モトリー・クルーのディザスター!アルマゲドン危機一髪 - 前田有一

エログロ全開の18禁アニメ(65点)

モトリー・クルーのディザスター!アルマゲドン危機一髪

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 本来、子供のためにある「人形アニメ」で、エログロナンセンスをやってしまう。初めての試みではもちろんないが、そのギャップはやっぱり笑いを呼ぶものだ。

 そんなR-18作品『モトリー・クルーのディザスター! ?アルマゲドン危機一発?』に出てくるマヌケな粘土人形の顔をみるたびに、それでもこの撮影は大変だったろうな、とか、この人形を作るのに大真面目な職人たちの努力があったんだろうと考えると、それがまたおかしかったりする。

 自慰行為にふける天文台職員による幸運な偶然により、地球激突間近の小惑星が発見される。政府機関は、この危機を脱するため、数名の専門家を呼び寄せる。その一人で、リーダーのハリー(声:ジム・カミングス)は、小惑星に穴を掘り核爆弾をしかけるため、仲間とともにシャトルに乗り込む。

 過激すぎて(バカバカしすぎて、では断じてなかろう、たぶん……。)全米で上映禁止となった、いわくつきのクレイアニメーション作品。ロックバンド界の問題児モトリー・クルーも出演しているということで、邦題にはその名が無理やり追加されている。

 ストーリーはエアロスミスが主題歌を歌った超大作『アルマゲドン』と基本的に同じ。キャラクターも、どこかで見たような顔をしている。基本的にこの大筋を逸脱しないので、やってることはそれぞれ滅茶苦茶でも妙な統一感というか、安定感を感じる。名場面の再現のようなものもあるので、万が一見ていない方はオリジナル(?)を先に見ておくとよい。

 タイムリーなのは、大統領が黒人で、しかもとてつもなく下品でどうしようもない人物ということ。オバマ大統領を最初にコケにした映画として、きっと歴史に名を残すことになるのだろう。よりにもよってこんなおバカ映画が……。

 クレイアニメ(粘土の人形をコマ撮りしたアニメーション)ながら、冒頭に書いたとおりエロとグロの連続で、そのバカバカしさにあきれ果てるような笑いが映画館に充満するだろう。これでも3億円近い製作費が投じられていると聞けば、慢性的に金欠気味な日本の映画作家たちは、きっと涙を流すに違いない。

前田有一

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