瞬 またたき - 渡まち子

◆美しい風景と、一人生き残った罪悪感で抜け殻のようなヒロインがくっきりと対比する(55点)

 不幸な事故で恋人を失ったヒロインが、失った記憶をたどる喪失と再生の物語だ。泉美は恋人の淳一とバイクで花見に出かけた帰り、交通事故に遭ってしまう。一人だけ生き残った彼女は、事故当日の記憶を失ってしまい、精神科で治療を受けながら失意の日々を過ごしていた。偶然知り合った女性弁護士の真希子の力を借りて、失われた記憶を取り戻そうと決心し、事故原因の解明を真希子に依頼する。自らも心に傷を負っている真希子は、最初は「知らないほうがいいこともある」と断ろうとする…。

 薄紅色の桜の花や緑の木々、水色の空など、北国・北海道ならではの透明感ある情景にまず惹かれる。その美しい風景と、一人生き残った罪悪感で抜け殻のようなヒロインがくっきりと対比する。泉美は、自分の記憶の欠如の中に、大切な何かが残されていると感じている。それを探ろうとするきっかけとなるのが弁護士の真希子との偶然の出会いだ。真実と対峙するのは怖いけれど、それでも何が起こったのか知りたい。物語は少しずつ事故の断片を拾い集めて真実のパズルを埋めるミステリーのように進んでいく。泉美が必死で真実に向き合おうとする姿は、過去に妹を傷つけてしまい家族から逃げている真希子をも前向きに変えていくことになるが、このサブ・ストーリーは部分的に記憶を失ったヒロインとの共通性が見られず、あまり効果的とは思えない。とはいえ、真希子の協力で、やがて事故当時のことが分かり、恋人の純一がいかに自分を愛していくれていたかを知る展開は、通常の純愛ものとは一味違う面白味がある。ただ、ついに思い出した事故の場面が、あまりに凄惨なので、思わず目をそむけた。いわゆる純愛ものなので安心して見ていたのに、こんなに残酷なシーンを見せられるとは。北川景子が、一見弱くみえて、実は芯が強い一途なヒロインを好演している。

渡まち子

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