赤い糸 - 前田有一

『恋空』を超えるケータイ小説がついに映画化(60点)

 ケータイ小説『赤い糸』は、あの『恋空』よりも面白く、そしてエロシーンが過激だという話を聞いていた。あらすじを聞かせてもらったが、あまりにも色々と無茶が起きるので、途中で爆笑する羽目になった。これは期待できる。

 初恋に破れた中学2年生の芽衣(南沢奈央)は、次に優しいアツシ(溝端淳平)と出会った。運命的なつながりを感じた二人は急激に惹かれあう。やがて修学旅行の季節がやってきた。大好きな同級生の仲間たちとの楽しい旅行になるはずだったが、芽衣の不用意な行動が誤解を招き、悲劇が起きてしまう……。

 南沢奈央や相手役の(いろいろな意味で)カッコよすぎる少年たちを見ると信じられないが、一応中学生のお話である。原作で話題を呼んだエロ関連はまったくない。ヒロインは清純派優等生だし、レイプも無ければタバコも吸わない。普通の純愛ストーリーにドラッグとDVをトッピングした、とっぴなこども向け映画だ。

 この手のケータイ小説は、いわゆるロングテールビジネスの小説版ではないかと私は考えている。全読者の0.1パーセントくらいが激しく共感する過激エピソードを何十個といれて、話題性を高めるとともに結果的に多人数の共感を得るというビジネスモデル。そんなわけで、ありえねーが100連発するようなトンデモ話が出来上がるという。

 この映画版でも、サラとかメイとかミアとか、どこの白人国家だかわからぬ名前の登場人物が色々と非現実的なおいたをする。中でも一番笑ったのは、高いビルから飛び降りた女が、いつの間にやら傷ひとつ無く復帰している点。君はX-MENか。

 ケイタイ小説の映画版なんだから、やはりこれくらい飛ばしてくれないと面白くないわけだが、残念なことに本作はその後、それほどトンデモな展開にはならない。むしろ出演者の演技が期待以上にしっかりしており、普通にドラマとして見れてしまう。

 これは監督の演出が手慣れているからだろうと思うが、それでも一点あきらかに失敗した部分もある。ネタバレになるので詳しくは書かないが、要はエンドロールであれをやるなら本編で同じことを説明する必要は無いですよ、ということだ。その方が絶対に盛り上がる。

 ちなみに『赤い糸』は、テレビドラマが映画に先行し、その途中で劇場公開が始まり、ラストはまたテレビの方でという、少々ややこしいタイアップ方式がとられている。映画一本でも普通に起承転結にはなっているが、赤い糸の全貌を知りたい、楽しみたいならドラマ版も必須となる。

前田有一

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