ラスト・ソング - 渡まち子

◆あれこれと詰め込みすぎて何もかも舌足らずになっている(35点)

 全米で大人気のトップ・アイドルが主演の青春物語だが、ストリーがおそまつな上、主演のマイリー・サイラスの魅力がまったく伝わらない。両親の離婚で傷つき、誰に対しても素直になれないロニーは、父と夏休みを過ごすために、幼い弟と共に海辺の町にやってくる。かつてはピアノの天才と呼ばれ、父とも音楽の絆で結ばれていたロニー。だが今はピアノに向かうこともない。父と一緒の時間が気詰まりなロニーは、海岸で知り合った青年ウィルと親しくなる。それはロニーには初めての恋だったが、ウィルにはある秘密があった。さらに父が病で余命僅かだという事実を知り、ショックを受ける…。

 「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」で大ブレイクした歌手のマイリー・サイラスは、はつらつとした明るさが魅力。だが、不必要にシリアスなこの物語は、ラブ・ストーリーとしても家族ドラマとしても中途半端なものだ。多感な少女が非行に走ったり家族に対して反抗的な態度を取るのは分かる。だがウィルと知り合って付き合い始めた途端に、いきなり“いいコ”になる展開はあまりに単純すぎる。ウィルのいったいどこに少女を更生させる力があるというのか。さらに万引きや放火という罪が実は無実でその裏に隠された秘密があるという設定もとってつけたよう。教会の再建、ピアノへの情熱、友人への思いなど、あれこれと詰め込みすぎて何もかも舌足らずになっている。ダメ押しは、父親の難病というお涙頂戴の展開で、思わず力が抜けてきた。わざわざマイリー・サイラスを主役に据えるなら、音楽の才能がある少女が再びピアノに向かうというシンプルなストーリーこそ描くべき。少し大人っぽくなったマイリーは可愛らしいし、演技も自然体で意外にも上手い。どうやら作品選びを間違えてしまったようだ。

渡まち子

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