鉄板英雄伝説 - 前田有一

ばかばかしいパロディながら、作り手の本気度が高感度大(50点)

 『最終絶叫計画』に代表されるようなハリウッド映画のパロディ作品は定期的にリリースされるが、これもそのひとつ。この手のジャンルを得意とする同作品のスタッフが、相変わらず気合の入った構成で送る最新作だ。

 主人公は4人の成長した孤児。暗殺されたルーブル美術館長の娘ルーシー(ジャイマ・メイズ)、メキシコのルチャリブレ(プロレス)から逃げてきたエドワード(カル・ペン)、乗ってた飛行機が蛇に襲われたスーザン(フォーン・チェンバース)、そして背中に羽が生えるミュータントのピーター(アダム・キャンベル)。彼ら4人はそれぞれ板チョコの中の黄金チケットを偶然手にし、あるチョコレート工場に集結する。

 そんなあらすじから想像できるとおり、今回の元ネタは『チャーリーとチョコレート工場』『ダヴィンチ・コード』『ナチョ・リブレ』『スネーク・フライト』『Xメン』といったところから始まる。日本では公開中の『ボラット』など、少々マニアックなトコもついているが、ほとんどは大ヒット作ばかりだから普段映画をよく見ている人はほとんどのギャグを理解できるだろう。

 ベースとなるストーリーは『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』で、これはご存知VFXをたくさん使ったファンタジーだが、こちらも驚くほど映像がよく出来ている。つま先たてて歩くだけのフォーンなど、チープで笑える部分もあるが、舞台となる雪の国はナルニアっぽさがよく出ている。少ない予算でいかに本格的な映像を再現し、パロディにするか。それこそがお笑い職人としての腕の見せ所だ。

 また、本作の中でネタにしている『ナチョ・リブレ』でヤセを演じたエクトル・ヒメネスが、ここでタムナスさんを演じていたのには笑った。『ナチョ・リブレ』パートにあえて彼本人を出さないあたりに、作り手の笑いへのこだわりを感じる。このナルニアパートでは、半人半獣をネタにしたギャグが大いにツボにはまった。

 このほか『ハリーポッター』『パイレーツ・オブ・カリビアン』など、名だたる超大作を次々とマヌケな形でストーリーに組み込んでいく。これだけたくさんの作品を無理やり詰め込まねばならない脚本作りとは、さぞ大変だろうと思う。毎度ながらよく思いつくものだと感心する。

 こうした作品を楽しむには、もちろんここであげた元ネタを見ておくのは最低限必要として、いかに上映までにテンションをあげられるかがポイントとなる。その点、いつも最低レベルであるマスコミ試写室はまったくといっていいほど本作に無反応であったが、皆さんはそうならぬよう、各自工夫して劇場に向かってもらいたい。

前田有一

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