歳は30歳を超えても、精神年齢は20歳くらいのまま、という人は日本人でも多いのではないでしょうか。大人になるって、どういうことなのでしょう?(点数 80点)
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私が注目する監督は何人かいますが、
30代の若手監督ということでいえば、
ジェイソン・ライトマン監督ははずせません。
『JUNO/ジュノ』『マイレージ・マイライフ』と、
強烈な作家性とテーマ性を持った作品を作っています。
この2本の映画は、どうしても見ておきたい映画です。
そのジェイソン・ライトマン監督の新作が、この『ヤング≒アダルト』。
シャーリーズ・セロンが、「大人になれない女」を見事に演じます。
大人になるってどういうこと?
過去の精算。今を生きる。
孤独。一人でいることの寂しさ。
世間的な成功は、「幸せ」につながらない。
などなど、考えさせられるテーマが満載で、
ライトマン監督らしい作品になっています。
37歳バツイチ。自称作家、実はゴーストライターの、
シャーリーズ・セロン演じるメイビス・ゲイリーは、
大人気のヤングアダルト小説(少女向け小説)を書いていましたが、
テレビシリーズも終了し、人気にも陰りが・・・。
そんな彼女のもとに、高校時代の元彼から、
「子供が生まれました」というメールをもらい、
突如、故郷の田舎町に戻り、結婚して子供もいる元彼と
よりを戻そうとします・・・。
映画『アメリカン・グラフィティ』で描かれたように、
アメリカの田舎町に住んでいる人は、
高卒の時に大きな決断を迫られます。
大都市の大学に進学するか、それとも地元に残るか。
大都市の大学に進学するには、成績が優秀であるとか、
スボーツで優秀であるとか、あるいはお金があるか、
何かに大きく秀でていないといけません。
『ヤング≒アダルト』は、『アメリカン・グラフィティ』の
10年後といってもいいかもしれません。
ミネアポリスに出て、作家として活躍するゲイリーは、
地元の人から見れば、成功者であり、高嶺の花。
容姿端麗、才色兼備と、外から見れば完璧ともいえるゲイリー。
しかし、彼女の心はズタズタで、「幸せ」を全く感じられない。
何か相談できる友人もおらず、むしろ「孤独」だけがつのっていく・・・という。
一方で、故郷に残った旧友たちは、結婚して子供を生んだり、
趣味に没頭したり、派手さはないものの「ささやかな幸福」を
手に入れていることに、ゲイリーは直面します。
頭の中は10代のまま。ヤングアダルト小説の主人公
そのまんまのようなゲイリーは、
そうした現実に直面し、何を考え、何に気付くのか・・・。
歳は30歳を超えても、精神年齢は20歳くらいのまま、
という人は日本人でも多いのではないでしょうか。
大人になるって、どういうことなのでしょう?
『JUNO/ジュノ』『マイレージ・マイライフ』ほどのインパクトは
ありませんが、多くの人が共感できるテーマを含んだ、
いろいろと考えさせられる、深いい映画です。
(樺沢 紫苑)