがけない事件に巻き込まれ
て変わらざるを得ない状況に追い込まれていく。特別な能力を持つ人
間、それはただデカいだけなのだが、並外れたパワーを行使するとき
には責任が伴うのを学んで、大切なことから逃げてばかりの人生に初
めて立ち向かう。そんな彼が未来を己の手で切り開いていく決意をし
た時、人としての真価が問われるのだ。
新聞社のメール係・ガリバーは憧れの編集者・ダーシーに見栄を張っ
てバミューダ諸島の取材をする羽目に。途中、ボートが嵐に遭遇し、
気がつくと小人の国・リリパットの海岸に打ち上げられていた。
偶然王女と国王を救って英雄視されるガリバー。一方で王女に恋をす
るホレイショの手助けをしたりもする。努力をしなくても転がり込ん
でくる幸運、現実の世界では味わった経験のない優越感に浸るシーン
がとても楽しい。憎むべき敵が実の父親だったり、氷の海での海難事
故など彼のほら話にも拍車がかかり、さらに敵国の艦隊の砲撃を贅肉
で跳ね返すなど、いかにも子供が喜びそうなシチュエーションをふん
だんに用意して退屈させない。
他人に関わって運命を変えようとするのなら己がまず行動しなければ
ならない、映画はあくまでコメディの形で観客にそう提示する。ジャ
ック・ブラックの太った体が教訓臭さ見事に抑えていた。
(福本次郎)