華麗なる3Dラブ・ストーリー! グレイト・ムービー! (点数 90点)
© 2012 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved
F・スコット・フィッツジェラルドの小説が原作ですが、本編は1974年のフランシス・フォード・コッポラ脚本、ロバート・レッドフォード主演版の物語により近い。
舞台は1920年代のニューヨーク。中西部より出てきた青年ニックは証券会社での仕事のためニューヨーク郊外のロングアイランドに越してきます。
ニックが暮らすのは質素な家ですが、隣には毎夜豪華絢爛なパーティが開かれる豪邸です。
そのギャツビー邸のシャンパンを浴びチャールストンに興じるセレブたちの饗宴は1920年代、禁酒法の下 セレブのカタルシスとみることができるし、日本だとバブル期狂乱のイケイケDISCOを連想しました。
このあたりの演出は監督バズ・ラーマンの新解釈で、そのまま『ムーラン・ルージュ』のデジャヴのよう。
豪邸の家主は正体不明のギャッツビー(レオナルド・ディカプリオ)という男。
若くして巨万の富みを得たギャッツビーがなぜあれ程までに盛大なパーティを日々繰り広げるのか。
そして、何故そのパーティに主催者ギャツビーの姿が見当たらないのか?
前半はこの謎を観客と青年ニックに投げかけながら、ディカプリオの姿がなかなかスクリーンに現れない引っぱり具合がお見事で、ディカプリオはどうした?と心の中で叫んでしまいました。
次第に詳らかになってくるギャツビー邸の対岸に住む女性デイジーとギャツビーの関係。
中盤から一気にラブ・ストーリーへシフトしてサスペンスフルに疾走していく演出。
レオ様ファンはラストに涙すること必至です。
センス抜群のバズ・ラーマンですが、海外の一部批評では派手さが災いしていると言われています。
時代考証をいじって大袈裟に変革させてしまうのはバズ・ラーマンの個性で『ロミオ+ジュリエット』、『ムーラン・ルージュ』で立証されているではありませんか?
そうセンスの素晴らしさは細部に宿っています。
本編の衣装はブルックス・ブラザーズ、プラダ、ミュウミュウ。
ジュエリーはティファニーの特注、シャンパンはモエ・エ・シャンドン!
映画館を出たらモエで乾杯♪ そんな気分になる名編。
■2013年 アメリカ映画/上映時間:142分/監督・脚本:バズ・ラーマン/出演:レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン、アイラ・フィッシャー
オフィシャルサイト:http://www.gatsbymovie.jp/
(中野 豊)