広末涼子の演技に胸キュンっ! 堺雅人のダメ男っぶりと香川照之のラブリィさにときめく!?(点数 95点)
(C)2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
伏線とどんでん返しがてんこ盛りになっている作品が大好きです。
だから、内田監督の劇場デビュー作『運命じゃない人』には、完全にノックアウトされました。
この作品もプロットがよく練られていて、めちゃくちゃ楽しいです。もう、笑いっぱなし。
役者として売れず、ボロアパートでひとり暮らし。家賃も滞納しまくり、友人からも借金しまくりの35才のダメ男・桜井(堺雅人)は、首つり自殺に失敗。汗だくになり、気持ちを落ち着かせようと夕暮れどきの銭湯に向かいます。
老人と子供ばかりの中、高級スーツを着て、分厚い財布を持った場違いな男(香川照之)が現れ、風呂場で石けんを踏み、滑って転倒し、気絶。
出来心で男のロッカーのカギと自分のを取り替え、男の服を着て荷物を盗んでしまいますが……。
男と入れ替わったことに罪悪感を感じながら、男になりすます桜井。しかも、男の正体は「伝説の殺し屋・コンドウ」。
何を思ったのか、「コンドウ」になりすまし、仕事を受けてしまう桜井。
ここまでいい加減だと、いっそすがすがしいダメ男っぷりを堺雅人が見事に演じています。
一方、記憶を失った男は、「35才の役者志望」として、日々、役者修業に邁進します。
そして、病気の父に花嫁姿を見せるため、相手もいないのに、結婚を宣言する敏腕編集長の香苗(広末涼子)と知り合います。
笑顔を封印し、淡々と毎日を予定通りに生きていく香苗役の広末涼子がすばらしいです。
本人は真面目に生きているのに、周囲から浮いてしまう。
だけど、何が悪いのかわからなくて、我が道を行く。
見事なコメディエンヌぶりです。
どんな状態になっても、努力して道を切り開いていく人と流されてしまう人がいるんだなとしみじみ実感しました。
結局、やる気って大事ですよね。
役者3人のアンサンブルが見事です。「胸キュン」な気持ちになれちゃいますよ。
近頃、恋してない方に特にお薦めです。恋したくなっちゃうハズ。
(小泉 浩子)