プリンセスと魔法のキス - 町田敦夫

◆ディズニーが手描きアニメに回帰(70点)

 ディズニー映画の衣鉢を継いだ物語なら、プリンセスが醜いカエルにキスしたところで、カエルが王子様の姿に戻るのが常道。その種のおとぎ話を臆面もなく是とするディズニー・スピリットは、ドリームワークスに『シュレック』という傑作パロディを作らせるほど、あまねく広く流布している。『プリンセスと魔法のキス』は、ディズニーがそれを逆手に取った新作。呪いが解けるどころか、プリンセス(と勘違いされた娘)までがカエルになってしまったところから始まるファンタジーだ。

 舞台は1920年代のニューオーリンズ。外遊にやって来た怠け者のナヴィーン王子は、ヴードゥーの魔術師の策略でカエルにされる。王子を助けるつもりでキスをした働き者のティアナも、やはりカエルに変貌。そこで2人はワニのルイスや、ホタルのレイの手を借りて、女魔術師ママ・オーディオの家を目指すが……。

 ……というのが型通りの紹介になるだろうが、実はストーリーは本作の主要な要素ではない。なぜなら、これはミュージカルだから。名手ランディ・ニューマンの書いたジャズ、ブルース、ゴスペルなどが、登場人物たちのキャラをくっきりと際立たせ、喜怒哀楽を華やかに盛り上げる。声優にもいたずらに知名度を求めず、きっちりと歌える役者たちが起用されている。

 注目されるのは、2003年に手描きアニメから撤退していたディズニーが、本作で伝統の技法に回帰したこと。古き南部の情緒豊かな街並みや、野生動物の潜む暗い沼沢地を描くには、やはりCGアニメよりレトロな手描きの方が合っている。人物や動物の極端で滑稽なデフォルメ表現も手描きならでは。かっちり計算しなければ描けないCGでは、これほど縦横無尽にはできない。前半のミュージカルシーンではデフォルメの度合いをさらに上げ、商業デザインのような独特の絵柄を作っている。

 ティアナがディズニーアニメ史上初の黒人のヒロインであるという点も新機軸。おまけに白人の友人シャーロットをおバカな引き立て役として登場させているのだから念が入っている。そうは言っても、そこはディズニー映画。性格の違いから反発し合っていたティアナとナヴィーンが、次第に引かれ合うようになるのはお約束だ。終盤にはちょっぴり泣かせるエピソードも盛りこみつつ、夢を信じることの価値を称えるディズニー的な大団円にまっしぐら。ハリケーンの爪跡がいまだ残るニューオーリンズに、また1つ温かなエールを送る作品だ。

町田敦夫

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