陰日向に咲く - 前田有一

感動群像劇を狙ったが、難易度が高すぎて失敗(20点)

 劇団ひとりの連作短編集を映画化した、心温まる人間ドラマ。

 ある夏、台風上陸を目前にした東京で、幾多の日陰者=ダメ人間たちが必死に生きている。借金まみれのシンヤ(岡田准一)はオレオレ詐欺に手を出すが、相手の老婆と仲良くなってしまい金を奪えない。ゆうすけ(塚本高史)が追っかける年増の萌え系アイドル(平山あや)は意外なブレイクをはたし、エリートビジネスマンのリュウタロウ(三浦友和)は、ほら吹きのホームレス(西田敏行)に憧れ野宿生活をはじめる。そんな彼らの一見無関係な人生が交わるとき、深い感動が訪れる……。

 これはもう、久々にまったく何も引っかからない、心の琴線に1mmたりともかすりもしない映画であった。

 宮崎あおいや岡田准一、西田敏行等々、いい役者がそろっているのにまったく感じるものがない。これははたして個人的な好みの問題なのか。最初私もわからなかった(というより、分析するのさえ面倒に思えるほどだった)。

 が、それでもよくよく考えてみると、もしかしたら平川雄一朗監督には、人間を見る目がないのではないかという疑問に思い至った。

 彼は、長澤まさみの難病もの『そのときは彼によろしく』(07年)にしろ本作にしろ、映画自体はしっかりとしたものを作る。しかし、出てくる人物にはまったく魅力がない。血が通っていないのである。バービー人形とGIジョーの芝居を見ているようだ。

 今回にしても、ギャンブルバカや身勝手な理由でホームレスになる男など、奇妙だが人間味がありそうな設定のキャラクターが多数出てくるのに、誰一人こちらが感情移入できるものがいない。人物造形は、下手を通り越して零点だ。人間を見る目がないから描けない、というほかないだろう。

 別に難しいことではない、こういう事ってあるよね、こういうヤツっているよね、と人々が感じるちょっとした味付けを積み上げていけばいいだけの話なのだ。職業柄多忙とは思うが、これだけ立派なキャストを操る神の手を任される立場なのだ、もっと人間観察力を磨いてほしい。まだ若い監督だから、次回以降の成長を期待したい。

前田有一

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