プロレス格闘技のファンでなおかつホラー映画のファンという方にとってはたまらなく嬉しい作品。(点数 75点)
(C)2011 MONSTER BRAWL INC & FORESIGHT FEATURES INC.
フランケンシュタイン、ミイラ男、狼男、レディ・ヴァンパイア、ゾンビマン、スワンプ・ガット、サイクロプスと言った8体の有名モンスターがリング上で激突する模様を描いた格闘系ホラー映画で、ジェシー・T・クックという方が監督、脚本、製作の三役を担った。
「モンスターの中で誰が世界最強なのか?!」、「モンスターたちの夢の対決」といった頭と心が大人になりきれていないようなボンクラ男児が思いつきそうなことを映像化した本作。見所は、当然の如くモンスター同士の身体のぶつかり合いであり、誰が優勝するのかが最大の気掛かりとなる。
プロレスや格闘技のTV中継と同じような構成、演出は、近年のWWEやかつて我が国の地上波TV局でも放映されたK-1や総合格闘技の中継を見慣れた方にとっては共感を覚えることだろう。
プロレスや格闘技と言えば市民体育館やホールで開催されるが、本作ではモンスターたちに相応しい場所としてヒルサイド共同墓地という墓場にリングを設け、観客なしのノーピープル状態ということで「盛り上がりに欠けるのでは?!」と思えそうだが、実況アナウンサーと解説者が試合内容をしっかりと盛り上げてくれる。
また、ルールもしっかりと制定されており、レフェリーが試合を裁くのだが、レフェリーは第一試合の中盤に差し掛かるまでに殺されてしまうため、急遽ノールールの相手が完全にKOされるまでの究極のデスマッチに変更してしまう。でも、これが面白さにさらなる拍車を掛けているということが実感できるのである。
劇中で観られる数々の試合内容は、あらゆるプロレス技が繰り出されるが、見栄えの悪さや「ホンモノのレスラーが繰り出す技に比べると見劣りする」といったマイナスポイントは一切感じさせないのが素晴らしい。
プロレス格闘技ファンに楽しんでもらうため、作り手側も観る者に対して「モンスターの着ぐるみを装った人たちのプロレスごっこ」といった失笑を買わさないための作品作りがしっかりとなされていることがわかる。
また、登場するのがモンスターということで、モンスターならではの必殺技や流血戦以上に痛々しくてグロテスクなシーンも観られるというのが映画的面白さであり、リアル世界のプロレスや格闘技では味わうことができない面白さなのである。
本作では元WWEレスラーのロバート・メイレット、現役で活躍中のケヴィン・ナッシュらプロレス関係者が出演しているのもファンにとっては限りなく嬉しいことだろう。
でも、ナッシュのプロレスを活かせた見せ場がじっくりと味わえないのが物足りなくて残念だ。
とにかくプロレス格闘技のファンでなおかつホラー映画のファンという方にとってはたまらなく嬉しい作品だ!
(佐々木貴之)