最後まで狂気と不快感をとことん味わわせてくれるバッドテイスト丸出しの本作。(点数 45点)
(C)2011 SIX ENTERTAINMENT
日本でも話題を呼んだ『ムカデ人間』の待望の続編。でも、前作を超越する低俗さ、過激さが原因でイギリスやオーストラリアでは上映禁止になり、日本でも上映禁止になりかけた。だが、修正を施した結果、R18+指定での劇場公開が決定した。
監督は前作同様にトム・シックス。主演はローレンス・R・ハーヴィーで、ハゲ・チビ・デブ・クレイジーな醜男マーティンという主人公を演じ、狂気を最大限に発揮させて前作の主人公ハイター博士を超えるほどの大きな存在感を残し、強烈なインパクトを与えることに成功した。
ちなみに、前作はカラーだったのに対し、この続編は全編モノクロ映像。これにより、鮮やかな赤やドス黒さを帯びた赤い血液が流れる血生臭くて痛々しいシーンも和らいでいるかのように思え、流血シーンを観ると真っ青になって倒れそうな方向けの対策になった感じはしたものの、逆に不気味で陰湿なムードを存分に醸し出すことになってしまっている。
ロンドンの駐車場に勤務するマーティンは『ムカデ人間』の熱狂的なファン。仕事中もPCでDVD鑑賞し(あるシーンを観ながらオナニーまでやってしまう)、場面写真や関連記事の切り抜きを貼ったスクラップを作成しては読み漁り、ホンモノのムカデまで飼育するほど。
そんなマーティンは喘息持ちどころか、幼少期にオヤジさんからの性的及び精神的虐待によって病んでいる異常者でもある。
やがて彼は実際にムカデ人間を作りたいという衝動に駆られ、12人の男女を拉致・監禁していく。
12人の中には、第一弾でジェニーを演じたアシュリン・イェニー本人も存在し、クエンティン・タランティーノ監督作品のオーディションを偽って誘い出され、拉致されたのである。
マーティンは貸倉庫にて映画で得た知識を基に自分だけのムカデ人間を作り出すのであったが……。
見所は、なんと言っても不道徳、低俗、凄惨極まりないシーンの数々だ。
マーティンは拉致監禁の際には拳銃、バールを武器に痛めつけるが、それ以上にトンデモないシーンと言えば、マーティンの存在を鬱陶しく思う母親をバールで顔面が跡形もない状態になるまで叩きまくるシーン、ムカデ人間作成シーンでのホッチキスやカッターナイフで肉体を傷つけ、金槌で歯を叩き折るシーンだ。
観ていて痛々しさが伝わってくると同時に、目を覆いながら口を押さえたくなるほどの気持ち悪さに完全ノックアウトだ。
さらには、下剤を注射されたムカデ人間各々が脱糞しまくるというキモ汚いシーンが観られる。
モノクロの映像にも関わらず、わずかの茶色い物体がしっかりと確認でき、これがカメラのレンズにびっしりとこびり付くシーンはドン引きモノ。
とにかく最後まで狂気と不快感をとことん味わわせてくれるバッドテイスト丸出しの本作。三部作とのことだが、こうなったら第三弾も公開して頂きたい。
リュック・ベッソン監督作品『アーサーと~』三部作の完結編である第三弾はなぜか未公開だったが、『ムカデ人間』三部作だけはそういうことのないように…。
第三弾が公開されるのであれば、私はしっかりと見届けるぞ!
(佐々木貴之)