フローズン - 福本次郎

◆救助の見込みは薄く、生き残る可能性は時間と共に萎む。空中高く取り残されたリフトという限定空間における会話を中心に、楽観が怒りに、戸惑いが恐怖に、勇気が諦めに、希望が絶望に変わっていく心理をリアルに再現する。(60点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 極寒のスキー場、突然停止したリフトに置き去りにされた3人の男女に迫りくる吹雪と低温、足下では猛獣が舌なめずりして待つ。救助が来る見込みは薄く、生き残る可能性は時間と共に萎んでいく。じわじわと訪れる凍傷と体力の低下に、彼らの胸にはさまざまな感情が交差する。映画は空中高く取り残されたリフトという限定空間における会話を中心に、楽観が怒りに、戸惑いが恐怖に、勇気が諦めに、そして希望が絶望に変わっていく心理をリアルに再現する。

 スキーを楽しむダン、ジョー、パーカーの3人は、夜のゲレンデを滑ろうと管理人に頼み込んでリフトに乗る。しかし、管理人が途中で交代したためリフトが止められ、宙づりになった状態で彼らは放置される。その後スキー場は閉鎖、完全に孤立してしまう。

 冗談半分にどんな死に方が一番悲惨かを話題にする3人。「JAWS」のように背びれに脅えながらサメに食われるか、「911」でビル上層階にいた犠牲者のように焼け死ぬ前に飛び降りるか、「スター・ウォーズ」のサーラックに1000年かかって消化されるか。最初にジャンプしたダンは足を骨折し、血のにおいをかぎつけたオオカミの牙にかかるが、サメに襲われる以上の苦痛に苛まれるあたり皮肉が効いている。凍えながらリフトで救けを待つのはサーラックに食われるのと同じ苦しみ、空腹のオオカミが待つ地上に落下してもダンの二の舞になる。残った2人の選択肢は、もはや「どんな死に方をするか」だけになり、ジョーとパーカーが責任のなすりつけ合いをするあたり、人間のエゴがよく描けていた。

 やがて夜が明け、朝日に照らされた雪山が美しい姿を見せる。雄大な大自然と死の影に慄く人間を対比させ、物語はさらに過酷な状況に2人を追い込んでいく。エレベーターのように閉じ込められているわけでもなく、漂流ボートのように移動しているわけでもない、そんな開放された空中で動きが取れない状態からの脱出劇というアイデアは非常に洗練されていた。ただ、男2人の最期を違ったパターンにしてほしかったが。。。

福本次郎

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