忍者 - 前田有一

これといった特長がない(35点)

 あまり予算に余裕がないが、面白い映画をつくる必要がある場合どうしたらよいか。徹底してチープ感を前面に押し出すバカ映画タイプは別として、たいていは戦力集中投下型、すなわち一点豪華主義でいきたいと思うのが普通だ。思い切って集客力のあるスターを据えるか、火薬の量に金をかけるかは各自の自由だが、あれこれ欲張るとたいてい失敗することが多い。

 この『忍者』の場合、日中香港3カ国合作ということでそれぞれの国の役者を集め、各国にアピールできるという強みがまずある。ところが脚本面で全員に気を配った結果、いったい誰が主役なのかわからないという、羽で背中をかくようなもどかしい映画となっている。

 悪の黒幕ブライアンは、あらゆる病気に効く究極のワクチンが納められた箱を奪うため、甲賀忍者の虎大介(魔裟斗)を派遣した。彼らは首尾よくそれを手に入れたが、肝心の箱がどうやっても開かない。やがて、あるストリートミュージシャンの男(ダヨ・ウォン)がその鍵を握るとわかるが、敵対する伊賀忍者の響(白田久子)とシウリン(ホアン・シェンイー)が虎大介の前に立ちふさがるのだった。

 箱が開かないからといって、殺し合いが始まる映画はそうそう無い。最初にドライバーでこじ開ければすむだろと思ったりもするが、そうすると今時希少な忍者アクションが始まらないのでとりあえずよしとすべし。ほかにも突っ込み所は多数であるが、誰一人疑問をさしはさむことなく普通に展開するストーリーが笑える。

 ヒロインの一人、白田久子は先日ミスインターナショナルの日本代表に選ばれたとき、過去にエッチな映画に出ていたことがわかり、夕刊紙および週刊誌記者を大いに喜ばせた女優だ。魔裟斗はご存知K-1の軽量級で無敵のスピードを誇る日本人最強のチャンピオン。この2枚が日本人向けの看板となる。

 どちらも重要なキャラクターとして準主役級の扱いだが、最初に言ったようにこの映画は全員が準主役みたいなものなので、こうした表現が正確かどうかは微妙である。ただでさえ少ない戦力をあちこちに分散した結果、何一つ印象に残るところの無いC級アクションになってしまった。

 作られたのが2004年ということで、少しだけ若い魔裟斗の後ろ回し蹴りなどが堪能できる。残りの人はろくに動けないのだから、彼を徹底して動かせばそれなりに見所はあったと思うのだが。どうにも中途半端で残念だ。

前田有一

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