◆老刑事の執念と血気にはやる若い刑事のコンビが3億円事件の真実を明かそうとする過程で権力の闇に行きあたる姿を通じて、正義とは何かを問う。しかし、壮大な構想の割にはミステリーとしてのツメが甘く、消化不良感が残る。(40点)
時効により迷宮入りしてしまった3億円事件。その重要参考人と目された男の他殺体が川に浮かんでいたことから、事件は再び息を吹き返す。老刑事の執念と血気にはやる若い刑事のコンビが真実を明かそうとする過程で巨大な権力の闇に行きあたる姿を通じて、正義とは何かを問う。しかし、壮大な構想の割にはミステリーとしてのツメが甘く、点と点を結ぶ糸がとぎれとぎれになってしまい、途中をはしょられて結果だけを見せられたような消化不良感が残る。
ラーメン屋店主殺人事件の捜査に当たる滝口と片桐。被害者の名前が30年以上前に起き今なお戦後最大の謎といわれる3億円事件の容疑者と一致し、滝口は関係者を洗い始める。ところが、当時を知る警察幹部の口は重く、2人はなぜか担当を外される。
独自に捜査を進める彼らのもとに宮本というフリー記者が現れて情報の交換をする。一方で現在は世俗にまみれて暮らしてている犯人グループの生き残りの足跡を追う。ラーメン屋は秘密を誰かに売ろうとしてかつての仲間に粛清されたと滝口たちは推理するのだが、その線もどうも雲行きが怪しい。そうしているうちに味方であるはずの刑事に片桐が拉致されたり、3億円事件を再現する映像を絡ませたりと、映画のトーンはちぐはぐなまま迷走する。それらが終盤に向けて有機的に収斂すればよいのだが、どこかバラバラでまとまりがない。
結局、警察庁ナンバー2の実娘が事件の主犯格だったというのが3億円事件封印の理由だが、犯行メンバーが次々と殺されているのに警察は殺人犯を泳がせ、滝口と片桐に追わせる。しかも、殺人犯は復讐を果たしたのち川に落ちて死ぬのだが、なんとそこで救助に向かった滝口まで溺死する始末。あまりにも間抜けなオチに思わず失笑を漏らしてしまった。まあ、彼らが調べ上げた3億円事件の真相が“パンドラの箱”の機能を果たすと予感させるラストに一抹の希望は持てたが。。。
(福本次郎)