◆戸惑いや怯えは禁物、しかしどんな危険が迫ってくるかわかない状況では警戒心と慎重さも求められる。映画はプレデターの狩場に放り込まれた歴戦の勇士たちが味わう恐怖と、決して捨てない誇りや生き残る意思の強さを描く。(50点)
目覚めると落下している。猛スピードで地面が近づいてくる中で、状況を把握し、何をすべきかを判断する冷静さを持つ者だけがパラシュートを開いて生き延びる。異境にいきなり放り出されたつわものたちのサバイバル本能を目覚めさせる見事な導入部だ。戸惑いや怯えは禁物、しかしどんな危険が迫ってくるかわかないシチュエーションで警戒心と慎重さも求められる。確実なのは自分たちが獲物で、油断すると即命を失うこと。映画はプレデターの狩場に放り込まれた歴戦の勇士たちが味わう恐怖と、決して捨てない誇りや生き残る意思の強さを描く。
ジャングルの同じ地点に次々と着地する7人の男と1人の女。彼らは“医師”と名乗る男を除いてすべて殺しのエキスパート、その中で“傭兵”がリーダーシップをとり脱出を図る。途中、凶暴な姿の猟犬に襲われるが、その直後、死体や骨が散乱するプレデターのキャンプを発見する。
人間たちはプレデターに拉致されて無理やり連れてこられたのだが、武器弾薬の扱いはプロで高度な戦闘訓練も受けている。また、単独行動することも多いのか、なかなかまとまろうとはしない。襲ってくるプレデターを倒すことより、生還が最大の目的だけに、役に立つときは仲間を助けるが足手まといになると見捨てる冷酷さも持っている。見知らぬもの同士が死線をくぐりぬけるうちに熱い友情と信頼が芽生えるなどという甘っちょろい展開はここにはなく、殺すか殺されるかの修羅場で同朋を裏切ってでも逃げ切ろうとする。そんな人間のむき出しのエゴがリアルだった。
一方で、真の勇気と智恵を示す者には敬意を払うプレデターの流儀も健在。日本刀を手にするヤクザに対しては、プレデターも銃器ではなく剣で闘うことで戦士のプライドに応えるのだ。もともとプレデターは尚武の気風を好む種族、命がけの狩りの中で自己を磨き彼らなりのフェアプレーを重んじているのだろう。そのあたり、ローレンス・フィッシュバーン扮する謎の生存者を変にからませるより、プレデター同士の事情にもう少し踏み込んでほしかった。なによりプレデターの惑星なのだから。。。
(福本次郎)