あまりの迫力に悪酔いするかも。好き嫌いが分かれる可能性高し。(点数 90点)
(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会
俳優たちの私生活と役柄がだぶって見えることがあります。
私生活で離婚した俳優が、役柄で恋人との別れに見せるせつない表情に「もしかして?」とつい深読みをしてしまいます。
さまざまなスキャンダにまみれても、あれだけ美しく存在感のある沢尻エリカを見ていると、この役は彼女のためにあると確信してしまいました。
日本中から、賞賛を浴び、芸能界の頂点にのぼりつめようとしているりりこ(沢尻エリカ)。
ところが、もとのままなのは「目ん玉と爪と耳とアソコ」だけの全身整形美女で、手術の後遺症によるアザと薬の作用で、精神的にもむしばまれていきますが……。
事故に遭い、現在リハビリ中の漫画家・岡崎京子さんの同名漫画を蜷川実花監督が映画化。
極彩色の鮮やかな色合いと、惜しみもなく美しい肢体をさらけ出す沢尻エリカの美しさに目を奪われてしまいます。
観たあと、放心して、夜寝苦しくなる作品と年に数本は、出会えるのですが、この作品もまさにそう。
過激な人間関係にわくわくし、りりこのわがままぶりと危うさにドキドキ。
沢尻エリカの突き抜けたような演技が、もう素晴らしくて、目が離せません。
寺島しのぶ演じるりりこのマネージャーも、魅力的。りりこになにをされても、見捨てることが出来ず、自らも壊れていく。
これは、女の映画です。
女の怖さ、不安定さ、そして、いじらしさとかわいらしさ。
出演者たちも、豪華で、「え? あの人がこの役を?」という楽しみもあり。
夏の暑さに対抗できる刺激的なわくドキ映画です。がつんときますよ。
(小泉 浩子)