かなり悲惨な状況なのに、クスリと笑わせてくれるのがすごい。きれい事じゃないリアルさに号泣!(点数 95点)
(C)2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP
実話を元にした映画って、ちょっとずるいトコがありませんか?
「この作品を観て感動しないなんて、人でなしかも」という匂いがさりげにするから。
「感動間違いなしっ!」といわれると、少し身構えてしまう自分。
でも、この作品には、負けました。かなり悲惨な状況なのにみていて、クスリと笑ってしまうほどユーモアが効いているから。
事故で全身麻痺となり、車いす生活を送る富豪フィリップ。
どんな介護者も気に入らない彼が採用したのは、不採用通知3つで出る生活保護手当が目的の黒人青年・ドリス。
ふたりの生活は、真逆でした。
洗練された会話を好み、豪邸に住んで、ショパンを愛するフィリップは、同情されるのにウンザリ。
下ネタとブラックジョーク大好きで、スラム出身。クール&ザ・ギャングが好きなドリスは、お金もなく、母とは不仲、弟が悪に落ちていくのをどうすることもできません。
しかも、ドリスは、介護者としての自覚がありません。
フィリップが全身麻痺だというのも忘れ、「電話だ」と携帯を差し出し、食事を口に運びながら、美女に見とれ、スプーンを頬に押しつけます。
あろうことか「実験」と称して、フィリップの足に熱湯をかけます。
彼らの常識は全く相容れないのですが、衝突を繰り返すたび、お互いを少しずつ受け入れていきます。
言い争うことで少しずつ、生き生きしていくフィリップ。
そして、彼らの人生は、大きく変化していきます。
笑って笑って、夢中になってみていると、いつしか、涙を浮かべていました。
人はこんなにも強くなれる。そして、変わることが出来る。
自分は何も出来ないと思うことが何と傲慢だったことか!
2011年のフランス年間興収で「ハリー・ポッターと死の秘宝Part2」、「パイレーツオブカリビアン/生命の泉」といった並みいる大作を押さえ、一位を記録。東京国際映画祭でも、史上初の3冠を獲得。アメリカでも、本年の外国映画興収一位を記録し、早くもハリウッドリメイクが決定。
きれい事じゃない真実は、まさに最強ですっ!
(小泉 浩子)