◆B級ながら、セクシー・アクションの面白さを存分に楽しめる。主演の亜紗美がとびきりカッコいい(72点)
今年(2010年)のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で最も驚かされたのが、「スケ番☆ハンターズ」2部作だった。いわゆるB級映画だが、空疎な大作よりも遥かに面白かった。
主演の亜紗美は、アダルトビデオに出ていた人だが、もはや「元AV女優」ではなく、「アクション女優」と言っていいと思う。「おいら女蛮」(2006)「片腕マシンガール」(2008)「ロボゲイシャ」(2009)と、確実にアクション女優としてのキャリアを積んでいる。本作では、「死亡遊戯」(1978)のカリーム・アブドゥル=ジャバーを思わせる黒人と、カットを割らない長回しのアクションを見せてくれる。そのレベルは相当に高い。今、日本の3大アクション女優を選ぶとしたら、ベテランの水野美紀は別格として、「ハイキック・ガール」(2009)の武田梨奈、「芸者VS忍者」(2008)の佃井皆美、そして本作の亜紗美だろう。日本が世界に誇れる3人だと思う。
しかも、亜紗美は「絵」になるという点では抜群だ。立っているだけで見とれてしまう。説得力のある身体を持っている。そして、セクシーでもある。
ヤクザハンター・アサミがかつての師匠を訪ねる本作は、冒頭からチェンソーによる人体切断のスプラッターを見せてくれる。ヤクザたちは賭博場を作るために立ち退きを迫り、逆らう者をことごとく殺していく。自分を匿ってくれた初代ヤクザハンターが殺されたことで、アサミの怒りが爆発する。
とにかく亜紗美と、その敵役の三輪ひとみが、圧倒的にカッコいい。演出が存分に2人の魅力を引き出している。ラストの決闘場面は、画面が突然シネスコになる。セルジオ・レオーネを思わせる構図に惚れ惚れした。奥田真一監督のこだわりがとても楽しい。
特訓の末にアサミが身につけた必殺技には爆笑させられた。この突き抜けた感じがたまらない。勢いがあるのだ。レイトショー公開ではあるが、B級アクションが好きな人には、是非見てもらいたい。
(小梶勝男)