究極のB級アクション映画好きやバウティスタのファン向け作品(点数 55点)
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アメリカの人気プロレス団体WWEの人気レスラーとして世界ヘビー級王者に4度輝き、2010年に惜しまれつつ引退したデビッド・バウティスタが主役を張ったサスペンス・アクション。監督はブライアン・A・ミラーで、本作は監督第二回作品である。
5年間ムショで暮らしていた元刑事レイ(デビッド・バウティスタ)は、違法カジノが行われるストリップ・クラブで用心棒として勤めている。ある夜、店に強盗が押し入り、オーナーのヴィニーの息子が殺害され、30万ドルが奪われた。ヴィニーの右腕的存在であるトニー(ドミニク・パーセル)から事件の共犯者と決めつけられたレイは、犯人を生かした状態で連れてくるようにと命じられる。カジノを仕切るマフィアのボスであるカルロス(ダニー・トレホ)から送り込まれた殺し屋チャーリー(クレイグ・フェアブラス)に監視されながらも事件を追うレイは、元カノのジェニー(エイミー・スマート)の協力を得て黒幕につながる手掛かりを掴んだが……。
前科者の用心棒を演じるバウティスタ。バウティスタ自身もプロレスデビュー前は度々警察のお世話になり、実際にクラブの用心棒として働いていた経験があるということで、まさにぴったりの役柄なのである。
バウティスタのプロレス経験を活かした格闘肉弾戦に期待したいところだが、前半から中盤までに観られる格闘シーンではその経験を活かせてはいるものの、迫力や魅力が感じられない。バウティスタは確かに体格も良いし、引退したからと言って体型が崩れたりしていないため、肉体を活かせたパワフルな肉弾戦を魅力的に描けば良かったはず。そう思うと、誠に残念だ。
また、アクション映画と言ってもド派手な爆破シーンやカーチェイスは一切用意されず、銃をブッ放したバイオレンスや先述した格闘アクションぐらい。まさに低予算のB級アクション映画らしい地味な仕上がりなのである。
それでも、ハードボイルド風の渋い味わい、夜のシーンでは夜景を魅力的に活写するといったスタイリッシュな感覚は評価すべきポイントだと言える。
肝心なクライマックスは、前半から中盤の地味でまどろっこしい感じを盛り返すべくテンポの良いアクションシーンとして仕上がっている。確かに一番盛り上がるシーンでもあり、面白さはしっかりと味わえるので素直に良いと認められる。
出演者も内容もとにかくB級映画と呼ぶに相応しい本作。究極のB級アクション映画好きやバウティスタのファン向け作品だと言いたい。
(佐々木貴之)