口裂け女2 - 前田有一

これが第一作目ならよかったのに(70点)

 パート1の威光を受けた二作目は、興行面の有利さと反比例して、評価の面では苦戦を強いられるのが普通である。しかし、『口裂け女2』の前作にはそもそも高評価なるものが存在しないため、いわゆる「二作目のジンクス」は通用しない。

 1970年代の岐阜。三姉妹の末っ子・真弓(飛鳥凛)は、陸上部の先輩を密かに想う元気で純朴な女子高生。結婚する長女・幸子(川村ゆきえ)、美容師として独立したばかりの次女(岩佐真悠子)とも仲良く、幸せに暮らしていた。しかしある夜、逆恨みした幸子の元彼が、暗がりで幸子と勘違いした真弓の顔面に硫酸をかける。

 復讐相手の顔くらいきちんと確認しなさいというほかないが、このあわてんぼうの元カレのせいで、真弓と家族の運命は転落を始める。

 佐藤江梨子に加藤晴彦といった、"芝居、演技"の概念を打ち破る強力な面々の力で、映画としての完成度までぶち壊した前作と違い、しっかりと作られたごくまっとうな映画である。アイドル&グラドル出演の、B級都市伝説ホラーを予想していた私は、よい意味で裏切られた。演技力も脚本も、そして寺内康太郎監督(『BOYS LOVE 劇場版』(2007)ほか)の演出も、平均以上のものであった。

 殺人鬼か化け物か、といった口裂け女が子供を殺しまくる単純スプラッターではなく、都市伝説としての誕生秘話を、実話を基にしたドラマとして丁寧に描くコンセプト。多少なりとも残酷なホラー的見せ場は、せいぜい最後の30分程度だ。胸を刺したら背中まで貫通するなど、その包丁は刃渡り 50cmかよと突っ込みたくなる局面も無いではないが、アーティスティックかつタイミングをずらしたショックシーン作りには創意工夫が見られ、そこらの量産ホラーとは明らかに一線を画している。

 そこに至るまでのドラマ部も、役者の服装や髪型、小道具などできうる限り70年代の雰囲気を再現しており見ごたえがある。これは本作のような低予算作品だと正直きついところなのだが、寺内監督は効果的なエピソードを挟むことでその不利をカバーした。

 たとえば、ヒロインの女子高生がモテる先輩の第二ボタン争奪戦を予想して不安がったり、結婚する姉の部屋を使えることに無邪気に喜んだりといった、いかにも素朴な昭和的風景の数々だ。いまどきの女子高生はこんなに幼くないし、純粋でもないだろうから、これは主人公の性格を伝えると同時に、セットや美術以上に時代感を感じさせる上手なやりかたといえる。

 そんなわけで『口裂け女2』は、掘り出し物、という言葉がぴったりな一本。前作を見ていなくとも問題ないので、ぜひどうぞ。

前田有一

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