魔法使いの弟子 - 渡まち子

◆ジェリー・ブラッカイマー映画らしく、お話はとんとん拍子に進み、派手なVFXの連打だが、随所にユーモラスな魔法が盛り込まれているところが楽しい(50点)

 ド派手なCGをふんだんに使ったマジカル・ファンタジーだが、選ばれし者である青年が、およそヒーローとはほど遠いオタク・キャラだというところ
が本作の個性だ。現代のNYで800年にわたって繰り広げられてきた魔法戦争が勃発。今は亡き魔法使いの最高指導者の後継者を探し続けていたバルサザール
は、その運命を持つ若者デイヴを見出して、自分の弟子にする。しかしデイヴは気弱な上に初恋の相手ベッキーに再会して気もそぞろ。いっこうに魔法の技が習
得できない。一方で、史上最強の魔女モルガナが復活しつつあった…。

 魔法使いの弟子といえば、すぐに思い浮かぶのがディズニーの不朽の名作アニメで、三角帽とマント姿のミッキーマウスが登場する「ファンタジア」
だ。クラシックの名曲をふんだんに使いながら、複数のエピソードがつづられるこのミュージカル・アニメにオマージュを捧げるように、劇中にはモップが自由
に踊り大騒ぎになるシーンが用意されている。だが物語は、まったく別物で、かつて最高指導者の弟子だった3人の魔法使いは、恋愛関係のもつれから袂を分か
つという、いささか生臭い理由で戦っているのだ。ジェリー・ブラッカイマー映画らしく、お話はとんとん拍子に進み、派手なVFXの連打だが、随所にユーモ
ラスな魔法が盛り込まれているところが楽しい。写真の中から凶暴な狼が飛び出して、襲われる瞬間に子犬(子狼か?)に変わるマジックは楽しいし、デイヴが
研究している、物理の研究でプラズマ維持装置のテスラコイルが音楽を奏でる場面は、なかなかパンチが効いている。その物理力が最後の戦いの場で効いてくる
から、やっぱりオタクの技術力はあなどれない。それにしても、人々が求めるヒーロー像は変わりつつあるのか、21世紀の世界は、気弱で見た目も冴えないオ
タク青年から救われる。強くて頼れるヒーローなど、ファンタジーの世界ですら信じてもらえないのかと思うと、ふと寂しくなった。それはさておき、魔法使い
たちのキャストの“濃さ”といったらない。ニコラス・ケイジにアルフレッド・モリーナ、モニカ・ベルッチと、すべてラテン系。これでは邪悪な魔法使いモル
ガナの影が薄くなってしまう。悪役側にも大スターがほしかったところだ。物語は陽性のファンタジーで深みには欠けるものの、ひととき魔法の世界にひたって
楽しみたい。

渡まち子

【おすすめサイト】