ラブリーボーン - 前田有一

◆伏線未消化&回りを気にしすぎ(30点)

 ごちそうばかり食べていると粗食も食べたくなる。美人ばかりとデートしていると、古女房が恋しくなる。そんな、誰にでもあるような感覚を映画監督も感じるのだろうか。「ロード・オブ・ザ・リング」「キング・コング」と、破格の超大作ばかり続いたピーター・ジャクソン監督の新作は、それらとはまるで違う、パーソナルで万人向けではないこぢんまりしたファンタジーとなった。

 家族思いの心優しい少女スージー・サーモン(シアーシャ・ローナン)は、14歳のある日に殺人犯に襲われる。そうして死んでしまった後も天国に行けず、現世との狭間をさまよっている彼女は、悲観にくれる家族になんとか犯人を教えようとするのだが……。

 女の子が天国との狭間にいる設定は原作と異なるそうだが、そうした変更が原因か、作品世界のルールが定まらずいらいらする。幽霊スージーに何ができて何ができないのか、このファンタジー世界のきまりごとを明言してくれないので、観客はいつまでたっても登場人物の行動に没頭できない。

 だから、ボトルシップが登場するせっかくのスペクタクルも、映像がすごいね以上のものになりえない。ファンタジー大作を何本も作ってきた監督にしてこのていたらくだから、このジャンルは難しい。ちなみにこのシーンで撒いておいた伏線も、結局回収できずじまいであった。

 イラク戦争以来、家族を失った人々のドラマというのはアメリカ人にとって切実なテーマであり、こうした(日本人には)ぴんとこない話が映画になること自体は理解できる。

 ただし本作は、そういう生々しい現実を意識せざるを得なかったためか、内容が叙情的、感情的に過ぎる。死後の世界を妄想するのは勝手だが、ならば他人の目や世論など気にせず、もっと自由に、好きにやったらよかった。

 しばらく娯楽大作から離れたかったジャクソン監督が本来やりたかったことは、そういう映画作りではなかったのか。

前田有一

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